
東京芸術劇場とルーマニア/ラドゥ・スタンカ国立劇場の共同制作による新作、佐々木蔵之介一人芝居『ヨナ』が、現地時間2025年5月21日19時にルーマニア・シビウ市のラドゥ・スタンカ国立劇場で開幕した。
『ヨナ』は、ルーマニアの国民的詩人マリン・ソレスクの代表作で、旧約聖書の聖人ヨナの逸話を題材としている。
佐々木とプルカレーテは、2017年の『リチャード三世』、2022年の『守銭奴』(いずれも東京芸術劇場制作)でタッグを組み、人間の暗部に深く迫りつつもユーモアにあふれる優れた舞台成果を残した。佐々木はプルカレーテとの作業を「今までの演劇体験の中で最も楽しかった」と振り返り、プルカレーテも佐々木の発想の豊かさと身体能力の高さに大いに刺激を受けたという。東京芸術劇場とラドゥ・スタンカ国立劇場は、佐々木とプルカレーテの信頼関係をさらに発展させ、国際ツアーに出せる作品の共同制作に取り組むことで合意。日本、ルーマニア双方の国の戯曲を検討したところ、プルカレーテより、敬愛するソレスクの作品『ヨナ』の提案があったことにより、本作の上演が実現した。
佐々木は4週間の稽古期間、これまでに経験したことのない詩的な表現に向き合ったが、プルカレーテの手により、聖書のキャラクターの逸話が、絶望的な状況に置かれた小さな個人が最後まで生き抜く道を探すというドラマに生まれ変わり、現代世界で起こっているさまざまな困難の下で抑圧される個人へのエールともいえる作品に仕上がった。それに応えて佐々木も、ある時は静かに、ある時は激情を持って台詞を伝えた。ルーマニアの人々にとって、日本人俳優が演じることにより、自分たちの民族史に新しい見方を発見する機会になったようで、感動で目を潤ませる観客の姿も見受けられた。初日公演のカーテンコールは4回に及び、スタンディングオベーションで迎えられた。


満場の観客から大きな拍手を浴びた佐々木は、「今日の初日をこのように迎えられて、本当にうれしかったです。
本作品はシビウ公演の後、ブダペスト、クルージュ・ナポカ、ブカレスト、キシナウ、ソフィアを回り、2025年6月26日(木) にはシビウ国際芸術祭で上演される。日本公演は、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」芸劇オータムセレクションとして、10月1日(水) のプレビュー公演を経て同13日(月・祝) まで東京・東京芸術劇場 シアターウエストで上演。その後、石川・長野・茨城・山口・大阪を巡る。
<公演情報>
佐々木蔵之介一人芝居『ヨナ』東欧ツアースケジュール
【ルーマニア/シビウ プレミア】
2025年5月21日(水) 19:00、22日(木) 19:00
会場:ラドゥ・スタンカ国立劇場
【ハンガリー/ブダペスト マダッチ国際演劇会議】
2025年5月24日(土) 19:00
会場:ハンガリー国立劇場
【ルーマニア/クルージュ・ナポカ】
2025年5月27日(火) 19:00
会場:ルチアン・ブラガ国立劇場
【ルーマニア/ブカレスト】
2025年5月30日(金) 19:00、31日(土) 19:00
会場:オデオン劇場
【モルドバ/キシナウ】
2025年6月3日(火) 19:00
会場:サティリクス・イオン・ルカ・カラジャーレ国立劇場
【ブルガリア/ソフィア】
2025年6月7日(土) 16:00&21:00
会場:イヴァン・ヴァゾフ国立劇場
【ルーマニア/シビウ国際演劇祭】
2025年6月26日(木) 20:00
会場:ラドゥ・スタンカ国立劇場
<日本公演情報>
舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」芸劇オータムセレクション
佐々木蔵之介一人芝居『ヨナ-Jonah』
作:マリン・ソレスク
翻訳・修辞:ドリアン助川
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
舞台美術・照明・衣裳:ドラゴッシュ・ブハジャール
音楽:ヴァシル・シリー
出演:佐々木蔵之介
【東京公演】
2025年10月1日(水) プレビュー公演/10月2日(木)~13日(月・祝)
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト
【水戸(茨城)公演】
2025年11月1日(土)・2日(日)
会場:水戸芸術館ACM劇場
【山口公演】
2025年11月8日(土)・9日(日)
会場:山口情報芸術センタースタジオA
【大阪公演】
2025年11月22日(土)~24日(月・休)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
他、金沢(石川)、松本(長野)でも公演あり。
詳細はこちら:
https://www.geigeki.jp/performance/theater377/