インド自動車大手タタ・モーターズ、EVのために子会社を上場

インドの自動車大手タタ・モーターズが、子会社でデジタルエンジニアリングを手がけるタタ・テクノロジーズを新規株式公開(IPO)させる方針を固めた。タタ・テクノロジーズは1989年の設立で、タタ・モーターズが74.43%の株式を持つ。

タタ・テクノロジーズは「中国のテスラ」と呼ばれる蔚来汽車(NIO China)とEV開発で提携したことなどで知られる。

対前期比353%増と好調なタタのEV

IPOが完了すれば、タタ・テクノロジーズはタタ・グループで30番目の上場子会社となる。IPOの目的は電気自動車(EV)シフトのための資金調達と見られている。

タタ・モーターズは2022年7月の株主総会で、チャンドラセカラン会長が「2023年3月期に約5万台、2024年3月期には約10万台に引き上げる」と発表した。同社の2022年3月期におけるEV販売台数は前期比353%増の1万9105台で、今後も急成長が続く見通し。

タタ・モーターズは2018年にタタ・テクノロジー株の約43%を、プライベートエクイティ(PE)ファンドのウォーバーグ・ピンカスに3億6000万ドル(約487億円)で売却する予定だったが、規制当局の承認手続きの問題などで破談に終わっている。

「出遅れ」インドEV市場でトップシェア目指すタタ

タタ・モーターズは子会社のIPOで同程度の資金を調達し、EV量産の設備投資を加速すると見られる。同社は2021年10月にEV事業拡大のために750億ルピー(約1226億円)を調達するなど、EVシフトに力を入れている。世界4位のインド自動車市場でEVの販売比率は現時点では低く、日本やオーストラリアなどと共に出遅れ気味だ。

しかし、インド政府は2030年にEVの普及率を3割程度に引き上げる方針。同国乗用車シェアトップのスズキ<7269>は2025年までに同国にEVを本格投入する。地場大手のライバル企業マヒンドラ・アンド・マヒンドラも2023年初めに多目的スポーツ車(SUV)タイプのEVを投入し、数年でラインアップを5車種に増やす。

タタ・モーターズは低価格EVでシェア拡大を目指している。

2022年10月に予約受け付けが始まった同社のEV「ティアゴ」は先着1万台の「特別価格」ながら、初めて100万ルピー(約163万4000円)を下回る84万9000ルピー(138万8000円)で販売。同社が「限定価格」の対象台数を増やしたこともあり、11月下旬までに2万台超の予約が入るなど、上々の出だしだ。インドのEV市場でのシェア争いは、これからが本番となる。

文:M&A Online編集部

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