『ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末』パナソニック汐留美術館で 陶磁器、ガラス、銀器など約270点でウィーンのデザイン史におけるふたつの時代を比較
ルーシー・リー 《ピンク線文鉢》 1970年代後半 個人蔵 Private Collection, Estate of the Artist 撮影:大屋孝雄

2025年10月4日(土)より、パナソニック汐留美術館では、『ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末』を開催する。19 世紀前半のビーダーマイヤーと世紀末転換期という、ウィーンの生活文化における2つの輝かしい時代を取り上げ、銀器、陶磁器、ガラス、ジュエリー、ドレス、家具など、多彩な作品約270点を紹介する展覧会だ。

デザイン史におけるビーダーマイヤー時代とは、18世紀末から19世紀半ば、抑制された政治状況のもとで、人々の関心が私的生活へと向けられ、家庭の幸福や個人の内面が重視されるようになった時代をさす。この時代の日用の工芸は、シンプルで幾何学的な形、控えめな装飾、丁寧な手仕事を特徴とし、そこから生まれた自由で内面的な美意識は、後のウィーンのモダンデザインを育む土壌となった。

『ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末』パナソニック汐留美術館で 陶磁器、ガラス、銀器など約270点でウィーンのデザイン史におけるふたつの時代を比較

《椅子》 1820年頃 アセンバウム・コレクション Asenbaum Collection, ©Asenbaum Photo Archive

ビーダーマイヤー時代から100年後、帝国の近代化と急速な都市拡張の波の中で、ウィーンの建築、デザイン、工芸の分野に数々の革新がもたらされる。とくに建築家のヨーゼフ・ホフマンと画家のコロマン・モーザーが創設したウィーン工房は、総合芸術としての生活芸術をめざして家具から衣服、ジュエリーまで幅広いジャンルに展開。市民の生活をモダンなものに変革することに挑戦した。

これら両時代に共通する美意識を、相互比較や空間構成によって体感できる同展では、ウィーン世紀末の先進的なデザインや価値観を様々な方法で広く世に伝えた女性たちや、ウィーン工房後期のメンバーとして実際にテキスタイルやガラス工芸品、陶磁器などを手掛けた女性デザイナーたちの活躍にも焦点を当てる。

『ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末』パナソニック汐留美術館で 陶磁器、ガラス、銀器など約270点でウィーンのデザイン史におけるふたつの時代を比較

ヤーコブ・クラウタウワー 《ティーポット》 1802年 アセンバウム・コレクション Asenbaum Collection, ©Asenbaum Photo Archive

そのほか、グスタフ・クリムト《17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像》や、オスカー・ココシュカ《アルマ・マーラーの肖像》などにも注目だ。



<開催情報>
『ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り』



会期:2025年10月4日(土)~12月17日(水) ※会期中展示替えあり
会場:パナソニック汐留美術館
時間:10:00~18:00、11月7日(金)、12月5日(金)、12月12日(金)、13日(土)は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:水曜(12月17日は開館)
料金:一般1,500円、65歳以上1,400円、大高1,000円
公式サイト: https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/25/251004/

編集部おすすめ