柴咲コウ主演の『兄を持ち運べるサイズに』が11月28日(金)に全国公開される。『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した中野量太監督が、村井理子のノンフィクションエッセイ『兄の終い』を映画化した作品。
『兄を持ち運べるサイズに』
関西に住む作家の理子(柴咲コウ)に、疎遠だった兄(オダギリジョー)が死んだ、と東北の警察から電話があった。同居していた息子はまだ小学生なので、あなたに遺体を引き取ってもらいたい、ということだった。勝手気ままで、自己チューで、大嫌いだった兄だが、両親も他界している今、自分が喪主となって葬式もすませねばならない。
「一刻も早く、“兄を持ち運べるサイズ”にしてしまおう」そんな、妹の本音が書かれた原作の一節が、この風変わりなタイトルの元になった。
兄には別れた妻・加奈子(満島ひかり)との間に、子どもがふたりいる。娘の満里奈(青山姫乃)は妻がひきとり、息子の良一(味元耀大)は兄がひきとっていた。葬式を前に、久しぶりに家族が顔をあわせることに。
知らない土地で、遺体のお迎えから火葬、兄たちの住んでいたアパートの片付け、役所や学校で諸手続き、残された息子をどうするかといった、一筋縄ではいかない課題が次々とでてくる。
凄かったのは、ゴミ屋敷と化していたアパートの片付け。残飯だらけの茶の間のゴミを、カーペットごと折りたたんでポリ袋に投げ込む。壁に貼られた思い出の写真も、衣裳持ちだった兄の洋服もすべてきれいさっぱり。兄が残したバンに、その袋を満載し、ゴミ処理場に運ぶ……。
そんなとき、満島ひかり演じる元妻・加奈子はたよりになる存在。さばさばした「おっかさん」キャラで、中野量太監督の出世作『湯を沸かすほどの熱い愛』で、余命わずかにもかかわらず、失踪した夫が残した銭湯の復活に頑張る肝っ玉母さん(宮沢りえ)を彷彿とさせる役どころだ。そういえば、あの作品で「失踪したダメ夫」を演じたのもオダギリジョーでした。
兄は子どものころから落ち着きがなく、身勝手で、マイペース。理子は幼い頃から振り回されてきた。たまにメールがくるが、たいていは金の無心。でも、この“後始末”をしているうちに、残された品々から、忘れていた幼い日々の兄との思い出が呼び起こされるとともに、兄の隠れた意外な一面がみえてきて……。
原作では思い出として語られるだけの兄だが、映画では、回想だけでなく、理子の前にときおり姿をみせ、いまさらながらの言い訳をしたり、思いを語ったり、と彼女の気持ちをかき乱す。そんなファンタジー仕立てにもなっているのも、また面白い。
山崎努が認知症の父役の『長いお別れ』、家族写真家を二宮和也が演じた『浅田家!』と、家族をテーマにした作品を作り続ける監督が、東京国際映画祭の本作舞台挨拶のとき「どうしようもなくだらしなくて、迷惑をかけてしまう、でも愛されるという兄役なんです。それを演じるのは(オダギリ)1人しか思い浮かばなかった」と語っている。
親戚うちでたいていひとりくらいいる、ちょっと面倒で、やっかいな人のことを考えたり、親や兄弟姉妹を見送ったことのある人はその遺品整理の時のあれこれを思い出したり……。しばし、温かい気持ちで家族に思いを巡らしたくなる映画です。
文=坂口英明(ぴあ編集部)
(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

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