『幕末土佐の天才絵師 絵金』サントリー美術館で 極彩色の芝居絵屏風で知られる個性派絵師を紹介する東京の美術館では初の大規模展
伊達競阿国戯場 累 二曲一隻 香南市赤岡町本町二区 【通期展示】

サントリー美術館では、2025年9月10日(水)より、『幕末土佐の天才絵師 絵金』を開催する。歌舞伎や浄瑠璃における血みどろ場面を、極彩色で絵画化した芝居絵で知られる絵金の、東京の美術館では初となる大規模な回顧展だ。

生まれ故郷の高知では、現在も「絵金さん(絵師の金蔵さんの略称)」と親しまれている絵金は、幕末・明治を彩る最も個性的な絵師のひとりだ。文化9年(1812)、高知城下で髪結いの子として生まれた金蔵は、幼い頃より画才を発揮し、18歳の時に江戸に登って駿河台狩野派の土佐藩御用絵師・前村洞和のもとで3年間修業をする。帰郷後は、土佐藩家老の御用絵師として活躍するも、33歳の時に御用絵師の身分を剥奪され、城下を追放された。贋作事件に巻き込まれたとも言われるが、その理由は定かではない。その後は赤岡(現・香南市赤岡町)の叔母の家に一時滞在するなどして芝居絵屏風や絵馬提灯などを数多く描き、明治9年(1876)、数え65歳で亡くなった。

『幕末土佐の天才絵師 絵金』サントリー美術館で 極彩色の芝居絵屏風で知られる個性派絵師を紹介する東京の美術館では初の大規模展

花衣いろは縁起 鷲の段 二曲一隻 香南市赤岡町本町二区 【通期展示】

調査によると現在高知県には、二曲一双の芝居絵屏風類が約200点も現存していることがわかっており、それらは主に神社の夏祭りで使用されてきた。今回は絵金の基準作としても名高い香南市赤岡町の芝居絵屏風を、たっぷり紹介する。幽霊話や、凄惨な殺人場面を描いたおどろおどろしい作品は、夏祭りの際に商店街の軒先に飾られるもの。こうした作品が家の軒先で、提灯や蝋燭の火に浮かび上がる様子は、さぞ幻想的なことだろう。

御用絵師だった絵金の、風俗や歴史人物を描いた作品も興味深いが、今回の一番の見どころは、神社の境内に大きな絵馬台を組んでそこに芝居絵屏風を展示する高知の夏祭りを再現して見せることである。再現とはいえ、その独特な祭りの雰囲気を味わえるだけでも、貴重な体験になるに間違いない。同展では、この絵馬台の他、高知の夏祭りのもうひとつの風物詩、絵馬提灯も紹介する。

『幕末土佐の天才絵師 絵金』サントリー美術館で 極彩色の芝居絵屏風で知られる個性派絵師を紹介する東京の美術館では初の大規模展

釜淵双級巴(絵馬提灯) 第二十四 二十四点のうち アクトミュージアム 【通期展示】



<開催概要>
『幕末土佐の天才絵師 絵金』



会期:2025年9月10日(水)~11月3日(月・祝) ※会期中展示替えあり
会場:サントリー美術館
時間:10:00~18:00、金曜、11月1日(土)、2日(日)は20:00まで、9月26日(金)、27日(土)は六本木アートナイトのため21:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:火曜(9月23日、10月28日は開館)
料金:一般1,800円、大学1,200円、高校1,000円
公式サイト:
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2025_4/index.html?ke=spcp

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