seiza、「あなたのおかげで続けられた」即完の初ワンマンで涙と感謝を歌に乗せてーー ボカロ曲のセルフカバーから新曲まで、全曲披露の軌跡をレポート
『seiza 1st ONE MAN LIVE -Opportunity-』 Photo:ヤオタケシ

Text:蜂須賀ちなみ Photo:ヤオタケシ

シンガーソングライターでボカロPのseizaが、初のワンマンライブ『seiza 1st ONE MAN LIVE -Opportunity-』を2月27日、東京・青山 月見ル君想フで開催した。



2022年1月にボカロPとして活動を始めたseizaは、2023年から自身の声による歌唱も開始。

2024年にメジャーデビューし、スタジオライブの配信は行っていたものの、リスナーと直接向き合う機会はなかった。



活動開始から約4年を経て実現した初の有観客ライブ。チケットはすぐに完売した。seizaの声を直接聴ける日を待ち望んでいたファンも多かったのだろう。この日seizaは、自身の歌声によるリリース曲をすべて披露したほか、新曲やボカロ楽曲のセルフカバーも届けた。持てるすべてを詰め込んだステージには、集まったファンへの感謝が溢れていた。



seiza、「あなたのおかげで続けられた」即完の初ワンマンで涙と感謝を歌に乗せてーー ボカロ曲のセルフカバーから新曲まで、全曲披露の軌跡をレポート

熱気に包まれたフロア、期待に満ちたファンの視線の先。ステージ後方に設置された、宇宙船の窓を思わせる丸型ビジョンの中に、seizaのロゴが映っている。開演時刻を迎えると、宇宙船発射のカウントダウン音声に続いて、seizaとサポートメンバーが登場。手拍子で迎える観客の温かさにホッとしたのか、seizaの口角がふっと上がった。



そして1曲目「宇宙船」がスタートした。いつか誰かに届くことを願って、虚空に向けて放ち続けた歌声が、この夜ついに、目の前の人たちに届いた。

丸窓の外に星の海が広がるなか、seizaとファンの音楽の旅が幕を開けた。疾走感溢れるサウンドと歌で会場を一気に引き込みながら、「こんばんは、seizaです!」と挨拶。フロアに視線を移すと、口元を手で覆い感激している人もいれば、手拍子したり、腕を力強く上げたりしている人もいる。それぞれが思い思いに楽曲を受け止めるなか、ステージ上のseizaは時折声を詰まらせ、宙を見上げていた。



ギターを鳴らしながら2曲目「蒼の太陽」を歌い終えると、seizaは「いやー、君たちはそんな顔をしているんだね。やっと会えたよ。込み上げるものが多すぎて……」とタオルで顔を覆う。一度溢れた涙はなかなか止まらないようで、サポートメンバーから「早かったね」とツッコミが入ると、場内に和やかな笑いが広がった。



「積もる話もありますけど、(曲を)どんどんやってこうと思います。よろしく。楽しんでね」と次に演奏されたのは「クリイムソーダ」。アッパーチューンを連続したオープニングから一転、会場はチルなムードに包まれ、観客はゆったりと身体を揺らした。

アウトロではseizaのフェイクが楽器の旋律と絡み合い、生演奏ならではの豊かさが滲み出た。



seiza、「あなたのおかげで続けられた」即完の初ワンマンで涙と感謝を歌に乗せてーー ボカロ曲のセルフカバーから新曲まで、全曲披露の軌跡をレポート

「抜け星」を歌い終えると、seizaは観客に「楽しんでる?」と尋ね、「僕は楽しいです。反応もよくて気持ちがいいですね」と手応えを語った。続けて「なんで込み上げるものがあったのかというと……」とこれまでの道のりが語られる。元々はバンドをやっていたが、なくなってしまったこと。青春を捧げてきたバンドが自分の生活からなくなり、大きな喪失感を抱いていたこと。「じゃあ今までやってきたことは何だったんだろう?」と思ったこともあったし、今でも「バンドを続けていたらどうなっていただろう?」と夢見ることがあるのだということ。



「そんななかでも音楽活動を続けてよかったと思うのは、あなたのおかげなんです」と再び涙を浮かべたseizaは、「みんながいなかったら続かない活動ですから。特にしんどかった時期、自分の気持ちに整理をつけるために書いた曲がありまして」と次に歌う曲を紹介した。「この曲があったから続けられた。この曲があったから、みんなとどこまでも行きたいと思えたんです。僕が音楽を続けている理由はあなたがいるからです」。

そんな言葉とともに披露されたのは、「星を編む」だ。バラバラの星々も、繋げてしまえば星座になる。遠く離れていても、一緒にいられる――seizaというアーティスト名に込められた思想を、音として結晶化させたような楽曲だ。孤独のなかで繋ぎ続けてきた音楽が、この夜ようやく人の温もりとともに響く。その瞬間を観客は静かに受け止めていた。



忘れられない思い出と切ない恋心を歌ったバラード「金木犀」、サポートメンバーのセッションを経て届けられた「星間漂流」とライブが進んでいくなか、seizaは「一回みんなの顔が見たいな」と改めてフロアの一人ひとりの表情を確かめる。ライブ終盤のMCでは、今回のライブのタイトル『Opportunity』はNASAの火星探査機からとったのだと語られた。オポチュニティが自らの道のりを振り返って撮影した轍の写真に、seizaは勇気づけられたという。そして「僕も音楽を続けて刻んできたものを、改めて振り返って確かめたいなと思いました。その上で、今日ライブができて幸せに思いますし、あなたと一緒に足跡を残せるのが嬉しいです」と喜びを噛みしめた。



seiza、「あなたのおかげで続けられた」即完の初ワンマンで涙と感謝を歌に乗せてーー ボカロ曲のセルフカバーから新曲まで、全曲披露の軌跡をレポート

「この曲を書けていなかったらどうなっていたんだろう?って曲です。大事に歌います」と、seizaの代表曲であり、自身の歌声でリリースした初めての楽曲「プラネテス」を届けたseizaは、続けて新曲の「エウレカブルー」を初披露。

青春の美しさをギュッと閉じ込めたようなアッパーチューンで会場のテンションをもう一段階引き上げると、「信じられないけど次で最後の曲です。幸運を祈って最後にこの曲を贈ります」と、ラストに「真昼の月」を歌った。〈あなたが望んだ未来に/辿り着けなくても/健やかであればいい/回り道であなたを待つ人〉というフレーズが、晴れやかに響く。紆余曲折の音楽人生、seiza自身の経験した痛みが、リスナーへの祈りとして結実した瞬間だった。楽曲を歌い終えたseizaは、人差し指と中指をクロスして高く掲げる。掲げた手には力が入り、わずかに震えていた。



「こっからはボーナスタイム!」とアンコールに臨んだseizaは、「とはいえ、曲がないからさ……」とボカロ楽曲「さよならボイジャー」「ぼくらについて」をセルフカバー。「本当に幸せでした。こういう日があるからやめられなくなっちゃうんだよな」と充実感を噛み締めながら、ステージをあとにした。「またやりますから。多分、秋ぐらいかな?」と次の約束も自然と生まれ、会場に温かな余韻をもたらした。



<公演概要>
seiza 1st ONE MAN LIVE -Opportunity-
2026年2月27日東京・南青山 月見ル君想フ

【Setlist】

01.宇宙船
02.蒼の太陽
03.クリイムソーダ
04.抜け星
05.星を編む
06.⾦⽊犀
07.星間漂流
08.プラネテス
09.エウレカブルー
10.真昼の⽉
EN1.さよならボイジャー
EN2.ぼくらについて



<リリース情報>
「エウレカブルー」
配信中
Streaming / Download: http://seiza.lnk.to/EUREKABLUE



seiza「エウレカブルー」Official Music Video



seiza オフィシャルサイト

https://seiza-official.jp/



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