映画『旅立ちのラストダンス』より、本作で第43回香港電影金像奨(香港アカデミー賞)「最優秀主演女優賞」に輝いたミシェル・ワイの役作りの裏側が公開された。
本作は、香港映画界の喜劇王マイケル・ホイと、スタンダップコメディアンで俳優のダヨ・ウォンが32年ぶりに共演した話題作で、「家族」「伝統」「死生観」という普遍的なテーマを丁寧に描き、香港映画歴代最高興行収入記録を樹立した作品。
ミシェル・ワイが演じるのは、代々続く葬儀道士の家に生まれながら、「女は穢れている」という古いしきたりにより家業を継ぐことを許されない救急隊員のマンユッ。ワイは、本作の要となる道教の葬儀の儀式「破地獄」と、救急隊員としての心臓マッサージの技を、撮影の1年前から学び始めていたという。父とはあえて反対の道を選び、命の危機に晒された者を救う仕事に就いたマンユッの生き方を、ワイは長期間の猛練習の中で自分の中に落とし込んでいった。
また、撮影現場ではリアリティを追求するがゆえの急な演出変更も。マンユッが、実の母親のように慕う食堂の店主・リン(エレイン・ジン)を救命するため、必死に心臓マッサージを施す緊迫のシーンでは、現場に立ち会っていた本物の救急隊員から「実際、こういう場面では人工呼吸を行う」というアドバイスを受け、監督とワイは、急遽ジンに「人工呼吸のシーンを加えてもいいか」と打診。すると、大ベテランのジンは即答でOKを出し、ワイは安心してこの重要な救命シーンの撮影に臨むことができたという。
この緊迫したシーンを演じ切ったジンは、自身のクランクアップ時に感極まって涙を流した。ジンは「私はもう69歳で、自分に残された時間がどれほどあるか分かりません。でも俳優の仕事を続けて小さな役でも演じて、後輩の皆さんの助けになれば、それはとても価値のあることだと思います」と語った。
ワイの身体を張った壮絶な役作りは、単なる技術の習得を超え、古いしきたりの中で葛藤する孤独な女性の魂をスクリーンに焼き付けた。その圧倒的なリアリティと熱演で、香港の観客を魅了したワイの演技に注目だ。
<作品情報>
『旅立ちのラストダンス』
5月8日(金)
公式サイト:
https://lastdance-movie.com/
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