
飲食ブランドの多様化を成長戦略の中核に位置付けているラーメン店運営のワイエスフード<3358>がM&Aを加速している。
同社は2025年7月24日に焼き肉店運営のYappa(東京都目黒区)の子会社化を発表したあと、1カ月ほどの間にフランス料理店「ROTISSERIE★BLUE(ロティサリーブルー)」と、高級焼き肉店「焼肉BEEFMAN横浜」の二つの事業の取得を発表した。
M&A先が共同で商品開発
ワイエスフードは、1970年に福岡県で開店した「ラーメンセンター山小屋」を前身とし、現在はラーメンチェーン「九州筑豊ラーメン山小屋」を中心に、2025年6月30日時点で109店舗(直営店7店舗、FC店77店舗、海外25店舗)を展開している。
2025年8月14日に発表した2026年3月期第1四半期決算短信では、M&Aを成長戦略の中核に位置づけ、積極的かつ迅速に推進するとしたうえで「国内外でシナジーの高い有力ブランドや成長企業の獲得を進め、買収後は保有するノウハウやインフラと融合させ早期の統合効果を実現する」としていた。
「ROTISSERIE★BLUE」は、南フランスをはじめとしたフランス各地の郷土料理を提供するカジュアルフレンチレストランで、2024年9月期の売上高は1億300万円、営業利益は1150万円だった。
飲食店の経営や食料品の販売などを手がけるアジアンテイブル(横浜市)から2025年9月1日に譲り受けた。
業績が堅調なため「利益構造強化に資する見通し」としており、業績への影響については、2026年3月期第2四半期決算で反映する計画だ。
「BEEFMAN横浜」は、神戸牛や但馬牛の焼肉を提供する高級店で、2025年7月期の売上高は7330万円、営業利益550万円だった。
飲食事業のほか、建設業や不動産仲介業、ヘルスケア事業などを展開するJYU-KEN(横浜市)から2025年8月29日に譲り受けた。
「ROTISSERIE★BLUE」と同様に業績は堅調で、2026年3月期の影響については第2四半期決算から反映する。
また「BEEFMAN横浜」で提供している神戸牛のうまみを活かした「チョップドサラダ」は人気が高いため、今後、独自のブランドとして切り出し、デリバリー事業を中心に積極的に拡販を進める。
さらに、Yappaの子会社化や、「ROTISSERIE★BLUE」「BEEFMAN横浜」の事業譲受で新たに取得した事業については、それぞれの顧客基盤や人材、運営などを共有化することで、ブランドの認知度やサービスの品質を高めるほか、商品開発やメニュー戦略でも共同で取り組むことで新たな需要創出などを見込む。

第2四半期に上方修正へ
2026年3月期第1四半期決算短信では、「M&Aの加速的推進」と並んで、「グローバル戦略の再定義」を掲げており、今後「東南アジアを中心に、海外展開を強化し、現地有力ブランドとの提携や、日本市場への共同展開などに取り組む」としている。
1カ月ほど間に3件ものM&Aを実現した行動力を踏まえると、今後は国内企業の子会社化や事業譲受だけでなく、海外企業のM&Aやアライアンス(連携)などの可能性も現実味を帯びてくる。
2026年3月期の業績は、第1四半期時点では従来の予想(売上高16億2900万円、営業利益5200万円)を、そのまま据え置いた。
経済情勢が大きく変動しない限りは、第2四半期に業績予想を上方修正することになりそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
関連記事はこちら
・米ラーメン店の買収を断念した「ワイエスフード」一転、M&Aを加速的に推進
・九州筑豊ラーメンの「ワイエスフード」企業買収を断行 焼肉業態を獲得
【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック