
戦後日本の前衛芸術を牽引した「具体美術協会」の第2世代として活躍し、パリに拠点を移してから半世紀以上にわたって国際的に活躍してきた松谷武判(まつたに たけさだ)の全貌を紹介する大回顧展が、10月3日(木)から12月17日(火)まで、初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。
1937年に大阪市で生まれた松谷は、14歳で結核に罹患し、8年に及ぶ闘病生活中に日本画を学んだ。

パリ、バスティーユのアトリエにて制作中の松谷武判、2019 Photo: Michel Lunardelli
同展は、60年以上にわたり独自の表現を展開し、87歳になる現在もパリで旺盛な制作を続ける松谷の国内初の美術館での大規模個展。2019年にパリのポンピドゥー・センターで回顧展が開催されるなど、改めて国際的な評価を高めている松谷の制作の軌跡を、総数200点に及ぶ作品、資料、映像などでたどる包括的な展覧会となっている。

《圧迫》1958 作家蔵 Courtesy the artist ©Takesada Matsutani Photo: Kaoru Minaminoi
大きな見どころは、なんと言っても作品が充実していること。各時期の代表作を網羅するとともに、異色作や稀少作、未発表の作品も積極的に紹介することで、新たな作家像にも迫る。近年ますます自由で大らかでありながら、密やかで繊細な制作ぶりを見せる近作や最新作からは、松谷の「今」が伝わってくる一方、未発表のスケッチブックや制作日誌、ドローイングなどは、多様な表現を試みてきた松谷の時期ごとの関心の在処を明らかにしてくれる。様々な物質が示す表情に対峙することで生み出された松谷の作品の豊かさと多様性を、ぜひこの機会に堪能したい。
<開催概要>
『松谷武判 Takesada Matsutani』
会期:2024年10月3日(木)~12月17日(火)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
時間:11:00-19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合開館翌日休)
入場料:一般1,600円、大高1,000
※同時開催「抽象の小径|収蔵品展081 寺田コレクションより」「project N 96 ナカバヤシアリサ」
公式サイト:
https://www.operacity.jp/ag/(https://www.operacity.jp/ag//)