新国立劇場と日韓演劇交流センターが共催イベントを開催 韓国注目の劇作家チンジュ作『クラス』を日本初演
<ギャラリープロジェクト>『日韓演劇の現在(いま)と未来』(韓国現代戯曲リーディング公演『クラス』&シンポジウム)

東京・新国立劇場では、2025年10月の日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』にちなみ、日韓演劇交流センターとの共催で『日韓演劇の現在(いま)と未来』と題し、韓国の若手劇作家による戯曲リーディング公演とシンポジウムを11月1日(土) に開催。演劇芸術監督・小川絵梨子の方針のもと、演劇の作り手との連携を強化し、演劇の魅力をより幅広い観客層に届けることを目的とした「ギャラリープロジェクト」のイベントとして実施される。



「日韓演劇交流センター」は2000年4月に発足、日本演出者協会、日本劇作家協会、日本新劇俳優協会、日本新劇製作者協会、国際演劇評論家協会、国際演劇協会、日本劇団協議会の日本の演劇関係7団体が参加し、それぞれ委員を出す形で運営されている。主な事業として「韓国現代戯曲ドラマリーディング」を手がけており、2002年からは文化庁の助成を受け、韓国現代戯曲を日本国内で紹介することを目的に、翻訳・出版・ドラマリーディングを実施している。



今回、リーディング公演で取り上げるのは、チンジュが作劇を手がけた『クラス』。チンジュは2021年のドゥサンアートセンターのDAC Artistにも選ばれた新進劇作家で、社会の裏側で息を潜める声に焦点を当てた作品を発表し、韓国演劇界で大きな注目を集めている。代表作には朝鮮戦争における虐殺事件の中に生きた女性の人生を描いた『記憶の池』や、韓国人男性と結婚した外国人女性を指す「多文化移民女性」の自殺事件をモチーフにした『ANAX』などがある。



日本初演となる『クラス』は、ある芸術大学の戯曲創作授業で繰り広げられる、中堅劇作家と学生の間の物語。年代や価値観が異なるふたりのそれぞれの信念がぶつかる葛藤の中で、果たして互いを認め合えるのかを問いかける。演出は日韓演劇交流センターで事務局長を務め、「こつこつプロジェクト」参加演出家でもある鈴木アツト。出演者として名越志保、日沼りゆ、滝沢花野の3名が名を連ねた。



同時開催されるシンポジウムでは、日韓演劇交流センターよりシライケイタ会長、洪明花副会長、鈴木事務局長のほか、俳優、演出家、演技トレーナーとして日本で演劇活動をするキム・セイル、そして小川が登壇し、日韓演劇の現在と未来について語り合う。イベントは無料・自由席(要予約・先着順)で、受付期間は2025年10月30日(木) まで。



【『クラス』あらすじ】
芸術大学を舞台に、中堅劇作家である教授Aと卒業間近の学生Bが、戯曲創作のマンツーマン授業を通して衝突しながらも、お互いの価値観の違いに向き合っていく。


学生Bは尊敬する教授Aの厳しい指摘に反発しつつも、やがて自らの過去の性被害体験を題材にした戯曲に取り組み始める。
一方で、自殺した友人が老教授に原稿を盗用された疑惑が浮上し、紹介者である教授Aとの信頼にも亀裂が生じる。
世代、価値観など、それぞれの基準でぶつかるAとB。討論と論争はどのような結末を迎えるのか──。そして学生Bは戯曲を完成させることができるのか──。



<イベント情報>
<ギャラリープロジェクト>『日韓演劇の現在(いま)と未来』(韓国現代戯曲リーディング公演『クラス』&シンポジウム)



■韓国現代戯曲リーディング公演『クラス』
作:チンジュ
翻訳:石川樹里
演出:鈴木アツト
出演:名越志保、日沼りゆ、滝沢花野



新国立劇場と日韓演劇交流センターが共催イベントを開催 韓国注目の劇作家チンジュ作『クラス』を日本初演

上段左から)名越志保、日沼りゆ 下段左から)滝沢花野、鈴木アツト(演出)

■シンポジウム
登壇者:シライケイタ(日韓演劇交流センター会長)、洪明花(同副会長)、鈴木アツト(同事務局長)、キム・セイル(俳優、演出家、演技トレーナー)、小川絵梨子(新国立劇場 演劇芸術監督)



新国立劇場と日韓演劇交流センターが共催イベントを開催 韓国注目の劇作家チンジュ作『クラス』を日本初演

上段左から)シライケイタ、洪明花、鈴木アツト 下段左から)キム・セイル、小川絵梨子

2025年11月1日(土) 13:00開演
会場:東京・新国立劇場 小劇場
料金:無料・自由席(要予約・先着順)
受付期間:2025年10月30日(木) 23:59まで



詳細はこちら:
https://www.nntt.jac.go.jp/play/news/detail/13_030391.html

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