シアタートラム・ネクストジェネレーション、高橋萌登主宰のMWMWの新作を上演。「バキバキに踊ります」 (2025年12月11日)

シアタートラム・ネクストジェネレーション、高橋萌登主宰のMWMWの新作を上演。「バキバキに踊ります」

2025年12月11日(木)12:00

シアタートラム・ネクストジェネレーション、高橋萌登主宰のMWMWの新作を上演。「バキバキに踊ります」

世田谷パブリックシアターが展開するシアタートラム・ネクストジェネレーションにて、ダンサー・振付家の高橋萌登が主宰する MWMW（モウィモウィ）による新作『どこにもない場所』が上演される。若い才能の発掘と育成を目的に2008年にスタートしたシアタートラム・ネクストジェネレーションは、世田谷パブリックシアターが公募により選出された団体・個人をバックアップし、シアタートラムでの上演機会を提供。

2022年度からは「演劇」と「フィジカル」にジャンルを分けて隔年で募集、次代を担うアーティストたちが作品上演に取り組んでいる。未来を感じさせる若きアーティストたちの作品、しかも劇場の支援のもとで創作されるとあっては、私たち観客もワクワクするような出会いを期待。17回目の実施となる今回は、フィジカル部門として選出されたMWMWが、上演に向けてクリエーションに向き合っている。

高橋萌登

MWMWを主宰するダンサー、振付家、ビデオグラファーの高橋は、幼少期よりクラシックバレエを学び、2011年より東京ELECTROCK STAIRSに参加。2013年にソロ活動を本格的にスタートし、パリやフィレンツェなど多くの海外フェスティバルの招聘を受け、また横浜ダンスコレクションEX2016のファイナリストに選ばれるなど頭角をあらわした。ダンスカンパニー・MWMWを設立したのは2017年。クラシックバレエで培った身体性と、ストリートダンスの自由なムーブメントを自在に融合して独自のスタイルを追求、MWMWならではのオルタナティブなダンス作品を発表している。時間や感情、身体表現の境界を軽やかに飛び越える多層的な世界観が注目され、2024年にはアメリカ・ニューヨークとチャタムの2都市でカンパニー初の海外ツアーを成功させた、期待のカンパニーだ。

『已己巳己』（2024年）　(C)Sugawara Kota

『エンカウント・エンカ』（2023年）(C)Kazuyuki Matsumoto

『楽園はまぼろし、もしくはドキュメント』（2020年）(C)Kazuyuki Matsumoto

高橋が振付・構成・演出を手がける『どこにもない場所』のテーマは、“リミナルスペース”。人のいない、ちょっと不気味で超現実的で、それでいて懐かしさを感じさせたりもする空間であり、SNSを中心にインターネット・ミームとして話題に。本作で高橋が描き出すのは、“ここでもない、あそこでもない”曖昧な場所と人とのつながり。映像演出も交えながら、MWMWのメンバーに加えて、ストリートダンサー、ジャグラー、俳優ら多彩な出演者たちの出会いと交錯によって作品を創り上げてゆく。

彼らのクリエーションについて、「ダンスの系譜の中で、クラシック、コンテンポラリー、ヒップホップの先にあるオルタナティブな表現を、自分たちの身体の中から掘り起こそうとしている。探り出そうとしているのは、身体の可能性ではなく、表現を求める心の可能性と言っても良いのかもしれない。だからこそ、実体がそこにあるのに、私たちが見ているのは、あたかも魂の動きのように思えてくるのだ」と期待を寄せるのは、世田谷パブリックシアター芸術監督の白井晃。「ちょっと奇妙で、ちょっとユーモラスで、たぶん少し懐かしい。でもバキバキに踊ります」というMWMWの意気込みにも、大いにそそられる。若い才能が煌めく瞬間を楽しみに、劇場に足を運ぼう。

＜公演情報＞
シアタートラム・ネクストジェネレーション vol.17－フィジカル－
MWMW『どこにもない場所』

振付・構成・演出：高橋萌登

出演：金森温代　中谷友紀　高橋萌登（以上 MWMW）
稲田涼香　大西優里亜　chibisaku　長岡岳大　仲宗根葵松田崚汰　潜川酸

2025年12月19日(金)～12月21日(日)
会場：東京・シアタートラム