2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

21世紀も4分の1が終わり、あらたなクオーターへ。2026年は、大英博物館やオルセー美術館、ルーヴル美術館など海外の有名美術館から名品がやってくる展覧会、クロード・モネやアンドリュー・ワイエス、人気作家の回顧展など、華やかで大規模な企画が目白押し。

見逃さないよう、カレンダーに予定を入力しておきましょう!



※各展覧会の会期等は変更になる可能性があります。詳細は各展覧会の公式HPなどでご確認下さい。



90年代イギリスのアートシーンを振り返る
『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』(国立新美術館)
会期:2月11日(水・祝)~5月11日(月)



[巡回]京都市京セラ美術館:6月3日(水)~9月6日(日) ※東京展と一部展示内容が異なる



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

ジュリアン・オピー《ゲイリー、ポップスター》1998-99年、テート美術館蔵 (C) Julian Opie

オアシス、ブラーが世界を席巻し、映画『トレインスポッティング』が大ブームを引き起こした90年代のイギリスはアートシーンもまた勢いにあふれていた。この展覧会では、1980年代後半から2000年初頭にかけて制作された英国美術に焦点を当てるもの。当時「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)』と呼ばれていたダミアン・ハーストやジュリアン・オピー、ヴォルフガング・ティルマンスなど、当時は若手、現在は大御所の作家、57組と約100点の作品をテート美術館のコレクションから紹介。制度やジャンルの枠を軽々と飛び越え、新しい試みを精力的に行っていたイギリスの作家たちの当時の勢いと軌跡を辿っていく。



風景画家としてのモネの魅力に迫る
モネ没後100年『クロード・モネ -風景への問いかけ』(アーティゾン美術館)
会期:2月7日(土)~5月24日(日)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

クロード・モネ《戸外の人物習作-日傘を持つ右向きの女》1886年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo (C) GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF

2026年は印象派の巨匠、クロード・モネの没後100年に当たる年。この記念すべき年に開催される同展は、彼の風景画に着目するもの。光のなかに色を見出そうとしたり、移ろいを捉えようと連作に取り組んだり、自宅の庭に池を作り、理想の風景を描こうとしたりするなど、モネは風景画に非常に貪欲に取り組んでいた。そんなモネの人生や、彼が影響を受けたであろう浮世絵や同時代の絵画、写真、アール・ヌーヴォーの工芸作品などを丹念にたどり、モネの表現の広がりを検証する。オルセー美術館が所蔵するモネの絵画作品41点を含む約90点と、国内の美術館や個人所蔵作品を加え、展示作品は約140点と大ボリュームだ。



リトアニアの国民的画家が描く神秘的な世界
『チュルリョーニス展 内なる星図』(国立西洋美術館)
会期:3月28日(土)~6月14日(日)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《祭壇》1909年、テンペラ/厚紙、国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵
M. K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

リトアニアを代表する画家であり音楽家、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス。

彼は35歳の若さで亡くなるまで約400点の楽曲を作り、晩年の6年間で300点以上もの絵画作品を手掛けた。自然や土着の神話、天文学や神智学、象徴主義やジャポニスムなどさまざまなものごとを取り込んだ彼の作品は、どこか神秘的で、儚さを感じさせる独特なもの。近年になりヨーロッパ各地で彼の展覧会が開催され、再評価も進んでいる。日本では34年ぶりの回顧展となる同展は、彼の主要な作品約80点を展示。独特な幻想世界をじっくりと堪能できる。また、優れた作曲家でもあった彼の楽曲も楽しめるようになっている、五感をフル活用して楽しめる展覧会だ。



アメリカン・リアリスムの巨匠のまなざしを追う
『東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展』(東京都美術館)
会期:4月28日(火)~7月5日(日)



[巡回]豊田市美術館:7月18日(土)~9月23日(水・祝)、あべのハルカス美術館:10月3日(土)~12月6日(日)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

アンドリュー・ワイエス《クリスティーナ・オルソン》 1947年 テンペラ、パネル 83.8x63.5㎝ マイロン・クニン・コレクション、ミネアポリス Myron Kunin Collection of American Art, Minneapolis, MN photo: Curtis Galleries,Inc. (C)2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

抽象絵画全盛の20世紀のアメリカで、自分の身近な人々や風景を精緻に描き続けた画家、アンドリュー・ワイエス。彼の描いた絵画は単なる写実にとどまらず、画家の内面が色濃く反映された深い精神性を感じさせるもの。彼が暮らし、そして描いたメイン州の乾いた空気や静謐な風景、そこに佇む人物の仕草や表情は、現在も多くの人々の心を掴んで離さない。この展覧会は画家ワイエスが好んで描いた窓や扉など「境界」を暗示するモティーフに注目し、彼が描いた世界を深堀りしていくもの。ワイエスにとって境界とはどのような存在であったのか? 日本では17年ぶり、2009年に亡くなってからは初めての大規模巡回展となる。



いまにも動き出しそうな彫刻に目が釘付け
『ロン・ミュエク』展 (森美術館)
会期:4月29日(水・祝)~9月23日(水・祝)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

ロン・ミュエク《マス》 2016-2017年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラス  サイズ可変 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈 展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、 2025年 撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館

オーストラリア出身の現代美術家、ロン・ミュエクの日本では2度目となる大規模個展。

1958年生まれのミュエクはイギリスを拠点に活動。人間の内面をも描写したような緻密で生々しさを感じさせる、徹底的に作り込んだ具象彫刻で大きく注目されており、日本でも十和田市現代美術館の常設展示作品《スタンディング・ウーマン》でその名を知られている。同展は、フランスのカルティエ現代美術館との共同企画による国際巡回展。展示数は11点と決して多くはないものの、初期の代表作から近作まで展示し、作家の進化を辿れるようになっている。注目はインスタレーション作品《マス》。巨大な頭蓋骨は、一つずつ色や形が異なっている、じっくりと時間をかけて見比べてみよう。



18世紀のインフルエンサーの華やかな生き方
『マリー・アントワネット・スタイル』(横浜美術館)
会期:8月1日(土)~11月23日(月・祝)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

フランソワ=ユベール・ドルーエ(画)《コートドレスのマリー・アントワネット》 1773年 油彩、カンヴァス ヴィクトリア&アルバート博物館所蔵 (C)Victoria and Albert Museum, London

革命により、断頭台で命を落とした最後のフランス王妃、マリー・アントワネット。悲劇の王妃として知られている彼女は、独自の美意識と審美眼を持ち、常に最新の服を身にまとっていた「ファッション・アイコン」。その影響力はとても強く、その人生が映画化されるなど、現在に至るまで強い影響を及ぼしている。この展覧会は彼女の衣装や装身具、インテリアなどから、王妃が流行の最先端を走り、さまざまな新しい様式(スタイル)を作り出していった彼女の歩みに注目するもの。王妃の自由で先進的な一面や、後世における再評価についてあらためて振り返っていく。なお、同展はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館で企画された世界巡回展で、横浜美術館はその最初かつ国内唯一の会場となる。



ルーヴル美術館の至宝、レオナルド・ダ・ヴィンチのあの貴婦人が初来日!
『ルーヴル美術館展 ルネサンス』(国立新美術館)
会期:9月9日(水)~12月13日(日)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》
1490‒1497年頃 油彩/板 63 × 45 cm パリ、ルーヴル美術館 (C) GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado

「ルーヴル美術館展」が約3年ぶりに開催される。今回のテーマは美術史の王道「ルネサンス」。現在のところ明らかにされている展示作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》のみ。世界中にわずか15点ほどしか現存しないとされるレオナルドの真筆の絵画のひとつで、いまだに誰を描いたものか明らかになっていない。同展では、日本初来日となるこの作品を中心に、絵画や彫刻、版画や工芸品など約50点の作品とともに15世紀後半から16世紀後半にかけて、イタリアを皮切りにヨーロッパ各地で花開いたルネサンス美術を辿っていくもの。ルネサンスとはなにか、ルーヴル美術館の作品をてがかりに本質を探っていくものとなる。



ほぼ全作品が初来日、魅惑の近代絵画
『シンシナティ美術館展~アメリカに渡ったヨーロッパの至宝~』(上野の森美術館)
会期:10月10日(土)~ 2027年1月10日(日)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

フィンセント・ファン・ゴッホ 《ポプラ林の中の二人》1890年

1881年に開館したアメリカ最古の美術館のひとつ、オハイオ州のシンシナティ美術館は幅広いコレクションを持つことで知られている。その数はなんと約7万3000点! 同展はそのコレクションのなかで、質の高さで知られるヨーロッパ近代絵画コレクションより、さらによりすぐった84点を展示するというもの。このうち81点が初来日となる。興味深いのは、今回展示される作品の多くがシンシナティの地域社会に貢献した女性コレクターたちが寄贈した作品であるということだ。モネやルノワールなどの印象派、ゴッホやゴーギャンのポスト印象派はもちろん、新古典主義のアングルからクールベ、マネからアンフォルメルのスーラージュまで幅広いコレクションを構築した女性たちにも思いを馳せながら、美術史の旅にでかけてみよう。



19世紀イギリス絵画の巨匠、ターナーと現代美術が邂逅
『テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話』(国立西洋美術館)
会期:10月24日(土)~2027年2月21日(日)



[巡回]大阪中之島美術館:2027年3月13日(土)~6月27日(日)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

J.M.W. ターナー《捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!》 1846年展示
Photo: Tate

大気や光の移ろいを生涯描き続けた18~19世紀イギリスの画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。

抽象的にも見える叙情的な作風は、印象派の画家たちの試みに先行したとも言われている。イギリスの権威ある現代美術の賞「ターナー賞」は、彼の名前とその先進性、精神にちなんで名付けられたものだ。同展は、テート美術館が誇る世界最大級のターナー・コレクションのなかから、油彩、水彩、グアッシュで描かれた作品などを紹介し、彼の芸術を再考する展覧会。各章ごとにターナーの作品と共鳴する現代アーティストの作品を展示することで、画家との対話を試みる。時空を超えて響きあう過去と現代のアートの競演にも注目だ。



教科書にも載った名作、ミレーの《落穂拾い》来日!
『東京都美術館開館 100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び』(東京都美術館)
会期:11月14日(土)~2027年3月28日(日)



2026年 話題の展覧会をピックアップ①【西洋美術編】

ジャン=フランソワ・ミレー《落穂拾い》1857年 オルセー美術館 (C) Musée d'Orsay, Dist. GrandPalaisRmn / Patrice Schmidt / distributed by AMF

2026年、開館100周年を迎える東京都美術館は、強力な展覧会が目白押し。なかでも同展はオルセー美術館が所蔵する19世紀から20世紀初頭までのコレクション約110点がやってくるという、非常に大規模な名品展。作品が制作された当時の「いま」をテーマにミレーの《落穂拾い》や、カイユボットの《床に鉋をかける人々》、ゴッホの《ローヌ川の星月夜》など、当地でも人気の作品がずらりと並ぶ。都市計画が進み、産業構造が変わり、鉄道が敷設され、ドラスティックに社会が代わっていった19世紀、画家は「いま」をどのように描いたのか? 自然、街、家やカフェ、酒場、家族、恋人など画家たちがさまざまな形で描いた「いま」に注目しよう。



文:浦島茂世

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