『浮世絵おじさんフェスティバル』太田記念美術館で “推しおじ”を探して浮世絵の魅力と奥深さを再発見
歌川広重《東海道五十三次之内 鞠子》 ※後期展示

2026年1月6日(火)より、渋谷区神宮前の太田記念美術館では、『浮世絵おじさんフェスティバル』を開催する。浮世絵に描かれた多彩なおじさんたちを、前後期あわせて150点を超える作品を通して紹介し、浮世絵の新たな魅力や絵師たちの意外な個性を再発見する展覧会。

2024年に中山道広重美術館で好評を博した『浮世絵おじさんフェスティバル』展のコンセプトをもとに、新たに構成されている。



『浮世絵おじさんフェスティバル』太田記念美術館で “推しおじ”を探して浮世絵の魅力と奥深さを再発見

歌川広重《東海道五拾三次之内 御油 旅人留女》 ※後期展示

浮世絵の風景画の片隅には、しばしば味わい深い「おじさん」が描かれている。たとえば、歌川広重の〈東海道五拾三次之内〉シリーズでは、鞠子宿(現在の静岡市駿河区丸子)で名物のとろろ汁を楽しむおじさんや、御油の宿(現在の愛知県豊川市)で「留女」という強引な客引きに後ろから荷物を引っ張られ、あやうく首を絞められそうになっているおじさん、さらに四日市(現在の三重県)では三重川(現在の三滝川とみられる)付近で、吹き飛ばされた笠を慌てて追いかけるおじさんがユーモラスに描かれている。



『浮世絵おじさんフェスティバル』太田記念美術館で “推しおじ”を探して浮世絵の魅力と奥深さを再発見

歌川広重《東海道五拾三次之内 四日市 三重川》 ※前期展示

近年、浮世絵の世界では、歌川広重の風景画などに小さく描かれた人物を紹介する展覧会が各地で開催されているが、実はこのようなおじさんを描いたのは広重だけではない。同展では、広重はもちろん、葛飾北斎、歌川国芳、小林清親など、名だたる浮世絵師たちが描いた個性的なおじさんたちも紹介する。



『浮世絵おじさんフェスティバル』太田記念美術館で “推しおじ”を探して浮世絵の魅力と奥深さを再発見

葛飾北斎《諸国瀧廻 東都葵ヶ岡の滝》 ※後期展示

とくに「最後の浮世絵師のひとり」と言われる小林清親が明治13年に描いた《本所御蔵橋》では、ステッキを持った洋装のおじさんの、たそがれた後ろ姿が印象的。江戸時代のあっけらかんとしたおじさんたちとはまた違った、文明開花期特有の郷愁を感じることができるに違いない。



『浮世絵おじさんフェスティバル』太田記念美術館で “推しおじ”を探して浮世絵の魅力と奥深さを再発見

小林清親《本所御蔵橋》 ※前期展示

また、上記のようなおじさんに注目してみると、人物の表情や仕草、服装の描き分けなど、それまで見逃していた細部の魅力が見えてくる。絵の隅に描かれたおじさんたちは、絵師が肩の力を抜いて筆を振るったからこそ、絵師本来の個性や観察力、確かな描写力がわかるというのも知られざるチェックポイントだ。ぜひ自分だけの「推しおじ」を探して、浮世絵の新たな魅力を再発見してみよう。



<開催情報>
『浮世絵おじさんフェスティバル』



会場:太田記念美術館
会期:2026年1月6日(火)~3月1日(日)※前後期で全点展示替え
[前期] 1月6日(火)~2月1日(日)
[後期] 2月5日(木)~3月1日(日)
時間:10:30 ~ 17:30(※入館は~17:00)
休館日:月曜、1月13日(火)、2月3日(火)、2月4日(水)、2月24日(火)(※ただし1月12日(月)、2月23日(月)は開館)
料金:一般1,000円、大高生700円
公式サイト:
https://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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