
時計や宝石、バッグといったブランド品などのリユース事業を展開するバリュエンスホールディングス<9270>は、買い取り店舗以外のリユース品の仕入れネットワークの強化を目的にM&Aを活用する。
国内での買い取り競争が激化しているためで、持続的な成長のためには仕入れ基盤の強化や仕入れネットワークの拡大が不可欠と判断した。
同社はこれまでM&Aによって、店舗網の拡大や自動車事業の拡大に取り組んできたが、今後は仕入れ力の強化に舵を切ることなる。
仕入れに関しては、海外でもパートナー店を中心に出店を加速することで仕入れ力を強化する方針を打ち出しており、こちらでもM&Aを活用する可能性はありそうだ。
「なんぼや」以外の仕入れ比率を25%以上に
バリュエンスによると、国内のリユース市場は3兆円を超え、2030年には4兆円に達すると見ており、この成長市場にさまざまな事業者が参入し、買い取り競争は年々激化しているという。
このため同社では新規出店については効率を重視し、直営店の出店エリアを厳選するとともに、買い取り店舗を介さない仕入れ拡大策を講じることにした。
今後、出張買い取りやオンライン買い取りなどの強化や、三越伊勢丹との取り組みである「i’m green」店舗の全国展開などの対策を講じるほかに、リユース品仕入れ機能を持つ企業のM&Aを検討する。
同社は2020年に店舗数拡大を目的に、当時ブランド品や貴金属など中古品買い取り店舗54店舗を展開していたNEO-STANDARDを子会社化し、2023年には自動車買い取りの強化を目的に、新車・中古車販売、買い取りを手がける米自動車を子会社化した。
今回は仕入れ力の強化を目的にM&Aを活用し、バリュエンスが展開しているブランド品などの買い取り専門店「なんぼや」主体の仕入れ体制を見直し、「なんぼや」以外の仕入れ比率(海外を含む)を2027年8月期には25%以上に高める計画だ。
具体的なM&Aの対象については明らかにしていないが、出張買い取りやオンライン買い取りなどの店舗介さない仕入れを行っている企業をはじめ、同社がスポーツ用品、自動車、不動産などをはじめとするブランド品以外の領域を拡大する方針を打ち出していることもあり、これら分野で事業を展開している企業などが候補となる可能性がありそうだ。
アジアや中東地域などで仕入れを拡大
一方、バリュエンスでは世界のラグジュアリー(高級品)リユース市場が5兆円を超え、2030年には7兆円に達すると見ており、店舗投資コストや人件費の低いアジアや中東地域などでの仕入れを拡大する。
これら地域でパートナー店を中心に出店を加速し、2024年8月期に46店舗だった海外買い取り店舗数を2027年8月期には90店舗に、2030年8月期には150店舗に増やす。
こうした取り組みで、2025年8月期から2027年8月期までの3年間は、年平均25%以上の海外仕入れ高成長率を目指すとしている。この中でM&Aの出番も考えらえる。
2025年8月期は黒字転換
バリュエンスの2025年8月期は、売上高840億円(前年度比3.1%増)、営業利益6億円(前年度は4億2600万円の赤字)を予想する。
前年度は販管費の増加や、小売りの新店舗である「ALLU SHINJUKU」や、国内買い取り店舗の出店に伴う費用が増加したため営業赤字に陥ったが、2025年8月期は黒字転換を見込む。
業績の回復とともにM&Aの検討が本格化しそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一
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