山田裕貴と佐藤二朗のアドリブも！映画『爆弾』撮影現場レポート到着

2025年10月17日(金)17:00

山田裕貴と佐藤二朗が共演する映画『爆弾』の撮影現場レポートとメイキング写真が到着した。

日本最大級のミステリーランキング「このミステリーがすごい！ 2023年版」「ミステリが読みたい！ 2023年版」で1位を獲得した呉勝浩によるベストセラー小説を映像化した本作。

酔った勢いで自販機と店員に暴行を働き、警察に連行された謎の中年男（佐藤）は自らを「スズキタゴサク」と名乗り、霊感が働くと称して都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。秋葉原での爆破を皮切りに1時間おきに3回爆発すると予知した彼は、対峙する交渉人・類家（山田）をはじめとした刑事たちを翻弄しながら、爆弾に関する謎めいたクイズを出し始める……。

野方署の所轄刑事である等々力（染谷将太）、見張り役を務める伊勢（寛一郎）がタゴサクの取り調べをスタートさせるなか、実際に爆発が起き始める。その後、警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事である清宮（渡部篤郎）、そして類家が彼と対峙し、大いに翻弄されながらも、爆発を食い止めようと奮闘していく。

取調室の撮影は、都内ビルの一室に作られたセットで、脚本の冒頭から順を追って撮影を進める「順撮り」によって行われた。伊勢や清宮がタゴサクに振り回されるのを後ろから見ていた類家と同じように、今か今かとタゴサクと対決する瞬間を待ち侘びていた山田。ついに類家とタゴサクが対面するシーンの撮影は、「よーい、スタート！」と言う永井聡監督のかけ声に続いてその興奮や激情がぶつかり合う、とてつもない集中力と爆発力に満ちたひとときとなった。

“喋りすぎる”容疑者であるタゴサクは、のらりくらりと刑事たちの問いかけをかわしながら、爆弾に関する意味深なクイズを出し続ける。佐藤は声のトーンやスピード、表情をコロコロと変え、指を立てる仕草など一挙手一投足に不気味さをにじませていく。

対する山田は、真正面からタゴサクと相まみえる力強さと自信を放ちつつ、類家の本心はどこにあるのだろうかと思わせる、彼の多面性までを体現している。永井監督は、彼が演じる類家には「どこかチャーミングさがある」と分析しており、山田が演じたからこそ際立つものとなっている。

とんでもない長セリフの応酬にも関わらず、山田と佐藤は完璧に身体に染み込ませ、セリフ間違いによるNGは一切見られない。

彼らの緊張感に満ちた駆け引きを見て、永井監督は「いいですね」とニヤリ。類家とタゴサクが「自分たちは似たもの同士だ」と共鳴するシーンでは、ふたりが思わず笑い合うというアドリブも飛び出した。これは脚本にはないもので、「二朗さんに本気でぶつかっていけた」という山田は、「現場のセッションで生まれたもの。決め込んでやっていたら、あの笑顔は生まれなかった。ふたりにしか分からない世界があった」としみじみと語っている。

生の反応に加えて、ディスカッションが活発に行われたのも本作の現場の特徴だ。カットがかかると山田が相談を持ちかけ、「いいよ」と応じる佐藤。ある人物が取調室に乗り込んでくるシーンでは、興奮したタゴサクが立ち上がるのか、座ったままでいるのか。それに対して刑事たちはどう動くのか、濃密な意見交換が繰り広げられた。「立ち上がるつもりで、考えてきた」という佐藤に、「座ってやってみてください」と演出する永井監督。山田も「相手がそう動くなら、類家はこうするはず」とアイデアを練るなど、役者陣は納得するまでそれぞれのキャラクターらしさやテンション、リアリティを追求し、永井監督はじっくりと耳を傾けつつ自らの考えを提案していく。

佐藤は、「僕もプレゼンをして、永井監督もプレゼンをする。

すごくいい関係が築けた」と充実の表情を見せた。永井監督は、原作に人間の持つ複雑性が描かれているからこそ「このセリフを笑顔で言うのか、シリアスな顔で言うのか。それだけで届き方もまったく違うものになるので、俳優さんとはかなり細かくディスカッションを重ねた」と意図を明かし、「僕自身こんなにも役者たちと話し合い、掘り下げたのは初めてのこと」だと語っている。

タゴサク役として刑事役の実力派キャスト陣と対峙することとなった佐藤は、「いずれも超一線級の俳優さん」と彼らに敬意を表し、「そういう人たちとセッションをできているというのが、本当に楽しくて。しかもその人たちの芝居を特等席で見られる。（撮影期間は）忘れられない3カ月」と俳優としてのキャリアにおいても特別な体験をしたという。山田は、「類家はキャラクターとしてとても難しい役柄。来る日も来る日も考えて、悩んで苦しみました」と苦労を口にしながらも、「今の集大成として、全身全霊を懸けて臨んだ」と断言している。

＜作品情報＞
『爆弾』

10月31日(金)公開