小池貞利(the dadadadys)、1stアルバム発売直前&ワンマンツアーインタビュー「感覚と論理の狭間にいられるようにしたい」
小池貞利(the dadadadys)

Text:森朋之/Photo:石原敦志



すべてはとっくに終わっていて、未来はどう考えても暗い。ただ、そんなのは前提であって今さら嘆いてもしょうがない。であれば、この地獄のような世界をどうにか楽しんで生きるしかないんじゃないか......the dadadadysの1stアルバム『+天竺』のムードを言語化すれば、そういう感じだろうか。現在行われている対バンツアーに続き、8月からはワンマンツアーもスタート。2022年1月の活動開始(“teto”から“the dadadadys”に改名)から3年半でたどり着いた本作とツアーについて、フロントマンの小池貞利(vo/g)に聞いた。



――1stアルバム『+天竺』がついに完成しました。手ごたえはどうですか?



もう録り直したいですけどね(笑)。でも、現状できることはやれる範囲で何とかやれたのかなと。



――現時点でのバンドの全体像が明確に刻まれた作品だと思います。活動スタートから3年半経っていますが、やはりこれだけの時間が必要だったんでしょうね。



そうですね。元からいたメンバー(佐藤健一郎/b)以外の3人(yucco/ds、山岡錬/g、儀間陽柄/g)は僕のエゴで集めちゃったんですけど、自分が主体になってもあんまり面白くなくて。バンドの内の雰囲気を調整しつつ、お互いのこともちょっとは分かるようになってきて、「そろそろいいだろう」というところで出せたアルバムかもしれないですね。



小池貞利(the dadadadys)、1stアルバム発売直前&ワンマンツアーインタビュー「感覚と論理の狭間にいられるようにしたい」

――小池さんのワンマンバンドでは意味がない?



それだったら俺ひとりでやればいいって話になっちゃいそうなので。基本は俺が作詞・作曲をしているんですけど、なかにはメンバー(儀間)が作って自分で歌っている曲もあったり。それぞれの強みを尊重しつつやれたのかなと。自分のことでいうと、お客さんというか、the dadadadysを知っている人が喜んでくれるような曲は何となく分かるんですけど、そういう曲を作る元気は今なくて(笑)。そうじゃなくて、メンバーとかスタッフとか、身近な人が聴いて「いいじゃん」って言うような曲だったらやれるのかなと。そんな感じだったと思います。



――小池さん自身が喜ぶ曲というか、「こういうのやりたい」という欲求もありますよね?



もちろんあります、ただ、それをやったところで意味がなくない?って思っちゃうんですよ。自分がやりたい曲って「自分が聴きたい曲」ってことだと思うんですけど、それはひとりで作ってひとりで聴けばいいので(笑)。俺が聴きたい曲を世の中に届けたい、全国民に聴いてほしいという感じには一生ならないでしょうね。そんな簡単に分かられても困るし(笑)。



――アルバムにはthe dadadadysとして最初にリリースした楽曲「ROSSOMAN」も収録されていますが、アルバムの全体像ってどんなものだったんですか?



自分の頭の中にはあったんですけど、メンバーに説明はしていなかったですね。いわゆるロックバンドの1stアルバムっぽいものを作ろうと思っていたんですが、自分で“10”という縛りを作っちゃたんですよ。10曲入れることだったり、ツアーで10カ所回ることだったり。なのでタイトル(『+天竺』/読み:プラステンジク)にも“十(じゅう)”に見える記号を入れたり、テンからはじまる“天竺”にして。あとはまあ、どうやっても「これで世界を揺るがすぜ」みたいなアルバムにはならないと思っていました。もう35歳だし、音楽的なロジカルな部分も欲しいじゃないですか。かといって熱量が感じられないこともやりたくないので、感覚と論理の狭間にいられるようにしたいなと。



小池貞利(the dadadadys)、1stアルバム発売直前&ワンマンツアーインタビュー「感覚と論理の狭間にいられるようにしたい」

――衝動でバンドをやる時期は過ぎた、と。



というか、ロックバンドみたいに振る舞うのがイヤなんですよ。インタビューにいきなりタメ口で話すようなバンドマン、イヤじゃないですか(笑)。自分はもうちょっと俯瞰的に物事を見たいし、相手のことも考えて、多角的に見ながら表現していきたいので。そういうのがカッコいいと思っちゃうタイプなんですよ。



――では、収録曲について聞かせてください。1曲目の「GO jiGOku!!」には〈とっくの昔から げぇむおーばー なのだ〉という歌詞があって。これは“すべて終わっている”というところからしか始められないという......。



そうですね。「もうそろそろごまかせなくない?」というか。街を見てもいろいろ思うし......これは政治的な話になっちゃうからアレなんですけど、どう見ても地獄やろ?とは思っています。こういう話ってしづらいけど、タブーにしてもしょうがないというか、調べたら分かることなんで。ただ、自分は地獄なりに楽しんでいますけどね。地獄も悪いわけではないので。



――なるほど。そして「モォニンググロォリィ」はメロディック・パンク、スカコアのテイストをガッツリ取り入れたアッパーチューン。これをリード曲にしたのはどうしてですか?



サビがキャッチ―でいいかなと思ったのと、今となってはあんまり聴いたことがないテイストじゃないかなと。フェスとかでこういう曲をやっているバンドはほとんどいない気がします。



小池貞利(the dadadadys)、1stアルバム発売直前&ワンマンツアーインタビュー「感覚と論理の狭間にいられるようにしたい」

――確かに。



あの時代は良かったとか、あの頃に戻りたいと思っているわけではなくて。自分も後出しジャンケンをしているだけで、先人たちの素晴らしい音楽を聴かせてもらって、こういう曲を作っているわけだし、まあ「こういう曲もあっていいよね」くらいなんですけどね。自分が好きかどうかもあまり重要じゃなくて、今、the dadadadysとして何をするべきか?という感じもあります。それが世に届くかどうかは分からないし、タイミングとかもあるとは思うんですけど、自分たちの立ち位置を俯瞰したうえで、「こういう曲をやると、感化される人もいるよね」という。



――「rock'n'roll ぎゃる」は儀間さんが作詞・作曲を行い、ボーカルも担当。



さっきも話しましたけど、自分以外のメンバーが書いた曲もあったほうがいいなと思って。彼(儀間)も「こんな歌詞は今まで書いたことない」と言っていたし、「こんな曲も作れるんだ」と思えたとしたら彼にとってもよかったんじゃないかなと。



――当たり前ですけど、the dadadadysをやっていなかったら「rock'n'roll ぎゃる」みたいな曲は作っていないでしょうからね。



そうだと思います。「このバンドでやるんだったら、こういう曲かな」という感じだったかもしれないし、「こういうことをやらないと小池がめんどくさい」だったかもしれないけど(笑)。どっちにしろ素晴らしいと思います。



小池貞利(the dadadadys)、1stアルバム発売直前&ワンマンツアーインタビュー「感覚と論理の狭間にいられるようにしたい」

――もうひとつのリード曲「らぶりありてぃ -la dolce vita-」もこのアルバムの聴きどころだと思います。〈黒歴史は塗りつぶせそうもない/また新しい壁紙で新たに〉もそうですが、グッとくるフレーズがいくつもあって。すごく率直な歌詞ですよね。



この曲を作ったのは1年半くらい前なんですけど、自分自身「ここからどこへいこうか?」って迷っていた時期なんですよね、表現者として。自分の立ち位置を確認しなくちゃいけなかったというか、バンドのボーカリストとしてどうすればいいのか?という。本当の自分を表現したいということじゃないんですよ。それは地元の友達が知ってくれているんで(笑)。音楽を通して自分を伝えたいわけではないし――嘘はつかないほうがいいですけど――カリスマやロックスターになりたいわけでもなくて、たまに助けてくれる近所の人くらいでちょうどいいのかなと。その感覚はこの曲にも入っていますね。



――現在は対バンツアー『the dadadadys TOUR 2025 ( ホォリィ ) モォニンググロォリィ ~ぴかぴか道中編~』の真っ最中。そして8月後半からはワンマンツアー『ぎらぎら悶絶編』がスタート。ファイナルは10月10日(金) 恵比寿 LIQUIDROOM公演です。



ワンマンツアーは残暑の時期なんですけど、真夏よりはマシだと思います(笑)。10月10日(金)になると、もう今の自分はいないというか、全然違う人になっていると思うんですよ。



――血液も4カ月くらいで入れ替わりますからね。



そうですよね。汗もかくし排泄もするし、中身も考え方もどんどん変わるじゃないですか。最近は「明日に持ち越さない」をテーマにしていて。それでも持ち越してしまうのが、自分がいちばん大切にしたい哲学というか。10月10日(金)に何が残っているのかは分からないですけど、「それまで楽しみにしていよう」と思ってくださっているお客さんもいるんじゃないかなと。お客さんを楽しませる自信はあるんですよ、それがあと何年続くか分からないですけど。ただ「俺のことは誰が楽しませてくれるんだろう?」とずっと思っていて。



――楽しいことないですか?



ないんですよね、興味もないし。なので最近は、小学校、中学校の頃に観ていた巨人の試合とか、セリアAとかを観ています(笑)。



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<リリース情報>
1stアルバム『+天竺』



7月9日(水) CD&配信リリース
3,300円(税込)

【収録曲】
01.GO jiGOku!!
02.モォニンググロォリィ
03.ROSSOMAN -void-
04.rock'n'roll ぎゃる
05.恥晒氏
06.ホォリィ・嫉妬
07.king of gelato
08.しゃらら -Taale Zameen Pal-
09.らぶりありてぃ -la dolce vita-
10.吾亦紅

予約リンク:
https://thedadadadys.lnk.to/ptjcd

特設サイト:
https://dadadadys.com/10/index.html



<ツアー情報>
『the dadadadys TOUR 2025(ホォリィ)モォニンググロォリィ ~ぴかぴか道中編~』



※終了公演は割愛
7月3日(木) 東京・渋谷 Spotify O-Crest
共演:ペルシカリア

7月5日(土) 東京・吉祥寺 Warp
共演:時速36km

7月8日(火) 東京・東高円寺 U.F.O. CLUB
共演:トップシークレットマン

7月10日(木) 東京・上野 音横丁
共演:dadadadys MK-Ⅱ

【チケット情報】
一般:4,400円(税込) / 学割:3,400円(税込)
※ドリンク代別途必要
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2560278(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2560278&afid=P66)



『the dadadadys TOUR 2025(ホォリィ)モォニンググロォリィ ~ぎらぎら悶絶編~』



8月22日(金) 東京・渋谷La.mama
9月5日(金) 神奈川・横浜F.A.D
9月15日(月・祝) 愛知・名古屋CLUB UPSET
9月17日(水) 大阪・246 LIVE HOUSE GABU
9月19日(金) 福岡・The Voodoo Lounge
9月20日(土) 広島・4.14
9月26日(金) 北海道・札幌Bessie Hall
9月28日(日) 宮城・仙台FLYING SON
10月5日(日) 長野・LIVE HOUSE J
10月10日(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOM

【チケット情報】
一般:4,400円(税込) / 学割:3,400円(税込)
※ドリンク代別途必要

■一般発売:8月2日(土) 10:00~
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=GC200053(https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=GC200053&afid=P66)

公式サイト:
https://dadadadys.com/



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