
モーリス・ベジャール・バレエ団の2024年日本公演が、9月21日(土)より東京・東京文化会館にて開催される。

『バレエ・フォー・ライフ』 photo: BBL-Guillermo Mendo Murillo
バレエから古い装飾をはぎ取り、多様な音楽と題材を融合させて、生と死を見つめる現代人の芸術として創作した天才振付家、モーリス・ベジャール。

モーリス・ベジャール photo: BBL-Jean-Guy Python

ジュリアン・ファヴロー(芸術監督) photo: BBL-Anoush Abrar
モーリス・ベジャール・バレエ団は1967年の初来日を皮切りに、これまで18回の日本公演を行っており、日本にもファンが多い。1979年に、ジョルジュ・ドン主演により日本で初めて上演され紹介された「ボレロ」と、1982年に公開されたクロード・ルルーシュ監督の映画「愛と哀しみのボレロ」(物語の中でドンと20世紀バレエ団が「ボレロ」を踊った)をきっかけに、80~90年代にはバレエ界を超えた熱狂的なブームを巻き起こした。
3年ぶり19度目となる今回の日本公演は、東京公演、西宮公演、札幌公演が予定されており、東京公演ではAプロとBプロを上演。Aプロは、世界的ロック・バンド、クイーンの音楽を使って大ヒットを飛ばしてきた『バレエ・フォー・ライフ』。

『バレエ・フォー・ライフ』 photo: BBL-Guillermo Mendo Murillo
本作は、アカデミー賞4冠を獲得した映画「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)で再び注目を浴び、以後2度にわたる来日公演も話題を呼んだ世界的ロック・バンド、クイーンの音楽を使い、ロックとバレエを融合させた奇跡のステージだ。ベジャールは、クイーンを象徴する存在だったヴォーカルのフレディ・マーキュリーと、ベジャール作品でカリスマ的な存在感を放ったダンサーのジョルジュ・ドンという、同時期にともに45歳で夭逝したふたりのアーティストへのオマージュとしてこの作品を創作。クイーンの17のきらめくヒット曲が響き渡る中、ステージではダンサーたちが「生」を炸裂させる。そこにはフレディと思しき人物もトレードマークだった衣裳を身に着けて登場。

『バレエ・フォー・ライフ』 photo: BBL-Elena Morosetti
音楽に正面から向き合い寄り添った作品の豊饒さと圧倒感
Bプロでは不朽の傑作『ボレロ』をはじめとして、デュエット『2人のためのアダージオ』、ベジャールによる祝祭的ストラヴィンスキー・バレエ『コンセルト・アン・レ』、前芸術監督のジル・ロマンがコロナ禍に踊る喜びを表現した『だから踊ろう…!』を加えた全4作が上演される。

ジル・ロマン振付『だから踊ろう…!』 photo: BBL - Gregory Batardon
Bプロのオープニング『だから踊ろう…!』は、コロナ禍のもとでカンパニーを率いていたジル・ロマンが、困難な状況下で“踊る喜び”を表現することを念頭に創作。ロマンは「そのダンスの喜びを体現」し2021年に没したダンサーのパトリック・デュポンに本作を捧げている。
これに続くのはベジャール珠玉の3作。『2人のためのアダージオ』は1986年初演の『マルロー、あるいは神々の変貌』からの抜粋で、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタにのせて、ある男と”死“を匂わせる女の濃厚なダンスが踊られる。『コンセルト・アン・レ』は、ストラヴィンスキーの同名のヴァイオリン協奏曲ニ調を、ひと組の主役ペアと男性ソリスト、女性群舞で視覚化するベジャールには珍しいネオ・クラシカルなバレエ。フィナーレには規律から脱したダンサーたちが祝祭的なダンスを繰り広げる。そしてプログラムの掉尾を飾るのが『ボレロ』。巨大な赤いテーブルの上で踊る孤高の“メロディ”と、そのカリスマに導かれて群がる “リズム”たち。ラヴェルが構築した精巧な音楽をダンスで鮮やかに展開しながら、爆発的な絶頂をもって終結し、観る者に衝撃とカタルシスを与える、ベジャール不滅の傑作だ。

『2人のためのアダージオ』 photo: BBL - Gregory Batardon

『コンチェルト・アン・レ』 photo: BBL - Gregory Batardon

『ボレロ』 photo: BBL - Gregory Batardon
時代とともに歩み、常に熱狂を巻き起こしてきたモーリス・ベジャール・バレエ団の2024年日本公演をお見逃しなく。チケットは発売中。
<公演情報>
モーリス・ベジャール・バレエ団2024年日本公演
Aプロ
■『バレエ・フォー・ライフ』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:クイーン/ W.A. モーツァルト
衣裳:ジャンニ・ヴェルサーチ
Bプロ
■『だから踊ろう…!』
振付:ジル・ロマン
音楽:ジョン・ゾーン、シティパーカッション、ボブ・ディラン
衣裳:アンリ・ダヴィラ
照明:ドミニク・ロマン
■『2人のためのアダージオ』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
衣裳:アンリ・ダヴィラ
照明:ルーカス・ボルジョー
■『コンセルト・アン・レ』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
衣裳:アンリ・ダヴィラ
■『ボレロ』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル
【東京公演】
Aプロ
2024年9月21日(土)~9月23日(月・祝)
Bプロ
2024年9月27日(金)~9月29日(日)
会場:東京文化会館 大ホール
【西宮公演】(『バレエ・フォー・ライフ』)
2024年10月2日(水)
会場:兵庫県立芸術文化センター
【札幌公演】(『バレエ・フォー・ライフ』)
2024年10月6日(日)
会場:札幌文化芸術劇場hitaru
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2418474(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2418474&afid=P66)
公式サイト:
https://www.nbs.or.jp/stages/2024/bejart/