
2021年度直木賞ノミネート作家・芦沢央が作家生活10周年を記念して手掛けたミステリー『夜の道標』が、吉岡秀隆を主演に迎え『連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-』(全5話・第1話無料放送)としてWOWOWで9月に放送・配信されることが決定した。
本作は、1996年に起こった殺人事件の担当刑事・平良正太郎(吉岡秀隆)が、2年間逃亡する容疑者・阿久津の足取り、殺人の理由を捜査しながら事件の“真実”に迫っていく本格社会派ミステリー。
『連続ドラマW トクソウ』以来、WOWOWドラマ11年ぶりの主演となる吉岡。演じる平良は自身も家庭に問題を抱える窓際刑事。部下の大矢とともに捜査の行き詰った戸川殺人事件の捜査を担当することになり、事件の容疑者・阿久津弦が犯した殺人の動機について地道な捜査を続け、やがてひとつの真実にたどり着く。WOWOWのドラマ作品において、「役を演じるというより、その人間を体現させてもらっている感覚がある」と吉岡は語る。
原作は、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー、吉川英治文学新人賞、山本周五郎賞、本屋大賞、直木賞など数々の文学賞にノミネートが続く芦沢央。脚本には『PICU』『バニラな毎日』など繊細で優しい世界観の物語を立て続けに世に送り出す倉光泰子。そして共同脚本・監督には、重厚なテーマも瑞々しく美しい映像表現で描き、心の深い部分へ訴え掛ける作品を生み出す森淳一。音楽はイノセントで透明感のある歌声と声のレイヤーを重ねて構築する、独自の作曲スタイルで音世界を表現するアーティスト・Jun Futamataが担当する。

『夜の道標』原作書影
<コメント全文>
■平良正太郎役 吉岡秀隆
WOWOWのドラマでは作品とその役を通して、いつも勉強させていただいております。『CO 移植コーディネーター』『トクソウ』『コールドケース』などもそうでしたが役を演じるというより、作品作りにおいてその人間を体現させてもらっている感覚があります。社会派ヒューマンミステリーと言ってしまえばそれまでですが、見ていただく方にも、僕自身にも心に問い続ける事が出来るような作品である事を祈っております。
■脚本・監督 森淳一
今作は社会派ドラマですが、単に問題を提示するだけでなく、そこに希望の光を見出せるような構成を心がけました。また、登場人物には複雑な背景や動機があり、単なる善悪で区別されることがないよう注意を払いました。吉岡秀隆さん演じる平良正太郎は、強い正義感を抱く一方で、社会の不正とどう向き合うべきか苦悩します。しかし、その姿勢が子どもに精神的な負担を与え、親子の関係にひずみが生じてしまいます。吉岡さんは「刑事」と「父親」というふたつの役割を繊細に演じ分け、物語に深みと説得力を加えてくださいました。余韻の残る表情をモニターで見ながら、何度も唸ったのを覚えています。本作の登場人物たちは、それぞれに複雑な背景や事情を抱えています。人生に翻弄されながらも、自らの道を探していく──そんな人間ドラマの行方を、見届けていただければ幸いです。
■原作 芦沢央
撮影見学をさせていただいた際、主演の吉岡秀隆さんから(本作の容疑者である)阿久津への思いを語っていただき、ああ、こういうまなざしで阿久津と向き合ってくださる方がこの事件を担当する刑事さんで本当によかった、と胸が熱くなりました。
原作は、ひとりひとりの切実な人生の断片が絡み合うことで浮かび上がる光景、奇跡的な化学反応のようなものを私自身が見たくて書いた物語ですが、その物語に、こうしてたくさんの方が人生の大事な時間を懸けて向き合ってくださることを、とても嬉しく、ありがたく感じています。
このドラマの制作に関わる皆さんの化学反応の結果、どんな光景に出会えるのか、心から楽しみにしております。
<作品情報>
『連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-』
2025年9月WOWOWプライムにて放送、WOWOWオンデマンドにて配信
原作:芦沢央『夜の道標』(中公文庫)
脚本:倉光泰子、森淳一
監督:森淳一
音楽:Jun Futamata
主演:吉岡秀隆
番組特設サイト:
https://www.wowow.co.jp/drama/original/yorunodohyo/