マイケル・キートンが監督・主演・製作を務めた映画『殺し屋のプロット』が、12月5日(金)に公開される。
本作は、病によって記憶を失いつつある孤高の老ヒットマンが、息子の罪を隠すための完全犯罪に挑むネオ・ノワール。
病が進行し記憶が失われていくなか、無謀とも思える完全犯罪計画を立てるノックスを裏からサポートするのが、キートンとは意外にも初共演となるアル・パチーノ演じる盟友のゼイヴィアだ。
これまでのキャリアの中で、『ゴッドファーザー』や『カリートの道』など、数々の名作ノワール映画に出演してきたパチーノ。今回は『殺し屋のプロット』の公開を記念して、パチーノの出演した犯罪映画5選を紹介。『殺し屋のプロット』を観る前に、パチーノが出演してきた犯罪映画にハズレ無しということで、過去作をおさらいしてみてはいかがだろうか。
■アル・パチーノ 犯罪映画5選
『ゴッドファーザー』
シチリアからアメリカに移住し、巨万の富を築いたコルレオーネ家を中心に、マフィア間の抗争や一家の跡取り争いを生々しく描いたギャング映画。舞台は第2次世界大戦後の1945年。コルレオーネ家の三男マイケルは、一家の中で唯一、表社会で暮らしていた。しかし、ある抗争をきっかけに陰謀渦巻く裏社会に足を踏み入れた彼は、一家の跡目として血で血を洗う争いに身を投じていく。
監督はハリウッドを代表する巨匠、フランシス・フォード・コッポラ。
映画『ゴッドファーザー』50周年記念予告
『スカーフェイス』
80年代はパチーノのキャリアの低迷期だった。しかし、その中でも高く評価されているのが『スカーフェイス』だ。本作はハワード・ホークス監督によるギャング映画の古典『暗黒街の顔役』(1932年)をベースにしながら、当時の社会情勢を踏まえ、『ウォール街』(1987年)や『JFK』(1991年)のオリヴァー・ストーンが脚本を書き直している。監督は鬼才ブライアン・デ・パルマが務めた。
物語の舞台は1980年。反カストロ主義者としてキューバから追放されたトニー・モンタナはアメリカへと亡命する。しかし、やくざ者の彼にはアメリカへの永住権は認められず、裏社会へと足を踏み入れることに。後先を考えない過激な性格のトニーは、麻薬王フランク・ロペスのもとで、コカインの密売や殺しの仕事を遂行することで裏社会をのし上がっていく。
公開当時、デ・パルマ監督がラジー賞にノミネートされるなど、批評家からは酷評されたが、興行的には成功し、現在に至るまでカルト的な人気を誇る名作として評価されている。とりわけ、ヒップホップ・カルチャーからの人気は絶大で、主人公トニーのぶっ飛んだギャングスターっぷりは、しばしば“聖典”扱いされているほど。まさに、アル・パチーノの飛びぬけた演技力を象徴するかのような1作だ。
映画『スカーフェイス』劇場予告
『ヒート』
マイケル・マン監督が自身のTV作品をセルフリメイクした作品で、クリストファー・ノーラン監督作『ダークナイト』にも影響を与えたといわれている映画史に残る犯罪アクション映画。ロサンゼルスを舞台に、アル・パチーノ演じるロス市警の警部補と、ロバート・デ・ニーロ演じる犯罪組織のボスの、手に汗握る駆け引きと追跡劇を描く。パチーノとデ・ニーロという、70年代以降のハリウッドを牽引してきた2大俳優の実質的な初共演作となった(『ゴッドファーザーPART II』では異なる時代の人物を演じていたため)。2026年には続編の撮影も開始される予定。
90年代に入り再び勢いを取り戻したパチーノ。『ゴッドファーザー PART III』(1990年)でシリーズのフィナーレを飾りながら、人気コミックの映画化『ディック・トレイシー』(1990年)とNYの不動産業界を描いた『摩天楼を夢みて』(1992年)でアカデミー賞助演男優賞にそれぞれノミネート。同じく1992年の『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』で念願のアカデミー賞主演男優賞に輝いた。また、この時期には、ドキュメンタリー映画『リチャードを探して』(1996年)で初めて監督・製作業にも挑戦している。
『ヒート 4K UHD』予告編
『インソムニア』
『オッペンハイマー』(2023年)のクリストファー・ノーランが監督した一風変わった犯罪映画。
2000年代以降、パチーノは本作も含め、大小さまざまな作品に出演し、主演ばかりでなく脇役としても存在感を発揮した。全盛期に比べ映画賞へのノミネートは減ったが、ゴールデングローブ賞の生涯功労賞であるセシル・B・デミル賞や、アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)の生涯功労賞に選ばれるなど、“ハリウッドの生ける伝説”として唯一無二の地位を確立していった。
『インソムニア』トレーラー
『アイリッシュマン』
マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノという3人のレジェンドが集結したギャング映画。デ・ニーロとスコセッシは本作で9度目のタッグだが、意外にもパチーノとスコセッシのタッグは本作が初。老人ホームで暮らすフランク・シーラン(通称:アイリッシュマン)が回想する形式で、1950年代から80年代にかけてのアメリカの裏社会が描かれていく。
トラック運転手のシーラン(ロバート・デ・ニーロ)はイタリア系マフィアのボス・ラッセル(ジョー・ペシ)と出会い、ヒットマンとして活動を始める。やがて、ラッセルの紹介で全米トラック運転手組合の委員長にして、大統領に次ぐ権力者といわれた実在の人物ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)と知り合うが、この出会いはやがて“全米最大の未解決事件”とも呼ばれる事件へと繋がっていく。
本作におけるパチーノの演技は高く評価され、久々にアカデミー賞助演男優賞ノミネートを果たした。
『アイリッシュマン』予告編
<作品情報>
『殺し屋のプロット』
12月5日(金)公開
公式サイト:
https://kga-movie.jp
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