
堂本光一と井上芳雄が従兄弟同士の騎士に扮する「ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』ARENA LIVE」が8月2日、東京ガーデンシアターで開幕した。これに先駆け1日、開幕記念会見が開催された。

ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』ARENA LIVE開幕会見より、左から)宮川浩、島田歌穂、音月桂、堂本光一、井上芳雄、上白石萌音、大澄賢也
『ナイツ・テイル』は、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクターであり『レ・ミゼラブル』オリジナル版の演出家と知られるイギリスの名匠ジョン・ケアードが、堂本光一と井上芳雄という同世代の二人のスターにインスパイアされ、シェイクスピア『二人の貴公子』をもとに創作、2018年に帝国劇場で初演されたミュージカル。物語の主人公は、テーベ王である伯父クリオンに仕える従兄弟同士であり親友、アーサイト(堂本)とパラモン(井上)。二人は戦争により敵国アテネの大公シーシアスの捕虜となるが、牢獄の窓から見たシーシアスの妹エミーリアに同時に恋してしまい……。2020年にはシンフォニックコンサート版、2021年には再演と上演を重ねた本作が、今回は客席6000人規模の“ARENA LIVE”として、新たな魅力を観客に届ける。

堂本光一

会見では堂本が「ずっと楽しみにしてきましたが、ガーデンシアターというとても大きな会場で、どういう形の上演になるのか想像がついていなかった。(実際に会場入りしても)いまだに想像がついていない(笑)。ただ、ジョンは「新たな演劇ができた」とおっしゃっていた。『ナイツ・テイル』という演劇も楽しんでいただけるし、純粋にコンサートとして素晴らしい楽曲とハーモニーが、素晴らしい演奏の中で堪能できる。お客さまが入って完成する瞬間を僕も楽しみにしています」と期待を語る。

井上芳雄

井上は、緑で飾りつけられたステージに触れ「思った以上に“森”。ガーデンシアターという名前にふさわしい舞台になっているんじゃないかな。

音月桂

二人の騎士から熱視線を受けるエミーリア役の音月桂は「衣裳もガラリと変わり、私はパンツスタイルになりました。初演から7年経ちますが、セットや新しい衣裳に背中を押され、エミーリアも新しい発見がありました。また、(新衣裳の)ジャケットスタイルの光一さんと芳雄さんもすごく素敵。モニターにもどアップで映りますから、そういうところもお客さまには楽しみにしてもらえたら」とコメント。

衣裳の話題が出たところで、レポーターが堂本が少し前にインスタで「(自分の衣裳の)背中に布が無い」と投稿しバズったことを引き合いに出すと「(今回は)ちゃんと布があります!」と笑ながら堂本が答える。さらに「ただ、衣裳デザイナーのジーン・チャンがおっしゃっていたのですが、やはりコンサートだと思っていたそうで、そこまで殺陣をやらない予定でデザインされたと。

「ちゃんと布があります!」
アーサイトとパラモンが投獄される牢の牢番の娘を演じる上白石萌音は「本当に舞台が広くて、奥行きもあって、音楽家のみなさんも、我々演者も、基本的にはずっと舞台上に居続けます。……ちょっと光一さんは、隙あればハケようとしているけれど……(笑)。今まで以上に全員で作り、全員で物語をお届けしているなと感じています。自分が出ていないシーンも舞台上で見ていますが、毎日色々な発見があります。公演中も、お客さまとの化学反応で毎日違うものになっていくんだろうなと思うと、とても楽しみです」と話す。

上白石萌音

互いを知り尽くした“盟友”だからこそ生まれる安心感と刺激
アマゾンの女王ヒポリタに扮する島田歌穂は「稽古をすればするほど、ジョンがどんどん新しいことを思いついてしまう(笑)。「えっ、ここでこれをするの!?」といった驚きの連続です。きっと本番もお客さまの反応を見て、もしかしたら新しいアイディアが生まれてくるかも。千秋楽までずっと進化し続ける作品だと思います。一瞬も気が抜けない、緊張感のある作品ですが、素晴らしい舞台になると信じています」と話し、大公シーシアス役の宮川浩は「(一人だけ初参加で)僕こそ本当に、何が何だかわかっていなくて、本編に出ていたかったなと思っています(笑)。役どころとしては王様ですが、稽古場や楽屋ではこんな(ペコペコと低姿勢)気持ちで臨んでいます。

島田歌穂

宮川浩


クリオン王とジェロルドの二役を演じ、さらに振付助手も務める大澄賢也は「僕は振付アシスタントということで、(本編の)リメイク、振り起こしをやるのかなと思ったら、どんどんジョンが新しいことを付け加えていった。光一くんのソロナンバーの振付や、芳雄くんのソロナンバーを男性陣みんなで作ったりしました。ライブ用にお客さまと一体になれるような振付も考えているのでぜひ楽しみにしていただきたいです」と呼びかけた。

大澄賢也

新しい試みが多数盛り込まれ、どうカテゴライズしていいのか出演者も判断できないこのARENA LIVEだが、堂本は「やっていることはチャレンジングですが、稽古場で目を瞑って聞いていて思ったことがあります。(コンサート用に)ト書きをお伝えしながら芝居をするのですが、そうすると情景を想像しやすい。もちろんコンサートですので音楽も素晴らしいので、目が不自由な方でも楽しんでいただけるのかなと。お客さまと一緒に、言葉と音楽を想像していける作品になっているんじゃないかな」と話す。


また、盟友として知られる堂本と井上は、お互いを「(井上は)相変わらず忙しくて、稽古も(別の作品に出演していて)全然来ない(笑)。本当に連続してステージに立っている。しかもどれもおざなりにせず、一つひとつ真摯に取り組んでいる姿はいつ見ても尊敬する。また、ジョンに「ノー」と言われながらも果敢にチャレンジするので、カンパニーのみんなは「ここまでやっていいんだ」と思える。

最後に「思えば、前回シンフォニックコンサート版という形でやらせてもらった時(2020年)はコロナ禍で、これから世の中はどうなっちゃうんだろうという雰囲気の中、僕らもソーシャルディスタンスを保ちながら演じた記憶があります。そういった経験を経て今、こういう形での上演ができることを喜ばしく思います。お客さまにはこの『ナイツ・テイル』の世界に浸っていただければ」(堂本)、「本当に豪華で贅沢、出演者・ミュージシャン合わせて100人以上の人たちが舞台上にいて、大きなステージと大きな画面でミュージカルをお届けするというのは新たな試みだと思います。『レ・ミゼラブル』ももうすぐワールドツアー版が来日し、『のだめカンタービレ』も同じようにライブ版での上演がある。また新しいミュージカルの流れができるんじゃないかなとワクワクしていますので、ぜひ皆さん、一緒に楽しんでいただければ」(井上)と話し、会見は終了。『ナイツ・テイル』という作品のみならず、ミュージカルというジャンルでの新たな局面になりそうなARENA LIVE公演。会場に足を運ぶ方は、ぜひ、大いに盛り上がってほしい。










取材・文・撮影(会見写真):平野祥恵
<公演情報>
ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』ARENA LIVE
脚本・演出:ジョン・ケアード
作詞・作曲:ポール・ゴードン
日本語脚本・歌詞:今井麻緒子
出演:
堂本光一 井上芳雄
音月桂 上白石萌音 島田歌穂 宮川浩 大澄賢也
松野乃知/穴井豪 岩下貴史 大山五十和 Seiga 西口晴乃亮 石井亜早実 遠藤令 酒井比那 塩川ちひろ 知念紗耶 富田亜希
植木達也 神田恭兵 小西のりゆき 茶谷健太 照井裕隆 中井智彦 広瀬斗史輝 本田大河
青山郁代 岩瀬光世 咲花莉帆 田中真由 堤梨菜 原梓 藤咲みどり 水野貴以
邦楽:武田朋子(篠笛・能管) 小濱明人(尺八) 織江響(津軽三味線) 松橋礼香(津軽三味線) 三浦公規(太鼓) 内藤哲郎(太鼓)/石川直(太鼓) 日野一輝(太鼓)
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団 東宝ミュージック ダット・ミュージック
日程:2025年8月2日(土)~8月10日(日)
会場:東京・東京ガーデンシアター
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kt2025/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559969&afid=P66)
公式サイト:
https://www.tohostage.com/kt2025/