メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕
メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』ゲネプロ公演&取材会より

しずる、サルゴリラ、ライスという実力派のコント師3組と、作家・演出家の中村元樹による7人組の演劇チーム、メトロンズ。着実に公演の規模を拡大してきた彼らの新作『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』が4月30日から東京・赤坂RED/THEATERで上演されている。

初日30日の昼にゲネプロが行われた。



自動車工場の洗車部署で働く6人。チームの親睦を深めるため、部署を取り仕切る遠藤（池田一真）を中心に旅行を計画する。宮古島へ行くことを楽しみにするメンバーたちだが、旅行の4日前に遠藤の叔父の訃報が入る……という物語。黒を基調としたシンプルな舞台美術の中で、6人それぞれの迷いや気遣い、思惑の交差がじっくりと描かれる約80分間の会話劇だ。



メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

ゲネプロ直後に行われた取材会では、サルゴリラ・児玉智洋やしずる・純らが口を揃えて「ゲネプロでの反応がよかった」と語り、ほっとした表情を見せる。サルゴリラ・赤羽健壱は「ゲネプロを観てくださった皆さんがちょっと笑いすぎていたので、気を引き締めて本番を頑張りたい」と話したが、ライス・田所仁は「脚本の池田に『ここ、絶対ウケるぞ』と言われたところがウケなかったので不安が残ります」と笑わせた。ライス・関町知弘の「ゲネプロをやってみて、『ここはもうちょっと足せるな』『ここは顔を作れるな』とわかりました」という感想に赤羽は「なんで足すんだよ！」、池田は「怖い！」と反応。関町が本番で勝手にアドリブを繰り出す可能性に戦々恐々としていた。



メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

「自身の役の見どころは？」という質問に対して、関町は「僕だけががっつりあるものを食べるシーンがあるんです。僕は毎回、公演のたびにこの劇場まわりのおいしいものを食べるのを楽しみにしているんですが、そのシーンを成立させるために今回は抑えています」とストイックな面を見せる。一方、関町の相方であり体育会系の役柄を演じる田所が「ふつうの俳優さんだと本番に向けて体作りをするんですけど、ありのままの体型で演じるというちょっと難しいことに挑戦しています。

どこまで演技でマッチョに見せられるか、注目してください」とチャレンジのように語るが、一斉に「鍛えてって言ったじゃん」「ただの怠惰だよ」などと声が上がった。



メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

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今回の脚本を担当したのは池田。「今回はなんといっても人間の死を扱う、しかもそれを芸人がやるというかなりセンシティブな部分がある。でも、人の死は普遍だし、誰もが経験すること。それをいかにコメディにできるかというのは難しかった。自分としては、コメディよりも人間ドラマとして描いたつもり」と話したあと、「だから、ウケたのはちょっと不本意です」と真顔で続け、メンバーからツッコまれる。演出を担当している中村は「池田から脚本をもらったとき、コントと演劇の隙間に転がっている面白さがあった。それを芝居を通して伝えられたらと思い、演技や見せ方にちょっとした違和感を作りました」と演出のポイントを語った。



メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

今作同様、旅行の直前で一緒に行くメンバーの叔父さんが亡くなる事態に直面した場合、自分たちならどうするかという問いには6人全員が明確な答えを出せず、頭を悩ませる。「結局塩梅なんですよね」と純。「自分以外のメンバーがどういう人なのか、何人いるのか、旅行を決行したい人とやめたい人が何人対何人なのかによって全部変わってくる」とこの状況に陥ったときの難しさを語る純の意見を受けて、「この芝居を観ると、『自分だったらこうするかな』とか『こういうヤツだったら今後付き合っていけるよな』とか、そういうことを考えるきっかけになるかも」と池田が今作の効能を語った。



メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

2021年の旗揚げ以来、年1～2回コンスタントに新作を上演してきたメトロンズ。

3組は芸人活動の傍らメトロンズの活動に打ち込み、回を重ねるごとに動員を増やしてきた。今作では、過去最多となる16公演が予定されている。メトロンズのリーダーである児玉は「メトロンズでは、間をたっぷり使うなど、ふだんのコントではできない笑いができる。こうして芸人が本気で演劇に向き合って作る新しいカタチのお笑いは、今まであるようでなかったと思います。ぜひ、体験しに来てほしいです」と呼びかけた。



メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

メトロンズ『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい』コント師が贈る本気の舞台が開幕

東京での1カ月公演や地方公演、作品の映像化など次々と今後の目標を掲げた児玉。今作は5月11日(日)まで上演されるほか、5月12日(月)からは配信もスタート。また、9月10日(水)～28日(日)まで、同じく赤坂RED/THEATERにてゲストに川上友里と福井夏を迎えた第9回公演『No Sing, No End!』が上演される。



取材・文：釣木文恵



＜公演情報＞
メトロンズ第8 回公演
『遠藤さんの叔父さんが死んだけど旅行は行きたい 』



脚本：池田一真（しずる）
演出：中村元樹

出演：
赤羽健壱（サルゴリラ）、池田一真（しずる）、
児玉智洋（サルゴリラ）、関町知弘（ライス）、
田所仁（ライス）、純（しずる）

2025年4月30日(水)～5月11日(日)
会場：東京・赤坂RED/THEATER



チケット情報：
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2438507（https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2438507&afid=P66）



公式サイト：
https://metronz.jp/#



※過去作品はメトロンズの公式YouTubeチャンネルにて全編公開中
公式YouTube：
https://www.youtube.com/@metronz_officialyoutube

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