
2月28日(金) に公開される映画『TATAMI』より、監督のコメントと新たな場面写真が公開された。
本作は、『SKIN 短編』で第91回アカデミー賞短編実写映画賞を受賞したイスラエル出身のガイ・ナッティヴと、『聖地には蜘蛛が巣を張る』で第75回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したザーラ・アミールが監督というイスラエルとイランをルーツに持つ者どうしが、史上初めて共同で演出した社会派ドラマ。
ジョージアの首都トビリシで開催中の女子世界柔道選手権。イラン代表のレイラ・ホセイニと監督のマルヤム・ガンバリは順調に勝ち進んでいく。だが、金メダルを目前に、政府から敵対国であるイスラエルとの対戦を避けるために棄権を命じられる。自分自身と人質に取られた家族にも危険が及ぶ中、怪我を装って政府に服従するか、自由と尊厳のために戦い続けるか、ふたりは人生最大の決断を迫られる。2019年、日本武道館での世界柔道選手権で実際に起こった事件をベースに映画化された。
公開されたのは、ガイ・ナッティヴ監督がストーリーのベースとなった事件やアスリートへのリスペクトを語るコメントと新場面写真。2019年に日本武道館で行われた世界柔道選手権で、イラン出身の男子柔道選手サイード・モラエイが、敵対するイスラエルの選手との試合を棄権するよう政府から圧力をかけられた。最後まで試合に出場し続けたモラエイは、大会後、安全のためドイツに渡って難民認定を受けている。その後、東京五輪にはモンゴル代表として出場し、銀メダルを獲得した。

イスラエル出身のガイ・ナッティヴ監督は、「インスパイアされたのは、不可能を成し遂げた多くのイラン人アスリートたちです。フランスに亡命し、女性の権利の擁護者として活躍したイラン初の女子ボクシング選手サダフ・ハデムもそのひとりです。
本作は、サイード・モラエイ事件に加えて、2022年にイランで起こったマフサ・アミニ事件にも影響を受けている。当時22歳だったマフサ・アミニが、ヒジャブを適切にかぶらなかったことを理由にイランの風紀警察に逮捕・拘束され急死した事件だ。アミニの死は、「女性、命、自由」運動と呼ばれる大規模なデモへと発展。イラン全土を越え世界へと広がっていった。
マフサ・アミニ事件以前から脚本執筆を進めていたナッティヴ監督は、「実在の人々からインスパイアされてこの作品を作りましたが、女性革命がこれほど重要なものになるとは思いませんでした。私にとって、この映画は女性の視点から描かれるべきものでした。現在、イランで女性として生きることは、2級市民以下の扱いを受けることを意味し、マフサ・アミニの殺害以降、その緊急性はさらに高まっています。スポーツを続けることで脅迫を受け、イランから逃れたサダフ・ハデムが映画のコンサルタントを務めてくれました。非常に貴重なリソースであり、インスピレーションとなりました」とコメントしている。
初披露となる場面写真は、女子世界柔道選手権の壮行会に登壇する女子イランチームの選手が、緊張した面持ちで背筋を伸ばしている。続いて、腕を組んで並び立つレイラとマルヤム。

さらに、本作を鑑賞したオピニオンからのコメントも到着。元柔道家の松本薫は、「元アスリートとして心がギュッと締め付けられるような映画でした。人は知らず知らずにいろんなものを背負っているのかもしれない。背負ってるものを落としてみると新しい出会いがあるのかもしれない。全てのアスリートが自由でありますようにと願わずにはいられない」と、アスリートが背負う重圧に寄り添い、選手たちの自由を願うコメントをしている
ゲームクリエイターの小島秀夫は、「いやあ、驚いた。ただのスポーツものじゃない。このジリジリ来る緊張感。カメラワークと精緻な演出。スタンダードサイズのモノクロ映像。大会の裏側を炙り出す社会派柔道サスペンス。
<作品情報>
『TATAMI』
2月28日(金) 公開
公式サイト:
https://mimosafilms.com/tatami/
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