『ソル・ルウィット　オープン・ストラクチャー』東京都現代美術館で　コンセプチュアル・アートの先駆者、日本の公立美術館で初個展

コンセプチュアル・アートの先駆者、ソル・ルウィット（1928−2007）の個展『ソル・ルウィット　オープン・ストラクチャー』が東京都現代美術館で開催される。ルウィットの個展は日本の公立美術館では初となる。

1960年代後半、作品の物質的な側面よりも、作品を支えるアイデアやそれが生み出されるプロセスを重視する試みに「コンセプチュアル・アート」という呼称を与え、芸術のあり方を変えた米国出身のアーティスト、ソル・ルウィット。アイデアを特定の個人の所有物とせず、受け取ったすべての人と分かち合おうとする姿勢、同展では、その「構造を開く思考」に焦点を当てる。

例えば、ルウィットの代表作に、ルウィットが書いた文章や図面をもとに、アーティスト本人以外の手で描かれるウォール・ドローイングがある。そのうち今回の展覧会では大きな空間に6点が展示される。これらは、芸術とは個人の内面や感情を表現するもの、その作家にしか作れないという才能や作者性、唯一性から評価される価値、といったそれまでの芸術観を大きく変えるものだ。

立方体を用いた作品では、外側の各面を削ぎ落とし、骨組みとなる辺を際立たせることで、形態を支える構造を目に見えるようにする。辺の一部を欠いた《不完全な開かれた立方体》（1974年）では、連続写真の一コマのように、漸次的な移行の渦中にある構造のダイナミクスを浮かび上がらせる。こうした作品は、作品の完全性や物質的な永続性に異を唱え、変化を肯定するものでもある。

また、自らのアイデアを多くの人と共有するために、60年代から晩年までアーティスト・ブックを作品として発表し続けた。同展では、遺された多数のアーティスト・ブックや書籍を通じてアーティストの思考の軌跡をたどることもできる。

制作のコンセプトそれ自体を積極的に公開していく開かれた思考。芸術とは何か、改めて考えさせられる。

＜開催情報＞
『ソル・ルウィット　オープン・ストラクチャー』

会期：2025年12月25日（木）～ 2026年4月2日（木）
会場：東京都現代美術館 企画展示室 1F
時間：10:00～18:00（展示室入場は閉館の30分前まで）
休館日：月曜、12月28日～1月1日、1月13日、2月24日（※ただし1月12日（月・祝）、2月23日（月・祝）は開館）
料金：一般1,600円、大学・専門学校生・65 歳以上1,100円、中高生640円、小学生以下無料
※［Welcome Youth 2026］2026年3月1日(日) ～4月2日(木)の期間、18歳以下（2007年4月2日以降生まれの方）は無料。（年齢を確認できる証明書の提示が必要）
公式HP：
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/