
明治の浮世絵師、楊洲周延(ようしゅう・ちかのぶ)の代表作のひとつ《千代田の大奥》を全点公開する『千代田の大奥―時代へのまなざし―』が2025年10月1日(水)~11月9日(日)、千代田区立日比谷図書文化館で開催される。
明治20年代になり、江戸期には禁じられていた、江戸城大奥の暮らしや風習、将軍家に関わることなどが絵画の中で描かれるようになった。
楊洲周延は、若い頃から歌川国芳ら歌川派の絵師に師事しながらも、幕末の戊辰戦争では旧幕府軍に加わり、榎本武揚らとともに箱館戦争に参戦した経験を持つ異色の絵師だ。40歳となる明治10年頃、刀を絵筆に持ち替えて、絵師として本格的に活動を開始。優美な美人画を得意とし、ほかにも役者絵、戦争絵、歴史画など、「明治」という時代をさまざまに表現した。
ほかにも「時代を振り返る」というテーマに合わせ、明治22(1989)年8月に行われた「東京開市三百年祭」に関する記録や、かつて江戸幕府に仕え、明治維新後、それぞれの道を歩んできた旧幕臣に関する資料も公開する。明治の人々が過ぎ去った江戸という時代をどのように捉え、そこに何を見ていたのか、まなざしを想像しながら楽しみたい。

《江戸開府三百年祭上野東照宮社前之図》(『風俗画報』第9号、千代田区所蔵)

《(御対面所向地絵図)》(千代田区指定文化財「江戸城本丸・西丸御殿建築図面」、千代田区所蔵)

市岡正一著『徳川盛世録』(千代田区所蔵)
<開催情報>
企画展『千代田の大奥ー時代へのまなざしー』
会期:2025年10月1日(水)~11月9日(日)
会場:千代田区立日比谷図書文化館 1階 特別展示室
時間:10:00~19:00、金曜は20:00まで、日祝は17:00まで(入室は閉室30分前まで)
休館日:10月20日(月)
料金:一般500円、大高300円 ※千代田区民は無料
公式サイト: https://www.edo-chiyoda.jp/tenji_koza_kodomotaikenkyoshitsu/tenji/1/589.html