ソフトウエアテスト中堅の「バルテス・ホールディングス」基本方針を転換 生成AIに積極投資

ソフトウエアテストを主力とする中堅のバルテス・ホールディングス<4442>は、生成AI(人工知能)テストツール開発に積極的に投資し、ソフトウエアテスト事業を人に依存しないビジネスへと転換する。

生成AIの活用により生産性や価格競争力の向上が見込めるほか、IT人材の採用難が続く中でも利益拡大が可能になると判断した。

生成AIテストツールの開発強化に向け、採用費や労務費、外注費などのツール開発費用に加え、マーケティング費用などとして、3年間(2026年3月期~2028年3月期)で12億円を投資する。

あわせて、AI関連を含む新技術やエンジニアの獲得などを目的に、戦略投資として同期間に25億円を投じる方針だ。

IT人材不足が成長の阻害要因に

バルテス・ホールディングスは、年間3000件を超えるテスト設計情報を過去20年間にわたり蓄積しており「専門性の高い情報を大量に保有しているため、生成AIの活用に適した状況にある」としている。

一方、現状の事業はテストの設計やテストの実施を人力で行っており、2026年に約38万人の不足が見込まれるIT人材の採用難によって、ソフトウエアテスト事業の成長が阻害されるという課題を抱えている。

このため、生成AIによってテスト工程の自動化を進め、人はテスト設計や品質改善を支援する体制を構築することにした。

同社は、生成AIテスト設計ツールについて2025年に実装のめどをすでにつけており、生成AI技術面でのリードを維持するため、人手中心のテストモデルから生成AIテストツール開発への積極投資へと基本方針を転換した。

同社はテスト設計から実行まですべての工程でツールを自社開発しており、これらのツールに生成AI機能を拡大することで、テスト工程全体の自動化が可能になるとしている。

人手に頼らないビジネスモデルの比率を段階的に高め、2028年3月期に26%超、2034年3月期には80%超まで引き上げる計画だ。

生成AIを見据えたM&Aを推進

M&Aに関しては、顧客が抱える課題の解決や、新技術、新サービスの獲得、エンジニアの補強などを目標に実施する。

業界や業種などの詳細は明らかにしていないが、顧客の課題解決、新技術、新サービスの獲得、エンジニアの補強などはいずれもAIとの関連が見込まれる。

3年間の投資額は生成AIテストツール開発とM&Aをあわせて37億円を予定しており、投資額の70%を目安に借入を活用する。

これまでに適時開示したM&Aは6件で、2020年のソフト開発のアール・エス・アールの子会社化に始まり、直近では2024年にWebデザイン開発のタビュラを傘下に収めている。

ソフトウエアテスト中堅の「バルテス・ホールディングス」基本方針を転換 生成AIに積極投資
バルテス・ホールディングスが適時開示したM&A

先行投資で営業減益見通し

バルテス・ホールディングスは、ソフトウエアテストサービスの提供やソフトウエアテスト技術者の派遣を目的に、 2004年に設立されたバルテスが前身。

ソフトウエアテストサービス事業(売上高構成比84%)を中心に事業を展開。

近年はソフトウエアやシステムの開発などの開発事業(同14%)と、脆弱性診断、ファイアーウォールなどのセキュリティー事業(同2%)を手がけている。

ソフトウエアテスト中堅の「バルテス・ホールディングス」基本方針を転換 生成AIに積極投資
バルテス・ホールディングス売上高構成比

テスト専門エンジニアが多数在籍しているほか、人材育成コンテンツを保有することなどを自社の強みとしてあげる。

同社によると、日本のソフトウエア業の売上高は約16兆7000億円で、このうちソフトウエアテスト市場は6兆2000億円。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展によりIT市場は拡大傾向にあり、ソフトウエアテスト業界も同様に拡大するとみる。

2025年3月期は売上高107億9500万円(前年度比4.2%増)、営業利益9億4000万円(同12.2%増)と増収営業増益を達成。

2026年3月期は11.2%の増収を予想する一方、生成AI関連投資として4億円超を計画しており、営業利益は約30%の減益となる見通し。

生成AIへの先行投資で当面は利益が圧迫されるものの、M&Aを含む事業モデルの転換を通じて中長期的な成長につなげられるかが今後の焦点となる。

ソフトウエアテスト中堅の「バルテス・ホールディングス」基本方針を転換 生成AIに積極投資
バルテス・ホールディングスの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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