
ももいろクローバーZが、8月2日・3日神奈川・横浜スタジアムで『ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム』を開催した。
ももクロの夏の恒例ライブ『ももクロ夏のバカ騒ぎ(通称:夏バカ)』の開催は実に3年ぶり。
今年の『夏バカ』の会場は、ももクロにとっては初めての横浜スタジアム。百田夏菜子以外のメンバー高城れに、玉井詩織、佐々木彩夏の3人が神奈川県出身ということを考えると、初開催と聞いて意外だと感じた人も多かったのではないだろうか。今回はバックバンドのDMB(ダウンタウンももクロバンド)や太鼓ドラマーのヒダノ修一が参加すること、数々のももクロの大型ライブを手がけてきた佐々木敦規が演出を担当することなどが事前に発表されていたほか、「夏のライブで聴きたい!ももクロ定番夏ソング総選挙」と題してモノノフからリクエストを募集し、上位10曲は必ずライブで歌うことが約束されていた。
さらに、タイトルに『ハマの夜祭り番長襲名記念』との文言が加わったことで、3年ぶりとなる『夏バカ』への期待値が開催前から高まるような展開に。ちなみに、前回の『夏バカ』開催時には4人ともまだ20代だったが、今回は佐々木以外の3人が30代に突入している。これまでのワチャワチャとはっちゃけた『夏バカ』らしい演出に加えて、ももクロの大人な一面に期待していたファンも多かったことだろう。
開幕直前、まずはももクロのチーフマネージャーであるスターダストプロモーションの川上アキラがステージに登場し、急きょ前説を担当。開催に踏み切った判断やライブへの思い、前日までの台風による影響で100%の準備は整わなかったものの、設営など準備にあたっていたスタッフへの感謝と敬意を口にした後、「この後はモノノフさんに託したからな!」と熱いメッセージを伝えて会場を温めると、ステージ両サイドの大型ビジョンには「本日のスターティングメンバー発表」という形で、ももクロメンバー4人を紹介する映像が流れ始める。
そして、ライブ本編は恒例のオープニング映像からスタート。大型ビジョンには過去の夏バカ名シーンのダイジェストと共に、夏バカへの思いを熱く語る4人の姿が映し出される。立木文彦のナレーションによるオープニング映像をモノノフが歓喜して見守る中、「18年目を迎えたももクロの3年ぶりの夏ライブ。世界最高峰のパワースポットがここに!」といった立木のおなじみの煽り口調で『夏バカ2025』は幕を開けた。

©上飯坂一
まずは、バックスクリーンのオーロラビジョン上に、太鼓ドラマーのヒダノ修一と一彩が登場。会場中の視線を浴びながら太鼓のパフォーマンスが始まると、そのままDMBの生演奏で「overture ~ももいろクローバーZ参上!!~」へと続いていく。生バンドによるovertureでモノノフのテンションが一気に高まり、全力のコールが横浜スタジアム中に鳴り響く中、カウガールをイメージした衣装を纏った4人がステージに登場すると、「Re:volution」でライブはスタートした。ロックバンド・BLUE ENCOUNTの田邊駿一が手がけた曲ということもあり、生バンドのスタジアムライブの幕開けには相応しい1曲。ひとりずつ番長を意識したサングラスを外しながら歌い繋いでいく様子がビジョンに映し出されると、メンバーの名前を呼ぶコールと歓声が会場に大きく響き渡った。

©さいちょー

©さいちょー

©上飯坂一

©増田慶
場内に16基も設置され、高さ50mに届きそうなほどのウォーターキャノン(放水)の演出も加わり、モノノフのボルテージをさらに高めると、2曲目は「DNA狂詩曲(ラプソディ)」。スタジアムライブに映える人気曲を立て続けに披露したところでホイッスルが鳴り響き、「夏のライブで聴きたい!ももクロ定番夏ソング総選挙」第3位にランクインした「ワニとシャンプー」へ。
続いて、DMBのベーシストやまもとひかるのシンセベースから「CONTRADICTION」。さらに「BIONIC CHERRY」と初期の人気曲で畳みかけていく。特に、「BIONIC CHERRY」では「ズッキュン ズッキュン」という歌い出しから大歓声が上がり、サビのジャンプでは会場の揺れを感じるほどの盛り上がりに。ウォーターキャノンとモノノフのコールが見事に融合し、懐かしさと共に初っ端から夏バカ感を大いに味わえるようなファーストブロックとなった。

©さいちょー
ちなみに、今回のメインステージ中央には4体の巨大なモアイ像ならぬ“モモアイ像”が設置され、両サイドにはピラミッドや鳥居を配置。さらに、サブステージには上から見るとナスカの地上絵を模したようなイラストが。その周りにはももクロメンバーが書いたイラストも描かれていた。そして、サブステージへと続く花道にはスフィンクスに扮したももクロのマスコットキャラクターももたんの“ももたん列車”がセットされるなど、まさに世界中のパワースポットが集められていた形だ。
最初のMCパートで、4人それぞれがおなじみの自己紹介を披露すると、メンバーは無事に開催できたことへの喜びや感謝を口にしながら、モノノフにこまめな水分補給を呼びかけていく。今回は炎天下での夏の野外ライブということもあり、適宜そうした声がけや呼びかけがなされていたほか、開場時間を少し遅めに設定したり、水撒きエリアを設置したりするなどの運営側の様々な配慮や工夫も見られた。
バンドやダンサーの紹介を経て、次のブロックはライブ初披露となる読売ジャイアンツ移籍後の田中将大投手の登場曲「Acceleration」でスタート。

©増田慶
ここで、ももクロメンバーが一度ステージを降りると「夏バカ盆踊り2025」という特別コーナーへ。ももクロ楽曲を盆踊り風アレンジで繋いでいきながら、ももクロのボイストレーナーを務める岡田実音と事務所の後輩スタプラ研究生が歌唱を、ももクロの振り付けを務めるAnna率いるダンサーチームUNNATURALSと地元のキッズダンサーチームCAN Dance Factoryとみーちゃんずキッズダンサーが盆踊りのパフォーマンスを担当した。ひと時のクールダウンのパートになるかと思いきや、スタプラ研究生やダンサー達の熱量を受けて、モノノフも熱い視線とエールを送っていく。さらに、パフォーマンス終了後には、今回出演した7人のスタプラ研究生による単独公演をサプライズ発表。このように頑張っている事務所の後輩をフィーチャーするあたりが何ともももクロらしい演出だ。
そして、ここから後半戦へ。スフィンクスに扮したDMBのギタリスト・ホワイトマンによるギターソロから「stay gold」が流れ出すと、ももクロ4人がチャイナ風衣装にチェンジして登場。前半戦同様、ブロック1曲目がクラップやコールが加わることでライブ映えするロック曲で始まっていたのが印象的だった。続いては、横浜DeNAベイスターズのヒーローインタビュー時に使用されているステージカーに乗ってアリーナを大回りに移動しながら「行くぜっ!怪盗少女」をパフォーマンス。セットリスト中盤での「怪盗少女」でモノノフのテンションがさらに高まったところで、ロックフェスでたびたび披露されている「孤独の中で鳴るBeatっ!」をスカパンク風アレンジで披露。この曲の頃には横浜のビル群の先にうっすらと夕焼けがみえる時間帯に。そして、ステージカーが上手側で停車すると再びMCパートへ。

©上飯坂一

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©上飯坂一
ここでは、今回特別に設置された「グループ応援エリア席」のモノノフをグループ毎に呼びかけてビジョンに映し出して紹介するという粋な演出も見られた。そして、10代、20代、30代……と世代を区切って会場のモノノフに呼びかけると、客席には80代のモノノフの姿も見られたほか、10代未満の通称“チビノフ”の姿もたくさん見られ、改めて、ももクロが老若男女に愛されるグループであることを再認識することに。
そして、段々とペンライトが映える時間帯に突入していくと、百田の「さらに最高の思い出作っていきましょう!」との呼びかけから、「走れ!」で次のブロックがスタート。夏を感じる軽快なアレンジが鳴り響く中、4色のペンライトと雲を染めた夕陽の対比がとても美しく、まさにマジックアワーと言える奇跡の瞬間を切り取ったような景色が広がっていた。ラスサビでスタジアムの照明やビジョンの映像が消え、4色のペンライトとモノノフの大合唱で会場がひとつになったところで、バンドマスター宗本康兵のしっとりとしたピアノ演奏から夏の名曲「Hanabi」へ。

©増田慶

©上飯坂一

©増田慶

©増田慶
再びサブステージへと移動し、「おまえらタオルは好きか?」と煽ると、「BLAST!」で次のブロックへ。すっかりタオル曲として定着したライブ定番曲だ。中盤では、佐々木が「まだまだ足りないよ、もっと回してー!」とさらにモノノフを煽っていく。続いての曲は、「GODSPEED」。「BLAST!」同様にスポーツの応援歌といったメッセージ性の強い楽曲。ももクロらしいポジティブな歌詞でエールを送ると、さらに人気曲「ツヨクツヨク」へと繋いでいく。野外の夏ライブならではの会場中でタオルが回る光景はまさに壮観。この曲ではキッズダンサーも加わり、ももクロのライブらしい一体感と多幸感を生み出していく。

©上飯坂一
そして、このブロックの最後には『ももいろクリスマス2025』の開催をサプライズ発表。今年も12月20日(土)・21日(日)の2日間、埼玉・さいたまスーパーアリーナでの開催が決まり、会場からは大きな歓声が沸き起こる。
そして、最後のブロックでは、7月23日に発売されたばかりの新曲、『機動戦士ガンダム アーセナルベース FORSQUAD』主題歌の「Event Horizon」を披露。インタビューなどで、ももクロとモノノフの関係性にも通ずる曲だと語っていた楽曲だ。暗くなった場内にレーザー照明と花火の演出も加わり、楽曲の世界観をさらに盛り上げていく。特に、「君から見た景色 僕から見た景色」という歌詞を、ももクロとモノノフのことだと捉えて受け止めた人も多かったことだろう。4人の声が重なったサビがエモーショナルに鳴り響き、コールが加わることでさらにライブ映えする楽曲であることも証明。今後のライブでの可能性を感じさせる力強いパフォーマンスを見せると、ラストは「Re:Story」。アコースティックな演奏に乗せて、ステージ中央に4人が並んで座ったまま、「8月のステーション」という歌詞から始まる尊い歌い出しに。楽しいだけではない、夏特有の切なさや寂しさも感じさせる心に沁みる1曲で本編は終了した。

©上飯坂一
20時近くなり、完全に陽が落ちた場内にアンコールが沸き起こると、大型ビジョンにはチビノフと呼ばれる子ども達の姿が次々と映し出されていく。会場中がほっこりとした空気に包まれるこの展開ももうおなじみの光景だ。そして、「ENCORE OVERTURE」が響き渡り、盛大なモノノフのコールで再び会場に一体感が生まれると、4人が今回のグッズのユニフォーム姿でステージに登場。

©さいちょー
アンコールの1曲目は「夏のライブで聴きたい!ももクロ定番夏ソング総選挙」で見事第1位に輝いた「天手力男」だ。2014年に同じく神奈川・日産スタジアムで行われた『ももクロ夏のバカ騒ぎ2014 日産スタジアム大会~桃神祭~』での大雨が止んで虹がかかった時の記憶や思い出とリンクさせて、浸りながら聴いていたモノノフも多かったに違いない。その時の演出を彷彿させるダンサーによる和傘を持ったパフォーマンスもとても心に残った。

©上飯坂一

©増田慶

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©増田慶
さらに、篠笛を想起させるようなフルートの音色が響き渡り、定式幕の模様がビジョンに映し出されると、続いても和のテイストが詰まった「ニッポン笑顔百景」へ。まさに会場中に笑顔が溢れる中、間奏では「ワッショイ!ワッショイ!」のコール&レスポンスが生まれていく。そして、DMBメンバーやヒダノ修一&一彩、ダンサーの紹介を経て、2011年リリースの1stアルバム収録「コノウタ」へ。ずっとライブでの人気が高かった1曲だが、デビュー当時のがむしゃら感が詰まった楽曲を大人になった今のももクロが歌うことで、昔からのファンにはより深く心に響いたことだろう。
ラストには約500発の花火の演出も加わり、観る者の気持ちをさらに昂らせていく。そして、ラストの1曲は昨年リリースの「やわく恋して ~ずっと僕らでいられますように~」。2025年の夏バカを締め括るに相応しい、今のももクロらしい選曲で温かく優しい空気に包まれた中、DAY1はフィナーレを迎えた。

©さいちょー
最後の挨拶。高城が「32年間、横浜で様々なお祭りに参加してきたけれど、最高で最強のお祭りでした。この景色を当たり前だと思わず、これからもバカになっていきたい」と語り、佐々木が「これまで横浜スタジアムでライブをやりたいと明言してきたことはなかったけれど、神奈川県民として一度は立ちたいと思っていた。夢が叶って本当に良かった」と地元への思い、横浜スタジアムへの思いを語ると、玉井は「ここ数年、夏に何か物足りなさを感じていた。やっぱり4人で見るこの景色が一番好きだなと思った」と語り、最後に百田が「(ライブの後半のメンバー紹介の際に)最愛のパートナーであるモノノフさんを紹介する瞬間が大好き。今日も一緒にバカ騒ぎしてくれてありがとう。みんなのおかげで天候にも恵まれて素敵な夏の思い出になりました」と夏バカへの思い、モノノフへの思いを語って締め括ったのがとても印象的だった。

©さいちょー
夏の野外ライブは時に天候の影響を受けることも多いが、それゆえに、その場に集まった者だけしか味わえない奇跡的な瞬間や光景も共有することができる。今回改めて季節毎に集まれる場所があることが当たり前ではなく、尊いことであることを誰もが再認識したライブになったのではないだろうか。だからこそ、集まった全員が頭のネジを外してバカ騒ぎすることを心からとことん楽しみ、その喜びを共有できたのだろう。まさに、ももクロらしい、ももクロにしか出せない一体感と空気感がそこには広がっていた。
そして、DAY2の最後の最後には、もうひとつの発表が。今回の『ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム』の映像化が決定し、来年3月4日(水)にリリースされることがサプライズで発表された。この夏の最高の思い出として胸に刻まれた夏バカを何度も何度でも見返してほしい。そして、来年の夏もまた会えることを願って。
Text:ASTUSHI OINUMA Photo:上飯坂一 / 増田慶 / さいちょー / ニッタ ダイキ
<公演概要>
『ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム』
2025年8月2日(土)・3日(日) 神奈川・横浜スタジアム
【DAY1 Set List】
overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
M1. Re:volution
M2. DNA狂詩曲(ラプソディ)
M3. ワニとシャンプー
M4. CONTRADICTION
M5. BIONIC CHERRY
M6. Acceleration
M7. ココ☆ナツ
M8. ROCK THE BOAT
M9. ももいろ太鼓どどんが節
M10. stay gold
M11. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
M12. 孤独の中で鳴るBeatっ!
M13. 走れ! -ZZ ver.-
M14. Hanabi
M15. BLAST!
M16. GODSPEED
M17. ツヨクツヨク
M18. Event Horizon
M19. Re:Story
<ENCORE>
M20. 天手力男
M21. ニッポン笑顔百景 -ZZ ver.-
M22. コノウタ
M23. やわく恋して ~ずっと僕らでいられますように~
【DAY2 Set List】
overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
M1. 天手力男
M2. ロードショー
M3. ワニとシャンプー
M4. 泣いてもいいんだよ
M5. MONONOFU NIPPON feat. 布袋寅泰
M6. Nightmare Before Catharsis
M7. ココ☆ナツ
M8. 堂々平和宣言
M9. ももいろ太鼓どどんが節
M10. Re:volution
M11. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
M12. Chai Maxx
M13. 走れ! -ZZ ver.-
M14. Re:Story
M15. 一味同心 feat. 新発田はるいち合唱団
M16. BLAST!
M17. On Your Mark
M18. ツヨクツヨク
M19. Acceleration
M20. Hanabi
<ENCORE>
M21. Event Horizon
M22. レナセールセレナーデ
M23. 愛を継ぐもの
M24. キミノアト
▼DAY1&DAY2セットリストプレイリスト
https://mcz.lnk.to/summer2025
<リリース情報>
Blu-ray/DVD
『ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム』
2026年3月4日(水) 発売
◼︎Blu-ray:14,000円(税込)
◼︎DVD:14,000円(税込)
予約リンク: https://mcz.lnk.to/summer25PKG
特設サイト: https://mcz-release.com/live/natsubaka2025/
23rdシングル
「Event Horizon」
発売中
◼︎初回限定盤(MAXI+BD):3,500円(税込)
【CD収録曲】
1. Event Horizon
2. Cosmic Commotion
3. Event Horizon(GAB edition)
4. Event Horizon(off vocal ver.)
5. Cosmic Commotion(off vocal ver.)
【Blu-ray収録曲】
・『Event Horizon』Music Video
・『Event Horizon』Music Video メイキング映像
◼︎通常盤(CDのみ):2,200円(税込)
【CD収録曲】
1. Event Horizon
2. Cosmic Commotion
3. 可視光線
4. Event Horizon(off vocal ver.)
5. Cosmic Commotion(off vocal ver.)
6. 可視光線(off vocal ver.)
<公演情報>
『ももいろクリスマス2025』
12月20日(土)・21日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
特設サイト: https://www.momoclo.net/momochri2025/
▼ももいろクローバーZ インタビューは こちら(https://lp.p.pia.jp/article/news/422888/index.html)
ももいろクローバーZ オフィシャルサイト
https://www.momoclo.net/