中堅ビジネスホテルチェーンの「ワシントンホテル」出店方針を転換 M&Aを成長手法に

都市型ビジネスホテルチェーンのワシントンホテル<4691>がM&Aに向けて動き始めた。

これまで自社新設を中心としてきた出店戦略に、国内既存ホテルのM&Aを組み込む。

直近3年間は戦略的投資として既存店舗のリニューアルを重点施策に位置付けてきたが、次の成長段階を見据え、出店方針の転換を決断した。

既存ホテルのM&Aを検討

2026年2月12日に発表した2027年3月期から2031年3月期までの5カ年の中期経営計画で、M&A戦略を打ち出した。

オーナー所有のホテルに運営スタッフを派遣するMC(マネジメントコントラクト)方式に加え、既存ホテルのM&Aを検討する。

同社は中期経営計画の発表と同時に「ワシントンブランド」を共通展開する国内有力ホテルグループの藤田観光(東京都文京区)と業務提携契約を結んだ。

両社の補完関係を強化しブランド価値を高めるため、両社の予約サイトの相互利用や、調達・外注コストの見直し、DX(デジタルトランスフォーメーション)活用の知見共有などを進める。

こうした藤田観光との協業によるブランド強化を「M&Aの積極実施につなげる」としている。

これまでの出店は、土地や建物を借りて開業する方式と、土地や建物を取得して開業する二つの方式が中心だった。

M&Aの手法を取り入れることで、オーガニック成長(内部の経営資源を活用した成長)を主体としてきた戦略からの転換が明確になった。

あわせて、出店地域もこれまでは政令指定都市や中核都市、新幹線主要駅近隣を中心としてきたが、今後は工場地域やロードサイド、地方都市へも広げる。

さらに、アジア、東南アジア圏への展開も視野に入れる。

業績予想を再度上方修正

ワシントンホテルは1961年、名古屋市内で名古屋国際ホテルを設立したのが始まり。

1969年にワシントンホテル第1号となる「名古屋第1ワシントンホテル」を開業し、その後各地への出店を進めた。

現在は「ワシントンホテルプラザ」と「ワシントンR&Bホテル」の2ブランドを運営し、ホテル事業が売上高の98%を占める。

残る2%はゴルフ場クラブハウス内レストランの運営受託だ。

中堅ビジネスホテルチェーンの「ワシントンホテル」出店方針を転換 M&Aを成長手法に
ワシントンホテルの売上高構成比

前中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)では、戦略的投資として既存店舗のリニューアルを重点施策に位置付けた。

客室や館内機能の刷新、運営体制の整備を通じて収益基盤の強化を進める内容で、成長戦略としてM&Aを掲げる記載はなかった。

実際、沿革や適時開示にもM&Aの実績は確認できない。

同社は、ホテル業界について、出張・業務目的の宿泊需要はコロナ禍前の水準に戻っていない一方、観光・レクリエーション需要は回復し、コロナ禍前を上回る水準にあるとみる。

インバウンド(訪日観光客)も2025年に過去最多を更新し、増加基調が続くとの見方を示す。

こうした環境を背景に2026年2月12日、2026年3月期の業績予想について、2度目となる上方修正を行った。

売上高は前回予想よりも7億円多い242億円(前年度比13.4%増)に、営業利益は7億1000万円多い37億6000万円(同67.8%増)にそれぞれ引き上げた。

2031年3月期は売上高400億円(2026年3月期見込み比65.2%増)、営業利益87億円(同2.31倍)を目標とする。

オーガニック中心で成長してきた同社に、外部成長を本格的に取り込む局面が近づいている。

掲げた数値の実現には、出店モデルの転換が鍵を握りそうだ。

中堅ビジネスホテルチェーンの「ワシントンホテル」出店方針を転換 M&Aを成長手法に
ワシントンホテルの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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