
ゴルフ場の一人予約サービス「1人予約ランド」を運営するバリューゴルフ<3931>は、2026年1⽉までに不動産事業に参⼊する。
今後、⼈⼝減少に伴う余剰ゴルフ場が増加すると想定し、⼟地活⽤の課題を解決するために不動産事業に乗り出すことにした。
ゴルフ場が抱える課題の解決を支援
バリューゴルフはこれまで、多くのゴルフ場から土地活用の相談を受けており、実際に不動産会社への紹介などを行った実績がある。
こうした取り組みで構築した⼤⼿不動産会社との関係を活用して、ゴルフ場が抱える課題の解決を支援する。
ゴルフ業界では少⼦⾼齢化などで将来、市場の縮小が見込まれるものの、コロナ禍を機に若年層の取り込みや⼥性ゴルファーの開拓が進み、現在、延べ利⽤者数は底堅く推移している。
ただ、多くのゴルフ場が預託金問題(ゴルフ場の会員になる際に、ゴルフ場運営会社に預けた資金である預託金の返金が、ゴルフ場の経営を圧迫する問題)を抱えており、厳しい経営状態にあるゴルフ場は少なくない。
少子高齢化によるゴルフ人口の減少が進めば、廃業や倒産、売却などが増加する可能性があることから、新規事業として不動産事業への参入を決めた。
3年で売り上げを2倍強に
バリューゴルフは2028年1⽉期に売上⾼100億円の⽬標を掲げている。
同社は総売上高の80%強のゴルフ事業(1人予約ランド、ゴルフ用品販売など)、同12%強のトラベル事業(ゴルフ旅⾏、⼿配旅⾏サービスなど)、同5%強のその他事業(DX=デジタル・トランスフォーメーション⽀援、広告制作など)で事業を構成しており、2025年1月期の売上高は41億2700万円(前年度比12.8%増)だった。
今後3年間で売上高を2倍以上に引き上げる計画で、100億円のうち既存事業で65億円を確保し、新サービスの開発(ゴルフレッスン、通販、トラベル事業)などで25億円を、M&Aで10億円を上積みする。
M&Aに関しては「既存事業の領域拡⼤や垂直統合のためのM&A」「事業領域拡⼤のためのM&A」「DXの強化を推進するためのM&A」の3分野を対象とする。
不動産事業は多⾓化戦略の一環として取り組むもので、事業領域の拡⼤につながるためM&Aを活用して一気に事業を拡大する可能性もありそうだ。
M&Aに関しては直近では2024年5月に、DX支援のノア(東京都江東区)を子会社化した事例がある。ノアの持つDX支援やSES(システムエンジニアリングサービス)などの技術を、バリューゴルフが進めているゴルフ業界のDXに活用するのが狙いだ。
このほかに2024年は2月に、ゴルフ観戦ツアーを手がけるエスプリ・ゴルフを子会社化しており、4月にはエスコムから「ゴルフマガジン九州」事業を譲受するなど、M&Aについてはノウハウの蓄積がある。

登録会員数が10%伸長
バリューゴルフは一人予約に特化したサービスを展開しており、プレー後は過去に⼀緒にプレーした⼈の予約状況が分かるなどの機能を持たせることで他のゴルフ場予約サービスと差別化している。
通常、ゴルフ場の予約はゴルファー⾃⾝が同伴者を2~3⼈集め、プレー⽇時やプレーするゴルフ場などを調整する必要があるため、手間がかかる。
これに対し「1人予約ランド」はゴルファー⼀⼈一人が、プレーしたい⽇時とプレーするゴルフ場を選んで登録すれば、同じ条件のゴルファーとプレーすることができる。
こうした機能が評価され、「1⼈予約ランド」の登録会員数は2025年1⽉現在で115万2000⼈となっており、前年度の104万8000人から10%ほど伸びている。
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文:M&A Online記者 松本亮一
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