【ココラシカ インタビュー】メジャー 3rd シングル「寂しさを拾って」リリース「明るくてシンプルなテンションコードの寂しさがこの曲にマッチしたのかなという感じ」
ココラシカ

ココラシカが新曲「寂しさを拾って」をリリースした。

今年5月にミニ・アルバム『Freedom』でメジャーデビュー、その卓越したメロディセンスとシティポップの洗練を受け継ぎ更新する音楽性で高い評価を集めているギターレス3ピースバンドの彼ら。「寂しさを拾って」は彼らが得意とする爽やかなサマーチューンだ。

楽曲に込めた3人のこだわりについて語ってもらった。

Interview&Text:柴那典



「自分たちの音楽がちゃんと認めてもらえてきているという認識が深まった体験でした」(こうき)

【ココラシカ インタビュー】メジャー 3rd シングル「寂しさを拾って」リリース「明るくてシンプルなテンションコードの寂しさがこの曲にマッチしたのかなという感じ」

── 今年5月にミニ・アルバム『Freedom』でメジャーデビューしたわけですが、反響や状況の変化にはどんな実感がありますか?



こうき 僕としては、メジャーデビューしたからどうこうというより、インストアライブやイベントで沢山の方の目に触れる機会があったことの経験が大きかったなと思っています。



こた お客さんとの距離が縮まったような感じはありますね。自分たちがやってることが届いてる実感があったというか。



らな 毎回ライブを楽しみにしてくださってる方が着実に増えているのは感じますね。



── インストアライブとなると、チケットを買って観に来た人ではなく、初めましての人の前でステージに立つ経験も多かったですよね。スキルもマインドも鍛えられたんじゃないかと思うんですけど、体験としてどうですか?



こうき だいぶ自分たちの演奏のレベルは上がったなと思います。特にドラムの音量制限があったり、環境としては難しいところが多かったので。そこで基盤がしっかりしてきたというか、アンサンブルの質も上がってきたかなと思います。



こた 確実にお互いを意識するようになったし、3人プラスチームで動いてるという再認識ができたと思います。僕はもともと、自分が感じる音が良ければいいと思うタイプだったんですけれど、もっとお客さんに良いと思ってもらいたいという思考になってきました。



らな これまでショッピングモールみたいなところでライブをすることはほとんどなかったので、最初はアウェイ感というか「自分たちがここで演奏してもいいんだろうか」みたいな緊張があったんです。最初は観てくれる方もまばらで、不安な時もあったんですけど、回数を重ねるごとに少しずつお客さんが増えてきた。自分たちが思いを持ってしっかり演奏すればちゃんと応えてくれる方がいるというのを、やっていくごとに感じた。精神的な鍛錬になったし、覚悟や自信もついたと思います。



── ラジオへの出演やラジオ局主催のイベントへの出演も増えましたよね。そういうところから同世代のアーティストやラジオ局の音楽好きなスタッフさんとのつながりができたり、音楽シーンに仲間が増えたような感じがあるのではと思ったんですが、いかがでしょうか。



こうき それこそJ-WAVEの「INSPIRE TOKYO 2025」というイベントに出させていただいたのはものすごく貴重な経験でした。J-WAVEで番組に出させてもらった時も、「このチームはみんなココラシカの大ファンだから好きにやっておいで」みたいな、みなさんすごく温かい方々で。そういう経緯で出させていただいたイベントだったんです。自分たちの音楽がちゃんと認めてもらえてきているという認識が深まった体験でした。



── ココラシカの音楽の魅力がラジオから広まる機会も増えたんじゃないかと思います。



こうき 『Freedom』というミニ・アルバムで「これが僕たちの今の出せる最低限の作品です」というのをしっかりと提示できたので。いろんな人への自己紹介になったというところで意味があったなと思います。



── 新曲の「寂しさを拾って」はどんなきっかけで作った曲でしょうか?



こうき タイアップに向けて何曲か作った内の1曲で、この曲は選ばれなかったのですが、すごくいい曲だというのでリリースに至ったという感じです。



── 新曲はセルフプロデュースの楽曲ですが、これまではプロデューサーの方を招いた制作が多かったですよね。これに関してはどんな流れがあったんでしょうか?



こうき プロデューサーさんと一緒にやっていたのは、自分たちがステップアップしていくためにいろんな人の意見や知識を覗いてみたいという思いがあったので。もともと最終的には自分たちでできるようになりたいと思ってたんです。



こた 今は学びを得てきたものを磨いてモノにしていく段階だと思ってますね。



「このモヤモヤはどこかわかるかも」みたいな共感を持ってもらえたら、この曲は意味があるのかなと思います」(こうき)

── ココラシカの曲作りについても聞きたいんですが、どういう手順や段取りで曲を作っていくんでしょう?



こうき 基本的に僕がアイデア出すことが多いです。迷う時に2人に訊いたり、リハで合わせてみて3人で方向性を詰めていくような感じですね。



こた 曲の輪郭とか内容はこうきが何個か持ってきてくれて。これを話し合った上で、曲の展開や細かい部分をリハで決めていく感じです。



──「溶けないで」の時には3人で顔を突き合わせてホワイトボードにアイデアを出しあったそうですが、そういう作り方もしている?



こうき そうですね。別の曲でも、テーマをホワイトボードに書き出して制作をしたりしてます。ただ、今回の曲は僕の中にイメージがあったので、それを出した感じです。



【ココラシカ インタビュー】メジャー 3rd シングル「寂しさを拾って」リリース「明るくてシンプルなテンションコードの寂しさがこの曲にマッチしたのかなという感じ」

こうき

── そのイメージというのはどういうものなんでしょうか。



こうき 僕の中で、「寂しさ」というのが恋愛の鍵だなというのを最近思うようになって。一緒にいて心地いいけど、どこかしら飽きが来てしまったり、すれ違ってしまったりする。でも、相手がいなくなった時に寂しくなる。その気持ちがあるから、一緒にやっていける。そういう寂しさって、そばにいる時には感じられないのがもどかしいと思うんです。寂しさが2人を引き留めてくれるのに、一緒にいる時にはそれを感じることができない。そういう皮肉に思いを馳せるところから作っていきました。



── 寂しさについて考えることが曲の着想になった。



こうき この曲の最後で「寂しさとどこまでも」と歌っているんですけれど、それは決してハッピーエンドなだけの言葉ではなくて。この先もまたぶつかって、距離を置いて、また寂しくなって、一緒にいたくなって、でもまたすれ違って、ぶつかってという、そういう繰り返しをしながら一緒にいよう、という。そういう切なさと仲の良さの両方があるというのがこの曲を作る上での軸になった感じです。



── 曲調に関してはどうでしょうか? サウンドやアレンジの方向性に関しては、なにかしらのリファレンスがあったり、もしくは何かのイメージがあったりしました?



こうき 特に「この曲に寄せよう」というのはないんですけれど、最初にAメロのコード進行とフレーズ、サビのメロディとコード進行が浮かんできて。やっぱりシティポップのサウンドをリファレンスとしてアレンジしていきたいなという思いはあって。なので、そのサウンドは影響受けてますね。



── この曲は夏のイメージの曲ですよね。そして「夏×シティポップ」って、ある種の定番ですよね。アートワークでも青空とかビーチのイメージが多い。これってなんでなんでしょうね? いろんな理由があるとは思うんですが、みなさんとしてはどう捉えていますか?



こうき 僕が思うに、やっぱりオリジナルのシティポップの時代って、今よりも景気が良かったと思うんです。だからこそ華やかでリッチなサウンドが、夏の爽やかな感じだったり、青空の明るい感じに合うのかなとは思いますね。ただ、僕らの「寂しさを拾って」に関しては、曲のテーマとしては意味深なところを裏テーマ的に入れたいなという思いがあるんですけど、そういうのはあまりシティポップにはないなと思っていて。ストレートに「君が好きだ」と歌う感じがあの時代のサウンドにつながっているかなと思うので。そこが時代的な違いなのかなと思いますね。



こた あの時代って、オープンカーが格好よかったと思うんです。オープンカーでドライブをする時って、やっぱり風を感じにいくわけで。海風を感じるために海沿いの丘っぽい道を走ったりする。そういうイメージがあるからこそ、夏っぽい、ドライブで聴いて心地よいサウンドが多いかなと思います。



【ココラシカ インタビュー】メジャー 3rd シングル「寂しさを拾って」リリース「明るくてシンプルなテンションコードの寂しさがこの曲にマッチしたのかなという感じ」

こた

らな 冬に似合う曲も多いですよね。そういうストレートさが派手な季節に合うのかなというのは感じてます。



── ココラシカのサマーソングって、この曲以外にも「最後の花火」や「溶けないで」がありますよね。サウンド的には今仰ったようなオープンカーのドライブに合うような爽やかさがあるんだけれど、歌詞を読むと葛藤があったり、モヤモヤしていたりする。このあたりはどうでしょうか。なぜだと思いますか?



こうき 単純に景気の良さもあると思います。今の方が生活は難しいと思うので。生々しいんですけど、例えばお金の話は恋愛に支障をきたしやすいと思うし。そういう今の生きづらさが恋愛の曲にも結びついてしまうというのは思うことですね。あとはやっぱり、自分の性格的にも、ストレートに歌うより自分の心の中でモヤモヤしてることを理論立てて言語化することが好きなので。言葉にできないことを伝えたいというのはありますね。



── だから「寂しさを拾って」についても、ひとつの感情で割り切れるものではなく、複雑なものになってしまう。それがリアルということなんですね。



こうき 悩むと言っても、いろんな悩みがあると思うので。いろんな角度から見たものが入り混じって「このモヤモヤはどこかわかるかも」みたいな共感を持ってもらえたら、この曲は意味があるのかなと思いますね。



── この曲、イントロの最後、歌い出しの直前のコードの響きが特にいいなと思っていて。あそこは音楽的にはどんな仕掛けなんですか?



こうき シンプルに裏コードというだけなんです。簡単に言うと、1度のメジャーのコードに行く時に、その直前に1度シャープのメジャーを挟んでスライドさせたような音を入れる。そこは僕の手癖かもしれないです。



── 聴いていてもそこのコードが効いてるなと思うんですが、このあたりの効果って、こたさん、らなさんとしてはどんな風に感じたりします?



こた 僕はドラマーなので、コードの話はよくわかんないんですけれど。でも聴いてて「ああ、そこえぐ味あるね」とか「絶対今気持ちよくなりに行っただろ」みたいなのはやっぱり曲作ってる段階でもアドリブを弾いてる時とかも分かるんで。そこは思いましたね。普通に行くんじゃなくて、もうちょっと気持ち良さを足して美味しくなったなというのは感じました。



らな あそこの浮遊感や不安感が、少しの違和感として耳に残ると思うんです。そこから最初の歌詞につながる。そういうモヤモヤとか寂しさみたいなものの香りを感じてから歌を聴けるのが気持ちよさなのかなと思いました。



── 単なるテクニックだけじゃなく、曲の世界観の中で効果を持っている。



こうき 僕の見解としては、やっぱり自分の中でちょっとでも妥協してる間があると許せなくなっちゃうんですよ。あそこのコード進行はドミナントからトニックでAメロに入るという感じなんですけど、ドミナントをずっと同じ5度の音にしていてえぐみのあるコード使わなかった場合、どうしても間が生まれてしまう。そこが許せないので、探したら出てきたというコードなんです。で、なんでそれがいいかと言うと、テンションコードを使えば使うほど、音がぶつかって、音がちょっとずつ寂しくなっていくんです。ドミソの和音にはストレートなパワーがあるんですけど、そういうテンションコードの寂しさみたいなものが好きなので。そこでテンションコードでメジャー9thを使っている。明るくてシンプルなテンションコードの寂しさがこの曲にマッチしたのかなという感じです。



── らなさんとこたさんのプレイヤーとしてのこだわりのポイントはありますか?



こた ドラマー目線からすると、やっぱりこの曲は「寂しさ」がキーワードだと思うので、ラスサビまでは淡々と行って、最後の方でやっと気づきがあるようなテンション感にしようと思いました。それでアウトロの前に3連のフレーズを多用してリズムを崩して、そこで惹き込んだ上で音の波で持っていこうと思ったんです。ダイナミクスを司る楽器としては、そういう感覚的な部分が大事だと思ってます。



らな この曲がデモで上がってきた時に、最初の段階からもう仮歌が入っていて。それを聴いた時に、自分も心を揺さぶられたんです。些細で平穏な日常に見えるけど、そこに寂しさがある。それが自分の胸にも刺さって。そういう細かな情緒を大事にしたい曲だと思いました。なのでベースも日常の温かみを感じるようなフィルを多めに使っていて。でもDメロではハイポジションでフレーズを弾いていて、切ない思いが溢れちゃうような感じにしている。そういう曲の情緒を支えられるようなベースラインを意識したという感じです。



【ココラシカ インタビュー】メジャー 3rd シングル「寂しさを拾って」リリース「明るくてシンプルなテンションコードの寂しさがこの曲にマッチしたのかなという感じ」

らな

── こうきさんはどうでしょうか。コンポーザーとして、曲の聴き所はこういうところに仕込んだというのはありますか? ここがこだわりのポイントなんだという。



こうき いくつかあるんですけど、やっぱり自分は最初に曲を作り始めた時からコードにはこだわってるなと改めて自覚した部分があって。ストレートに「頑張ろうぜ」みたいなものより繊細なものを歌いたい人間だし、この曲も、すごく繊細な部分を描いてるんですよ。だからコードトーンのひとつひとつにこだわっているんだと思います。もうひとつは、この曲は最後の「歩こうどこまでも 寂しさとどこまでも」というフレーズと「寂しさを拾って」というタイトルがなかったら、ボヤッとした曲になるんですよ。でもそれがあることによって、伝えたかったことがまとまる。そこを捉えて聴いてもらえたら嬉しいなと思います。



── 最終的に辿り着いたところが大事であるという。



こうき そうですね。曲中には1サビにも2サビにも3サビにも「寂しさ」という言葉が出てくるんですけど、この「寂しさ」を拾ってどこまでも行こうという。そういうところがタイトルに出てるのかなと思います。ぶつかり合いながら、葛藤しながらもそれでも一緒に歩いていこう。きっとこの先もたくさん辛いこともあるだろうし、そのたびに離れるだろうし、でもそのたびに生まれる寂しさを拾って、このままどこまでも一緒に行こう、という。プロポーズのようなニュアンスが含まれてるかなと思っていて。曲のタイトルと最後のワンフレーズには注目して聴いてみてほしいなと思います。






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<リリース情報>
メジャー 3rd シングル
「寂しさを拾って」

8月27日(水) 配信開始

【ココラシカ インタビュー】メジャー 3rd シングル「寂しさを拾って」リリース「明るくてシンプルなテンションコードの寂しさがこの曲にマッチしたのかなという感じ」

「寂しさを拾って」ジャケット

<ミニライブ&特典会>

8月31日(日)
千葉・佐倉 イオンタウンユーカリが丘

9月14日(日)
茨城・イオンタウン守谷

<公演情報>
ココラシカ 2ndワンマンライブ

2026年1月17日(土) 東京・渋谷 Shibuya eggman
開場 18:00 / 開演 18:30

【チケット情報】
前売 3,000円 / 当日 3,500円
※ドリンク代別
※らな(b)デザインのオリジナル手売りチケットも各ライブ・イベント等で販売中

ココラシカ オフィシャルサイト
https://cocolashika.com/



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