
行定勲が演出、中井貴一が主演を務める、パルコ・プロデュース2025『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』の全キャストが発表された。
タイトルにある“先生”のモデルは、日本映画界を代表する監督のひとりである小津安二郎監督。
脚本を手がけるのは、温かみのある喜劇的な視点で登場人物を描くことに定評のある劇作家の鈴木聡。無類の映画好きで小津作品にも造詣が深い鈴木と、映画監督としても知られる行定が、<映画>という<虚構>をつくる者の、現実と回想と幻想を<演劇>という<虚構>で炙り出す。行定・中井・鈴木で打ち合わせを重ねたのち、鈴木が注目したのは、小津監督を取り巻く5人の女性。生涯独身を貫いた小津監督の美意識は、さまざまな立場の女性たちとの関わりの中で醸成されたのではないかということを軸に、物語は展開していく。
既報の通り、“先生”を取り巻く5人の女性を芳根京子、柚希礼音、土居志央梨、藤谷理子、キムラ緑子、そして“先生”の相棒的な存在である脚本家役を升毅が演じる。これに加え、撮影所の面々として、久保酎吉、松永玲子、山中崇史、永島敬三、坂本慶介、長友郁真、長村航希、湯川ひなといった個性豊かな俳優の出演が決定した。
また、小津監督のトレードマークでもあるピケ帽をかぶった中井のメインビジュアル、そして小津監督作品の世界観と時代感を意識した雰囲気と構図で、とある撮影現場で記念写真を撮ったという一コマのイメージビジュアルが公開された。
『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』は、2025年6月8日(日) から29日(日) に東京・PARCO劇場、7月5日(土) から7日(月) に大阪・森ノ宮ピロティホール、7月11日(金)・12日(土) に福岡・J:COM北九州芸術劇場 大ホール、7月15日(火) に熊本・市民会館シアーズホーム 夢ホール、7月19日(土)・20日(日) に愛知・東海市芸術劇場 大ホールで上演される。
■脚本:鈴木聡 コメント
小津監督の映画はユーモアとせつなさいっぱいで、そして何より、美しい。
■演出:行定勲 コメント
近代日本映画史に密接に関わっている名優、中井貴一さんが語る話には、日本映画の礎となる著名な人物がたびたび登場する。なかでも中井さんの父、佐田啓二さんと中井さんのお母様の結婚にまつわる話に、巨匠小津安二郎監督が絡んでくるエピソードに私は最も心を掴まれた。いつかこの話をモチーフにした作品を作りたい。憧れの日本映画全盛期を舞台にした物語を。
そこに共鳴してくださった名脚本家、鈴木聡さんがその時代の日本映画のバックグラウンドを調べている中で、小津映画の核となる人々の姿が浮かんできました。
私なんぞがそこに関わっていいものかと、戸惑いながらも、巨匠が映画と真摯に向き合う姿を描ける幸せを噛み締めながら悩みながら演出させていただく所存です。映画監督のはしくれである私にもある孤独と苦悩をユーモアを交えて描こうと思います。これは、小津版の『8 1/2』になるのではいかと密かに思っています。
巨匠を惑わす5人の女性たちには、この上ない多彩な女優が集まった。演劇ファンはもちろんのこと、映画ファンも楽しめる舞台を目指します。お楽しみに!
■小田昌二郎役:中井貴一 コメント
元々は、何かの打ち合わせのおり、私が我が家と小津安二郎監督との繋がりを、うっかりお話ししたことがこの企画の発端(笑)。
ご存知の方も多いと思いますが、その繋がりは深く、私にとって深過ぎるが故に、お引き受けする事には躊躇もありました。
しかし、映画人として、舞台で「人間・小津安二郎」を残したいという行定監督の強い言葉で、出演を決めさせて頂きました。
私が1歳の歳に亡くなった小津先生ですから、似せようにも記憶がありません。ですので、物真似ではなく、幼い頃から、我が家に伝わる小津イズムを胸に、精一杯演じたいと思っております。
あちらの世で、先生にお会いした時に、怒られない様に。
まだまだ、どうなることやら分かりませんが、私のモットーである、エンターテイメントを大切に、面白い舞台になりますよう務めさせて頂きます。
では、劇場で。
【STORY】
昭和30年代。テレビ時代を迎え、映画はその黄金期を終えつつあった。「先生」と呼ばれる日本映画界の名匠・小田昌二郎(中井貴一)は新作の撮影を始めたが調子が出ない。娘のように可愛がる食堂の看板娘・幸子(芳根京子)の婚約の報告を受けさらに撮影を引き延ばす小田。脚本家の野崎(升毅)や名女優・谷葉子(柚希礼音)も心配顔だ。皆の前では粋な振る舞いをする小田だったが内心は混乱していた。もう齢だ。健康が優れない。これが最後の1本になるかもしれない。その恐れが小田の心の中から関わりのあった女たちの幻を引き出す。
あの頃の映画はこうだった。あの頃の人間はこうだった。昭和の洒脱な大人たちから現代への素敵なメッセージ。
<公演情報>
パルコ・プロデュース2025
『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』
作:鈴木聡
演出:行定勲
【出演】
中井貴一/芳根京子 柚希礼音 土居志央梨 藤谷理子 久保酎吉 松永玲子 山中崇史
永島敬三 坂本慶介 長友郁真 長村航希 湯川ひな/升毅 キムラ緑子
【東京公演】
2025年6月8日(日)~29日(日)
会場:PARCO劇場
【大阪公演】
2025年7月5日(土)~7日(月)
会場:森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】
2025年7月11日(金)・12日(土)
会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール
【熊本公演】
2025年7月15日(火)
会場:市民会館シアーズホーム 夢ホール
【愛知公演】
2025年7月19日(土)・20日(日)
会場:東海市芸術劇場 大ホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/senseinosenaka/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2558144&afid=P66)
公式サイト:
https://stage.parco.jp/program/senseinosenaka