
2025年9月26日(金)から10月5日(日)、東京・紀伊國屋ホールにて、秋田雨雀・土方与志記念青年劇場 第135回公演『I, Daniel Blake―わたしは、ダニエル・ブレイク』が上演される。イギリスの複雑な社会保障制度の中で、人としての尊厳を踏みにじられ、貧困に苦しみながらも助け合って生きていく社会的弱者の姿を描き、大ヒットを記録した映画の舞台化作品だ。
1964年に結成された青年劇場は、日本近現代劇、海外の作品などを意欲的に上演するとともに、学校公演をはじめとした青少年のための公演活動や青年劇場スタジオ結(YUI)での近代古典作品、実験的作品への挑戦など、多彩で独創的な活動を展開している。社会派で骨太の日本の戯曲のほか、海外の知られざる名作にも光を当てているが、今回上演する作品は、2016 年、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、2017年英国アカデミー賞(BAFTA)英国作品賞を受賞したケン・ローチ監督による映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』(邦題)が原作だ。舞台化のための脚本を手がけたのは、この映画の主演で注目された、スタンドアップコメディアンで作家、俳優のデイヴ・ジョーンズ。本作は2023年5月の初演後、イギリス各地を巡演し、2023年度英国演劇賞最優秀ツアー公演賞など数々の演劇賞を受賞した。
主人公は、イギリス北東部ニューカッスルで大工として働くダニエル・ブレイク(ダン)。経験豊富だが、心臓発作で医者から仕事を止められ、給付金の手続きのため訪れた職業安定所で、ロンドンから引っ越してきたばかりのシングル・マザーのケイティーとその娘デイジーの親子と出会う。ダンが家の修理を手伝ううちに友情が芽生えるが、複雑で官僚的な福祉制度のために一向に給付金を得ることができず、生活はますます追い込まれ、世間の目も冷たい。ついにダンは彼自身の尊厳をかけてある行動に出るが──。

青年劇場『I, Daniel Blake―わたしは、ダニエル・ブレイク』稽古風景
巨匠ケン・ローチの映画で世界中に感動をもたらした物語が、舞台版としてどのように立ち上がっていくのだろう。演出は、青年劇場の小劇場企画『動員挿話/骸骨の舞跳』で初めての演出を手がけ、以降、『原理日本』『宣伝』『鮮やかな朝』『豚と真珠湾―幻の八重山共和国』『行きたい場所をどうぞ』などを演出してきた大谷賢治郎。ダニエル・ブレイクを葛西和雄が演じるほか、ケイト・ジェンキンス役で中山万紀、デイジー・ジェンキンス役で竹森琴美、ダンの隣人チャイナ役で矢野貴大が出演、彼ら生身の身体が物語る、舞台版だからこその感動に期待を。
<公演情報>
秋田雨雀・土方与志記念青年劇場 第135回公演
『I, Daniel Blake―わたしは、ダニエル・ブレイク』
劇作・脚本:デイヴ・ジョーンズ
演出・翻訳:大谷賢治郎
出演:
葛西和雄、湯本弘美、中山万紀、船津基、永田江里、岡山豊明、矢野貴大、岡本有紀、五嶋佑菜、山本直弥、竹森琴美
2025年9月26日(金)~10月5日(日)
会場:東京・紀伊國屋ホール
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2528971(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2528971&afid=P66)
公式サイト:
https://www.seinengekijo.co.jp/s/danielblake/