
ソロアーティスト・こっちのけんとが12月13日東京・立川TACHIKAWA STAGE GARDENで、ワンマンライブ『よいとこせ』を開催した。
自身最大規模で開催された同公演では、約2時間で全16曲を披露。
深緑色のスーツを着たこっちのけんとが下手から登場した。拍手が巻き起こる中、通常のライブの幕開けかと思いきや「一度きりやからな…」と、まさかの「THE FIRST TAKE」に臨むようなテンションで横向きにセット。「ほな、参りますか」の掛け声で「はい喜んで」と歌い出し、自身の最大ヒット曲「はいよろこんで」でオープニングを飾った。

その後、VTRへ移ると「今ステージ上で歌っていたのは、ほぼ『あっちのけんと』です」と、ジョークたっぷり。初めて公演を見る人が多いのではと推測した上で「前半は『こっちのけんと』の音楽ができるまで。後半は集大成として、スーパーライブをお見せしたい」と意気込んだ。

その言葉通り、大学入学後に初めて結成したグループ「ギャルソン」として、SUPER EIGHTの「がむしゃら行進曲」などをアカペラで披露。続いて全国大会で優勝経験のある「ケミカルテット」の一員になり「ディズニーメドレー」を歌唱。「結成していた当時より20キロ太っている」と自虐を飛ばしながら、優勝した演目をパフォーマンスした。ソロアーティストのイメージが強いが、“戦友”ともいえる心強い仲間たちとアカペラで会場を魅了した。

アカペラを“卒業”した後は、カラオケコーナーに。

カラオケコーナーの途中では、受付から電話が。受話器を取ると、5年後にNHK紅白歌合戦に初出場すると“未来予告”されたそうで、「はいよろこんで」とうまく応じて見せた。「紅白歌合戦に出る人が、ワンマンライブでカラオケしていいものなのか」と、現実世界に戻ってしまう一幕もあったが、伸びのある歌声でカラオケコーナーを届けた。その後はうつ病を経験し、会社員をやめた後に訪れた「一人アカペラ」コーナーへと移り、今の自分ができるまでのストーリーを惜しみなく伝えた。

言わずもがな、今年は“時の人”となった。5月に配信リリースした「はいよろこんで」は、総再生回数150億回を突破。「Billboard JAPAN」の「Heatseekers Songs」での年間首位をはじめ、YouTubeの「人気ミュージックビデオトップ100」では、7週連続1位を記録。

「今年はすべて変わりすぎて。人生が変わった」と話した通り、今年は激動の1年となった。TBS系「第66回 輝く!日本レコード大賞」では、新人賞を受賞。大みそかの「第75回NHK紅白歌合戦」への初出場も決まった。紅白は目指していたが「声にするのが怖くて、『出たい』といったらかなわなくなると思ってほぼ言えなかった。逆言霊だと思っていた」と正直な思いを吐露。紅白初出場会見後には「家帰って本当に泣きまくった。机の上に水たまり作る遊びしていた」とジョークも交えつつ「本当に人生で最後のチャンスをいただきまして。ノリノリの曲で、自分の人生をさらけ出そうと作りました」と涙を流しながらファンや関係者に感謝した。

じつは、紅白には2019年「RADWIMPS」のバックコーラス隊で参加し、一度“出演”した経験もある。2019年は兄・菅田将暉が初出場した年でもある。初出演から5年の時を経て、「こっちのけんと」として、紅白歌合戦に臨む。アカペラグループから会社員時代、そしてうつ病も経験してやっとたどり着いた夢の舞台だ。「はい喜んで」―。複数年分の思いを込めた、満面の笑みの歌いだしにも注目だ。

Text:SwR Photo:溝口元海 @p1nkno1se/COUNTER COLOR
<公演情報>
こっちのけんと ワンマンライブ『よいとこせ』
2024年12月13日(金) 東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN
【関連リンク】
こっちのけんと 公式サイト
https://blowout.co.jp/works/122/