
ストレスがたまるとついつい暴飲暴食して、痩せたいのに痩せられない、仕事も恋も、理想とはほど遠い……そんな30代独身女性 ブリジットの日常をユーモアたっぷりに描き、世界中で大ヒットした1作目から、はや24年。4作目の『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』が、4月11日(金) に全国公開される。
『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』
日本では、この4月から『最後から二番目の恋』というドラマシリーズの第3期放送が始まる。鎌倉を舞台に、さまざまな出来事をとおして人間関係に悩み、笑う、リアリティ満載のストーリー。前期から11年もの時が流れているわけだが、登場人物や、それを演じる小泉今日子・中井貴一たちも、同じだけ歳をとり、そして社会環境も時と共に変化していく。そこが面白いし、お隣さん的な親近感を覚えずにいられない。
この『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズも、まさに、そんな楽しみに満ちている。

第1作が登場したのは、2001年。ロンドンで暮らす30代の独身女性ブリジットのライフスタイルが本音で描かれ、大ヒットを記録した。
大酒飲みのヘビースモーカー、胃腸が頑丈なせいか体重もオーバーぎみ、ドジで、憎めない彼女が、失敗だらけの恋や仕事に落ち込んでは、また奮起する。

そのリアルさは、美男美女が主役だったこれまでのロマンチック・コメディの常識を覆し、大受け! 主役を演じたレネー・ゼルウィガーは、この熱演で一気にスターダムに駆け上がることとなった。その後、『…きれそうなわたしの12か月』(2004)、『…ダメな私の最後のモテ期』(2016)とつづき、本作はそこから9年ぶりの続編にして完結編なのである。
ストーリーは、50代になったブリジットのあわただしい朝から始まる。10歳の息子、6歳の娘のふたりをいつものように起こしてスクールに送り……。

人生は予期せぬことばかりだ。3作目で、ブリジットは最愛のマーク(コリン・ファース)とやっとゴールインし、子宝にも恵まれた。それなのに、4年前、マークがスーダンの人道支援活動中に亡くなってしまう。悲しみを抱えながらも、シングルマザーとして何とか立ち直ろうとする彼女の日常が描かれるが、そんなつらい中で、ある出会いをきっかけにちゃんと恋の“つぼみ”もふくらむ。行く先には、ホロリと泣ける感動も……。

キャストがほとんど変わらないのも魅力。シリーズを観ている人が知りたい「あれからあの人はどうなった?」にもきちんと応えてくれる。しかも、それぞれに用意されている“すてきな今”があって、ちょっとした見どころ。
さて、気になる新たな恋の相手は、かなり年下のイケメン君、ロクスター(レオ・ウッドール)と、息子が通うスクールの理科教師ウォーラカー先生(キウェテル・イジョフォー)だ。

ブリジットにとって因縁の、インテリな“チャラ男”、ダニエル(ヒュー・グラント)も再登場。

映画のシリーズものは、たいがい「前作までを観ていなくてもOK!」な作りをしていて、本作もそうなのだが、今や、DVDだけでなく配信で、好きな時間に前作を観られる時代。だったら、第1~3作をあらかじめ観ておいたほうが、よりいっそう楽しめると思う。

特に男性! この手の映画は「女性しか楽しめない」と思ったらそれはもったいない。ブリジットをそっと見守り、いざというときにウルトラマンか?ってほど全力で彼女を助ける愛する夫マークの存在も、下半身の優先度高めなダニエルの懲りない精神、ステキな歳の重ね方も、かなり勉強になります。なにより、「女性って複雑な生き物なのね……」ってことを深く知るチャンスです。

第1作を観直すと、最も驚くのはタバコのシーンの多さ。2000年に入った頃までは確かにこんな感じだった。男女格差、職場の環境、音楽……携帯電話もどんどん変化していく。でも、人間の機微ってやつは、変わらない。ブリジット愛用の赤いパジャマや、デカパンも、変わらない!
文=坂口英明(ぴあ編集部)

【ぴあ水先案内から】
恩田泰子さん(映画記者 讀賣新聞)
「……その笑顔に浮かぶシワのなんとチャーミングなこと。
恩田泰子さんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/article/pilotage/415564/index.html)
よしひろまさみちさん(映画ライター)
「……最高のハプニングとサイテーの恋。親になっても中年になってもあるんだってばこういうこと……」
よしひろまさみちさんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/article/pilotage/415684/index.html)
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