九州筑豊ラーメンの「ワイエスフード」企業買収を断行 焼肉業態を獲得

ラーメンチェーン「九州筑豊ラーメン山小屋」を展開するワイエスフード<3358>が、ついにM&Aを断行、2025年7月末に焼き肉店運営のYappa(東京都目黒区)を子会社化した。

同社は2024年9月に、米国やメキシコでラーメン店を展開する米Tajima Holdings(カリフォルニア州)の買収を発表したが、買収価格で合意に至らず2025年4月に買収を断念した。

その後2025年6月に「今後の経営方針に関するお知らせ」を公表し、M&Aを成長戦略の中核に位置づけ、積極的、迅速に推進するとし、M&Aに意欲を見せていた。

関東圏での出店を加速

Yappaは、東京都の城南、城西エリアで、焼肉レストラン3店舗を展開しており、「地域住民や商圏内の固定客を中心に高い支持を獲得している」という。

注文、決済、売上管理などでデジタル技術を積極的に導入し、店舗運営の効率化と顧客利便性の両立を実現しており、直近(2025年2月期)の売上高は1億8700万円、営業利益は900万円だった。

一方、ワイエスフードは事業基盤である北九州エリア中心の店舗展開を見直し、他の地域での需要の開拓を進めており、今回の子会社化で関東圏での出店加速が可能になる。

さらにDX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)化されたモデル店舗の導入や運営ノウハウの獲得、人材、仕入れ、ITインフラの共通化などの面でもシナジーが見込める。

焼肉に次ぐ業態の獲得も

ワイエスフードは、1970年に福岡県で開店した「ラーメンセンター山小屋」が前身。1994年にワイエスフードを設立し、ラーメン事業の拡大に着手。

2001年に大分県で焼肉併設タイプの直営店舗をオープンしたほか、2014年にはラーメン店で居酒屋ブランド「牛もつダイニング Y's KITCHEN」を併設オープンするなど、外食の他業態にも事業を広げた。

M&Aについては2004年に、すりごま製造販売の大幸食品を子会社化したあと、2015年に同社を譲渡。これに続き、2019年にも子会社のZing’s、ワイエス商事、日本美容研究所の3社を譲渡している。

ワイエスフードでは「ホルモン焼肉+ラーメンの複合型店舗も展開しており、Yappaの焼肉業態とはメニュー構成や客層の観点で高い親和性がある」としている。

同社ではラーメンと居酒屋の併設店の運営経験もあり、焼肉業態に次ぐ他の外食業態の獲得の可能性もありそうだ。

九州筑豊ラーメンの「ワイエスフード」企業買収を断行 焼肉業態を獲得
ワイエスフードの沿革と主なM&A

業績は上振れ

ラーメン業界ではM&Aが活発化しており、今回のワイエスフードの案件は、力の源ホールディングス<3561>、CS-C<9258>、JBイレブン<3066>、クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>、あみやき亭<2753>、魁力屋<5891>に次ぐ、今年7件目の適時開示案件となる。

ワイエスフードは、コロナ禍後の経済社会活動の活性化や、個人消費の回復、インバウンド(訪日観光客)需要の増加などを背景に、2026年3月期に売上高16億2900万円(前年度比11.6%増)、営業利益5200万円(2.07倍)を見込む。

これにYappaの数字が加わるため、業績は上振れすることになりそうだ。

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文:M&A Online記者 松本亮一

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