Text:吉羽さおり Photo:上原 俊
モーモールルギャバンの年末恒例となった、ゲイリー・ビッチェ(ds&vo)の誕生日ワンマンライブ『つよし生誕祭2025~モーモールルギャバン20周年~』が、12月9日に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)で開催された。今年はタイトルにもあるように、バンドの結成20周年のアニバーサリーも兼ねており、この1年各地をツアーしてきたその集大成にもなるライブとなった。
会場入り口にはファンより贈られたメンバーそれぞれののぼり旗やお祝いの花が並ぶなど祝祭ムードで、フロアも駆けつけた観客の熱気で満ちている。この観客による盛大な拍手と歓声に迎えられた、ゲイリー・ビッチェ、T-マルガリータ(b/cho)、ユッカ(key/vo/銅鑼)は、1曲目となった「さらば人類」からフルスロットル。続く「ユキちゃんの遺伝子」「POP!烏龍ハイ」へと馬力を上げて、観客に大きく手を振らせ、また大きくコールを起こしながら、ど頭から全速力で駆け抜けていくバンド・アンサンブルをZepp Shinjuku(TOKYO)に響かせていった。
イントロの鍵盤のリフにフロアが沸いて、シンガロングを巻き起こしていったのは「Hello!!Mr.Coke-High」。濃度高めの3人のアンサンブルと、前のめりで盛り上がる観客とがエネルギーを交換し合う、そのせめぎ合いが更なる興奮を生んでいく。ラスト、ドラム横のお立ち台に立ってゲイリー・ビッチェは会場全体に向かって「ありがとうございます!」と叫んだ。ここで一転して、T-マルガリータのベースと低音のコーラスが映える、ファンキーな「やんなっちゃったBODY」に突入してフロアをダンス空間へと染め上げる。グルーヴィなドラムビートから、音頭的なリズムなども交えた遊びのあるビートを表情豊かに叩いていくゲイリー・ビッチェに、観客は拍手喝采を送った。
さらにド派手に打ち鳴らされる銅鑼と、ノイジーな変拍子によるカオティックな「野口、久津川で爆死」へと突入すると、ユッカはT-マルガリータと共にスタインバーガーのギターを奏でステージ前でプレイ。めまいのするようなリフレインとノイズ、爆音とで観客を酩酊させていった。この日のステージには、通常のユッカの銅鑼に加えてもうひとつステージ上に銅鑼が鎮座し、初っ端からガンガンと打ち鳴らされていたが、この銅羅を叩いていたのはモーモールルギャバン初代ドラマーである、野口康史だ。ゲイリー・ビッチェによる「20周年の野口、新宿で爆死!」の声と共に、賑やかなステージングとノイジーなサウンドでZepp Shinjuku(TOKYO)を更なるカオスへと化していった。
そんなMCからの中盤はピアノの伴奏と歌で聴かせる「Good Bye Thank You」で会場をいい歌で包み込んだかと思いきや、しっとりと聴き入る空気を引き裂いていくように「パンティー泥棒の唄」でコール&レスポンスを巻き起こし、「Dr.PANTY」へとビートの温度を上げてフロアを引っ掻きまわしていった。「ガラスの三十代」から、T-マルガリータによる銅鑼と共にファンキーに加速する「サノバ・ビッチェ」へとこの3人ならではの極彩色の音世界へとカラフルさを増していく。その締めくくりはサイケデリックなロックチューン「ナイトメアダンス」。観客の感情や情緒を大きくアップダウンさせるブロックだ。
さらにゲイリー・ビッチェは、MCで現在行っている訪問介護の仕事について話し、そこでたまたま、難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘っている作曲家/音楽プロデューサー・上田禎(うえだただし)氏を担当していることを語った。上田氏の難病支援や音楽の素晴らしさ、ALSへの理解を広めるためのプロジェクトとしてモーモールルギャバンほか、ゆかりあるアーティストが参加するトリビュートアルバムの制作をしている。
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今回のワンマンでは、上田氏の曲にゲイリー・ビッチェが作詞をした曲も披露され、大きな拍手を巻き起こした。
後半は「消えて」「IMPERIAL BLUE」(2018年)と事務所等を離れセルフプロデュースへと立ち返ってからの曲でスタートした。モーモールルギャバンの歌心をまっすぐに、エモーショナルに紡いだ「消えて」。そしてダイナミックなドラムと銅鑼を合図に、グッドメロディとプログレッシブなサウンドとで壮大なサウンドスケープを描いていく「IMPERIAL BLUE」で再び観客の体を揺さぶっていくと、ここからは初期の曲へとタイムスリップして「裸族」、イントロの一音でワッと会場のボルテージが上がった「ユキちゃん」へと突入した。
煽りながら歌い、白熱したアンサンブルを聴かせ肩で息をしながらMCをしたゲイリー・ビッチェは、オロポをがぶ飲みして、続くはユッカがボーカルをとる「サイケな恋人」へ。そして20周年でも、いや20周年だからこそ忘れちゃいけない“パンティ”コールをZepp Shinjuku(TOKYO)に巻き起こしていく。ゲイリー・ビッチェはパンイチ姿でお立ち台に立ち、“パンティ”と叫び、「さっきのパンティは、火曜日のパンティだ。土曜、日曜、ゴールデンウィークのパンティが欲しい!」と観客の声のボリュームを上げさせながら、エンドレスのコールを起こしていく。観客にとっても久々に口にする“パンティ”コールだろう。会場一体となっての大合唱に金テープがキラキラと降り注ぎ、不思議な多幸感で満ちていく光景は、モーモールルギャバンでしかあり得ない。「みなさんが許すからですよ」とゲイリー・ビッチェは言うが、この生き様は20周年のみならず、30周年、40周年と続けてほしいものである。
「最後まで悔いを残さず踊っていってくださいませ」とラストは、ピコピコと電子音がスパークする「細胞9」、そしてラストはユッカとゲイリー・ビッチェによるユニゾンで聴かせていく「7秒」を響かせた。普遍の時を刻んでいくようなビートと、スッと手を差し出すような歌、ボーカルが会場を温かく包む締めくくりとなった。
「20曲って多いよね、20曲聴いたら満足でしょ?」の声に、観客から「足りないよ!!」と強めのツッコミを受けたアンコールでは、うれしそうにファンから贈られたのぼり旗や誕生祝いのケーキに笑顔を見せたゲイリー・ビッチェ。バースデーボーイとしてたくさんのおめでとうの言葉や拍手をもらいつつ、今回のアンコールでは20周年ということで今までアンコールではやったことがない曲で締めたいと、アルバム『僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ』(2012年)から「気まぐれのように揺れる世界から」を披露した。シアトリカルなサウンドで、最後ラララのシンガロングがどこか寂しくもドラマティックだ。20年バンドをやってきたこと、年月を重ねてきたことで自ずと滲んでくる深みはあるが、同時に年齢を重ねてなお泥臭くもがき涙して、ままならないブルースを叫んでは、開き直ったようにあられもない姿でハジけてみせる。アニバーサリーイヤーも気取らずに、不器用だがどこまでも人間臭い姿とファンへの愛情とを魅せたワンマンライブとなった。
<公演情報>
『つよし生誕祭2025~モーモールルギャバン20周年~』
12月9日 東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
【Set list】
01. さらば人類
02. ユキちゃんの遺伝子
03. POP!烏龍ハイ
04. Hello!!Mr.Coke-High
05. やんなっちゃったBODY
06. 野口、久津川で爆死
07. Good Bye Thank You
08. パンティー泥棒の唄
09. Dr.PANTY
10. ガラスの三十代
11. サノバ・ビッチェ
12. ナイトメアダンス
13. 新曲
14. 消えて
15. IMPERIAL BLUE
16. 裸族
17. ユキちゃん
18. サイケな恋人
19. 細胞9
20. 7秒
EN. 気まぐれのように揺れる世界から
モーモールルギャバン オフィシャルサイト
https://mowmowlulugyaban.com/

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