甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中
ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』ゲネプロより (撮影:伊藤華織)

日本初上演となるミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』が、東京・池袋の東京建物 Brillia HALLにて2026年3月1日(日)に開幕。 欧州で高く評価された映画を原作に、ロンドン初演で大絶賛を浴びた本作。

日本版では名演出家スコット・シュワルツを迎え、繊細でシャイな男女の恋を、甘いチョコレートの香りに乗せて新たに描き出す。 実力派スタッフと多彩なキャストによって息が吹き込まれた、甘く温かな世界をゲネプロの様子とともにレポート!



岩﨑大昇&吉柳咲良、不器用なふたりの甘く不器用な恋。愛すべき“エモティフ”たちの物語

甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中

ステージ上に巨大な鏡があり、客席の人々が映っている。これは私たちの物語という意味かな?など想像を巡らせていると、フランス語の歌が始まった。そして主演の岩﨑大昇がフランス語を話す。もちろん、その後は日本語になるが、このちょっとした入り口が世界観を作ってくれる。観客は、フランス語の響きを楽しむことで、小粋な物語へと誘われるわけだ。いつしか鏡は透明になり、その奥でアンジェリーク(吉柳咲良)が何やら楽しそうに、しかし集中してチョコレートを作っている。チョコレートについて歌うナンバー〈When It’s Just Right〉が素晴らしく、吉柳のキラキラする美声にうっとり。同時に、アンジェリークがたびたび気絶し、変わり者との話があり、すっかりアンジェリークの人となりや行く末に興味津々となった。ミスター・メルシエ(こがけん)がチョコレート職人としての才能を認め、特性を受け入れつつ仕事をさせるのもほっこりエピソードだ。



甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中

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そして変わり者がもうひとり。

伝統の味を誇るチョコレートファクトリーの社長ジャン=ルネ(岩﨑大昇)である。人とコミュニケーションするたびに緊張して汗だくになり、歩くことすら大変そう!あまりに様子がおかしくて、笑っちゃうしハラハラする。それなのに父親から受け継いだファクトリーはチョコレートが売れずに潰れる寸前。かなりハードな状況のもと、ミスター・メルシエが世を去ったことにより無職になったアンジェリークが職を求めてやってくる。変わり者同士はディナーを共にし、バタバタしつつもいつしか恋へと発展!しかし……。



甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中

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キャストは9人。しかし登場人物はかなり多く、岩﨑と吉柳以外は何役も務め、ヘアメイク衣裳を変えてどんどん出て来るのが演劇っぽくて実に良い。いつもは渋いイケおじの大谷亮介がニコニコとセットを動かしているのもキュートだ。そしてどのキャラクターも愛すべき魅力を持っている。頼りないジャン=ルネを見守り、アンジェリークとの恋路を応援するファクトリーのスタッフや自助グループのメンバー、ジャン=ルネの父親、ミスター・メルシエ、アンジェリークの母親など誰ひとり、嫌な奴がいない。世界がこんな人たちで成り立っていたら平和なのに、なんて思ってしまう。



甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中

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甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中

主人公とヒロイン、どちらも世間からは変わり者とされているが、実は彼らは“エモティフ(社交不安障害)”。

原作映画のタイトルを見ると「Les Émotifs anonymes」。劇中では自助グループが登場し、自分の経験や悩みをシェアするシーンがある(こう言った自助グループのシーンでは『RENT』が有名)。現実では生きづらさを抱えている人たちと想像するが、こうしたエンタメにすることで、エモティフがひとつの個性と受け止められたら素敵だなと思う。



甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中

そんな理屈っぽい話は抜きにして、この作品のハッピーさに身を委ねるのも一興だ。音楽はポップで心地よく、カラフルなセットのあちらこちらにチョコレートのモチーフが施され、シーンによっては甘い香りが漂ってくる?!



岩﨑は日本初演ミュージカルで初主演、実際に汗だくでの大健闘だ。不器用だけどひたむきでまっすぐなさまが琴線に触れる。吉柳も繊細さと芯の強さがアンジェリークにぴったり。このふたりにはファクトリーの人たちと同様、キュンキュンさせられること請け合いだ。



人生は甘味と苦味。美味しいチョコレートを食べるたびにこの作品を思い出すことだろう。



甘味も苦味も人生には大事。キュンキュンが止まらない! ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』上演中

取材・文:三浦真紀 撮影:伊藤華織



<公演情報>
ミュージカル『ロマンティックス・アノニマス』



脚本:エマ・ライス(英国グローブ座元芸術監督)
歌詞:クリストファー・ダイモンド
音楽:マイケル・クーマン
原作映画:『Les Émotifs Anonymes』(ジャン=ピエール・アメリスおよびフィリップ・ブラスバンド脚本)
演出:スコット・シュワルツ
振付:アディ・チャン



【キャスト】
ジャン=ルネ:岩﨑大昇(チョコレート工場を経営する内向的な男性)



アンジェリーク:吉柳咲良(天才的なチョコレート職人で内気な性格の女性)



マグダ/ブリジット/ドクター・マキシム:朴璐美
(マグダ:ジャン=ルネの経営するチョコレート工場を取り仕切る女帝のような従業員)
(ブリジット:アンジェリークの母親)
(ドクター・マキシム:Les Emotifs Anonymesサポートグループのメンバーで皮膚科医)



ルド/ロワゾー/レミ:勝矢
(ルド:ジャン=ルネのチョコレート工場のキッチンボーイ)
(ロワゾー:フランス・パリのチョコレートフェアの審査員)
(レミ:Les Emotifs Anonymesサポートグループのメンバーで女性と話すのが苦手な男性)



スザンヌ/ミミ:花乃まりあ
(スザンヌ:ジャン=ルネのチョコレート工場の経理・事務・人事担当の従業員)
(ミミ:Les Emotifs Anonymesサポートグループのメンバーで、NOと言えない女性)



セールスマン/ピエール/フレッド:上野哲也
(セールスマン:チョコレート工場の営業係)
(ピエール:Les Emotifs Anonymesサポートグループのメンバーで、存在感が薄く周囲の人になかなか気づいてもらえない臆病な人)
(フレッド:マグダの一夜の相手)



ヤングウーマン/アプリの声/ウィロー:ダンドイ舞莉花
(ヤングウーマン:チョコレート工場の従業員、レストランのウェイターなど)
(アプリの声:ジャン=ルネの自己啓発のCDの声)
(ウィロー:Les Emotifs Anonymesサポートグループのメンバー)



メルシエ/もごもごエモティフ/マリーニ:こがけん
(メルシエ:大人気チョコレート店の伝説的職人)
(もごもごエモティフ:Les Emotifs Anonymesサポートグループのメンバーで、もごもごと話す人)
(マリーニ:ジャン=ルネのチョコレート工場の常連バイヤー)



ファーザー/受付係:大谷亮介
(ファーザー:ジャン=ルネの父親。故人でジャン=ルネにしか見えていない。

伝統に縛られたチョコレート職人)
(受付係:パリのホテルの受付係で、ジャン=ルネに素敵なアドバイスを送る人)



【東京公演】
2026年3月1日(日)~24日(火)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)



【大阪公演】
2026年4月1日(水)~5日(日)
会場:東京建物Brillia HALL 箕面(箕面市立文化芸能劇場)



関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/romantics-anonymous/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2564598&afid=P66)



公式サイト:
https://www.tohostage.com/romantics/

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