
歌には力がある――。音楽に救われ、日々の生活の中に音楽があるという白岩瑠姫(JO1)。
いざアフレコをやってみたらお芝居とは全然違っていました

――今作が声優初挑戦ということで、まずは本作の声優を務めることになったご心境から教えて下さい。
少年漫画系のアニメはもちろん、『オオカミ少女と黒王子』といった少女漫画系、『ブルーロック』のようなスポーツ系とか、周りにアニメ好きな人がいる影響でいろいろな作品を観てきたんですよ。アニメは大好きなんですが、僕は自分の声を好きって思ったことがなくて。まさか自分が声優のお仕事ができると思ってなかったのでビックリしましたね。しかも、主題歌を制作するというお話を同時にいただいて、本当に光栄です。
――初めてのアフレコはいかがでしたか?
最初はドラマや映画、映像の演技と同じ感じでお芝居をすればいいのかなと思ってブースに入ったんですけど。いざアフレコをやってみたら、映像のお芝居とは全然やり方が違って、別物でした。声だけで演技したことがなかったので、ディレクターさんに指示をもらいながら一緒に作っていった感じです。
――顔の表情やリアクションで表現できない分、すべて声で感情を表現するのは難しそうですね。
そうなんです。


――マイクとの距離感も普段とは違いました?
違いましたね。今回、主題歌のレコーディングとアフレコを並行してやっていたんで、大変でした。歌のレコーディングはJO1でいつもやっていますけど、それと同じようにマイクの近くで声を出したら近すぎるみたいで。声優さんって結構マイクから離れていたところの場ミリから声を出していることを知らなかったです。マイクから離れているから小声で言いたい台詞なのに声を張っちゃうみたいな感じで、距離感を掴むのは難しかったです。
――実際に完成した作品をご覧になってご自身の声を聞いてみて、いかがでしたか。
初挑戦でどんな仕上がりになっているのか不安はあったんですけど、後半は自分がやっていることを忘れるぐらい見入ってしまいました。役にもなじめていたと思います。何よりグラフィックのすごさと、他の声優の方々の演技に圧倒されっぱなし。
自己肯定感は爆上げです!

――白岩さんが演じたヨウはアーティストを目指す高校生です。歌が好きな所が共通項ですよね。
はい。今回、『アズワン/AS ONE』に出演させていただくきっかけになったのが、「ひまわり」という自分で作った楽曲なんです。僕がちょうどヨウくらいの年齢の時に作ったんですよね。その楽曲は、JO1になってからいろんな方が興味を持って下さって、ようやく陽の目を見て。皆さんに届くまでに10年経っています。だからヨウくんが自分の作った楽曲に対して自信がなかったり、もがいたりする姿にはとても共感できました。自分も高校生くらいの時期、こんなことを思っていたなと懐かしい気持になりましたし、親近感が湧いて。ヨウの気持ちはよく理解できたので、役に寄り添うことができたと思います。
――ヨウというキャラクターの魅力をどんなところで感じましたか。
ヨウはすごく不器用な人間でいろんなことを考えているんですけど、ラコと出会ったことによってどんどん自分に自信をつけていきます。最後にラコに向けて歌うシーンは、すごくカッコ良くて本当に魅力的なんですよね。
――自信がもてない、ヨウの気持ちも分かりますか?
今の世の中、SNSが普及したことによって、いろんな人の意見が気になる時代じゃないですか。人と比べて自信を失う気持ちも分からなくもないですけど、やっぱり自分が1番自分のこと理解してあげて、自分が自分を愛してあげないと壊れてしまうと思います。だから、自分のことを卑下したりせず、自己肯定感は高く持っていたいと思います。
――自己肯定感、高いんですね!
爆上げっすね(笑)。だからこそヨウを演じる上でそこは気をつけました。僕は自信をなくすことがあまりない性格。最初の頃のヨウは自信がないキャラクターなんで、ヨウに寄り添いつつ、「いつまでも今のままの自分じゃダメだよ」っていう感じで自信のなさをマイルドにしましたから。

――自分に自信を持つコツをぜひ教えてください!
ライブ前なら、もうこれ以上練習することないぐらい練習しますからね。「もう、やるだけでしょ」っていう自信が漲るくらいに。人生1回きりなのに、自分のやりたいこと、好きなことをやらないで、死んでくのって嫌じゃないですか? 人それぞれ、自信の付け方ってあると思うんですけど、僕はそういうマインドで生きてるんで。
――アフレコでは一緒ではなかったと思いますが、ラコ役の白石晴香さんの声の印象はいかがでしたか。
白石さんとは1回取材でご一緒させていただきましたが、気さくに喋りかけて下さる、優しい方でした。アフレコの前にお話ししたかったですね。あと、ルロワ役の丸山隆平さんともお会いしてないです。今回が初めての声優に挑戦されたと聞いて、信じられないなと思いました。めちゃくちゃお上手ですよね。ルロワって結構、複雑な難しい立ち位置のキャラクターなのに、それを上手く表現されていて、ビックリしました。
新しいことに挑戦するときは、ワクワクが勝ちます

――本作は歌の力や思いの力の大切さを感じられる物語になっていますが、白岩さんが最近、歌の力を実感したエピソードはありますか。
僕は、小さい頃から歌に救われて生きてきて、「歌をやりたい!」と思って今の職業についています。落ち込んだ時は、やっぱり曲を聴くし、仕事で疲れて車に乗って帰る時も曲を聴くし、常に自分の身近なところに音楽があるんですよね。音楽は、僕の人生の全てと言っても過言ではないなというくらい大好きなもの。だからこそ、今回の映画で主題歌を自分が作らせていただくきっかけをいただけて良かったです。
――「巡星」のレコーディングはスムーズに行ったんでしょうか。
いや、結構大変でしたよ。JO1のワールドツアーを回っている時に並行して曲制作をしたので。日本にそもそもいない中で作ったんです。だから最後レコーディングの日も、ソウル公演終わって帰ってきた帰国日にそのままレコーディングへ行って。レコーディング中に歌詞を書き直したり、その帰国便の飛行機で最終の歌詞を提出したり。結構バタバタしながら作ったものです。でも、今振り返るとそれが良かったのかなって。「やってやるぞ」っていう気持ちが「巡星」をいい方向に導いてくれたのかなと思います。

――作品の世界観とリンクしてる曲ですが、歌詞にどんな思い込めましたか。
映画の世界観を守りながら劇中に中に出てくるフレーズを意識して作りました。映画を見終わった後、帰り道にこの曲を聴いたら情景が思い浮かぶように歌詞を書きました。余韻に浸ってもらえたらいいですね。
――次に声優に挑戦するなら、どんな作品にチャレンジしてみたいですか?
今回、高校生の役だったので、渋い大人な役もいいなと思いますが、少女漫画の学園ものの人気者みたいな役も面白そうですね。声優にチャレンジしたことで、声優さんに対してリスペクトもありますし、前より声の演技に興味を持つようになりました。どんな役でもやってみたいです。
――ちなみに新しいことに挑戦するのは、ワクワクするタイプですか?
今作に関しては、緊張やプレッシャーもありました。制作陣の方々が素晴らしい方々で声優さんたちもすごい方ばかりだったので。でも、普段は何か新しいことに挑戦するときは結構ワクワクの方が勝って「やってみたい」と思うタイプです。
毎日が運命の連続 人との出会いに一番運命を感じます

――では、ヨウとラコが運命の出会いを果たすストーリーにかけて、最近出会った運命の出会いは?
運命の出会いか……。でも、毎日が運命の出会いの連続じゃないですか? 僕は、人との出会いに一番運命を感じるかも。すごく面白くないですか。まったく生まれ育った環境が違う人が何かの歯車によって出会うわけじゃないですか。結構そこにロマンを感じています。だって、70何億人いる中で一瞬でも出会えたらすごくないですか。会わない人だっていると考えると。
――確かにそうですよね。JO1のライブ会場に集まって下さったファンの方にもやっぱり運命を感じていますか?
ライブなんて1番運命の出会いですよ。全員同じお客さんでライブすることってその1回限りですからね。ライブでハプニングがあると、生ものだからこそだなと思いますし。1回1回一期一会というか、特別な気持ちだと思ってやっています。
――やっぱりファンの皆さんには特別な言葉を投げかけたい?
本当はキザな台詞とか愛嬌を振りまくのは、ちょっと苦手な性格なんですけどね。でも、ファンサもそうですけど、ファンの方に喜んでもらえるなら、やりたいです。
――これから果たしたい運命の出会いはどんなものでしょうか。
これから出会いたいもの……。それはやっぱり素敵な作品ですね。アニメやドラマ、映画など、作品との出会いも運命だと思うので。偶然のタイミングで出会えた作品と、人との出会いを大切にしていきたいです。
――「この作品はやりたいな」とビビッとくるとか、直感を大事にするタイプですか?
基本的なスタンスは、自分に来たものは何でもやりたい、何でもチャレンジしたいという気持ちです。『アズワン/AS ONE』は、もちろん自分でやるって決めてたんですが、ストーリーも世界観も自分が大好きで心惹かれるものでしたし、こんな作品に巡り会えることはなかなかないなと思って、すごく運命を感じた作品になりましたね。
撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
<作品情報>
『アズワン/AS ONE』
全国公開中

配給:ギャガ
原作:星と翼のパラドクス
公式サイト:
https://gaga.ne.jp/asone/
(C)SQUARE ENIX/SUNRISE (C)ASONE製作委員会