「伊勢物語」が生み出した書、絵画、工芸が一堂に『在原兼平生誕1200年記念 特別展 伊勢物語』根津美術館で
重要文化財《伊勢物語絵巻》(部分) 鎌倉時代 13〜14世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵 展示期間:11/1-16

東京・南青山の根津美術館では2025年11月1日(土)より、『伊勢物語ー美術が映す王朝の恋とうたー』を開催する。平安時代の歌人・在原業平の生誕1200年を記念して、「伊勢物語」が生み出した書や絵画、工芸を一堂に集めた展覧会だ。

天皇の孫で和歌に優れた貴公子・在原業平(825~880)は、「むかし、男ありけり」の冒頭句が有名な、「伊勢物語」の主人公のモデルとして知られている。恋多き彼のストーリーと、物語の中で詠まれた和歌は、日本では数々の美術工芸品に表現されてきた。

「伊勢物語」が生み出した書、絵画、工芸が一堂に『在原兼平生誕1200年記念 特別展 伊勢物語』根津美術館で

《在原業平像》室町時代 16世紀 根津美術館蔵

しかし現存する「伊勢物語」に関する写本や美術品で、平安時代にまで遡るものは極めて少ない。そんな中、同展の第一章「在原業平と伊勢物語ー古筆と古絵巻ー」では、平安時代に書写された現存最古の「伊勢物語」の冊子本の断簡《伊勢物語切》(五島美術館蔵、11/18~12/7のみ展示)や、『伊勢物語』を題材とした絵巻の中では最も古い、鎌倉時代に制作された《伊勢物語絵巻》など、中世以前の「伊勢物語」の美術を紹介する。

「伊勢物語」が生み出した書、絵画、工芸が一堂に『在原兼平生誕1200年記念 特別展 伊勢物語』根津美術館で

重要文化財《伊勢物語 梓弓図》岩佐又兵衛 江戸時代 17世紀 文化庁蔵

第二章「描かれた伊勢物語ー歌とともにー」では、江戸時代のはじめに挿絵入りの版本(嵯峨本)が出版されて以来、多様な絵画表現が生まれた近世の「伊勢物語」の世界に焦点を当てる。土佐光起や岩佐又兵衛など名だたる画家が描いた、王朝の恋と和歌の世界に注目だ。 

「伊勢物語」が生み出した書、絵画、工芸が一堂に『在原兼平生誕1200年記念 特別展 伊勢物語』根津美術館で

《扇面歌意画巻》(部分) 江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

第三章の「伊勢物語の意匠ー物語絵と歌絵のあわいー」では、物語のストーリーを描いた「物語絵」や、和歌の内容や情景を描いた「歌絵」などを紹介する。とくに物語中の和歌にちなんだ「八橋」や「カキツバタ」の意匠には、「伊勢物語」ならではの文芸の香りを感じることができるだろう。

現在根津美術館は、三井記念美術館、五島美術館とともに「秋の三館 美をめぐる」キャンペーンを実施中。詳細は、講演会やスライドレクチャー、特別催事における能舞「井筒」の公演など、関連催事の情報とともに、同館ホームページで確認を。



<開催概要>
『在原兼平生誕1200年記念 特別展 伊勢物語―美術が映す王朝の恋とうた―』



会期:2025年11月1日(土)~12月7日(日)
会場:根津美術館
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜(11月3日、11月24日は開館)、11月4日(火)、11月25日(火)
料金:一般1,500円、大高1,200円 ※オンライン日時指定予約
公式サイト: https://www.nezu-muse.or.jp/

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