
Text:平野祥恵
6月11日にリリースされた、加藤和樹の16thシングル「Chocolate」。明るいポップサウンドで、聴くと自然と笑みがこぼれてしまうような軽快な楽曲だ。近年は俳優業に大忙しの加藤だが、約1年ぶりという待望のこのシングルをひっさげ、6~7月には『Kazuki Kato Live "GIG" Tour 2025 ~STILL GO !~』を開催する。新曲へ込めた思いや、近年のミュージカル出演の経験から得た気づきなどを加藤に聞いた。
新曲「Chocolate」では“かわいい”に挑戦
――新曲「Chocolate」、明るくてポップで楽しい楽曲ですね!
珍しいですよね。って自分で言うのも何ですが(笑)、今までの自分の作品になかったタイプ。いくつか候補があったのですが、とても耳馴染み良く、ポップで乗れるサウンドだったので今回はこれがいいんじゃないかと選びました。頑張っている人たちにそっと寄り添うような歌詞で、派手というより日常を感じられるもの。 MV(https://www.youtube.com/watch?v=EO14U2sNbTk) でも自然体な日常を描けたと思っています。
――ご自身もそういう心境だった?
レコーディングのときなど、僕も疲れたときにチョコレートをよく食べますし、甘いもの自体が大好きなので、この内容に共感できるなと思いました。しかもただ救いの手を差し伸べるのではなく、「君に合うTasteを試して」と、最終的には選ぶのは君だよと促しているところがいい。悩みというのはやっかいなものですが、自分が選ぶというのは楽しみでもある、そういう希望を持たせるメッセージも込められているなと思って、共感しました。

――なるほど。......いや、近年ご出演のミュージカルが『ラブ・ネバー・ダイ』『フランケンシュタイン』とダークかつディープなものが続いたので、その反動で自然体なもの、かわいらしいものを求めたのかと(笑)。
あははは! そういうわけではないのですが(笑)。40歳を超えて1発目のシングルなのですが、たしかに随分かわいらしい感じに仕上がりました。最近「かわいい」と言われることに抵抗感がなくなってきたんですよね......。ライブの最中に噛んだりすると「かわいい、がんばれー」と声をかけていただいたりするじゃないですか。若い頃はそう言われることがあまり好きじゃなかったのですが、年齢を重ねると「かわいい」というのも自分の一部にあるんだなと認められるようになってきた。たしかに先輩の俳優さんを見ていてもキュートさを感じることが僕もあります。噛んだときにかわいいと言われることと、人間性のかわいさはまた別ものだとは思いますが、かわいいという言葉が恥ずかしくなくなってきたというのはありますね。今回のジャケットは3タイプありますが、自分で言うのも何ですが、かわいらしく仕上がりました。昔だったらデザイン案を見て「ないな」と言っていたかもしれないけれど、これも挑戦。僕のこういう一面も見ていただけたらと思います。
――MVではお菓子作りにも挑戦していましたね。
はい。チョコレートを作りました。普段、料理はするのですが、チョコレート作りは初挑戦。あれ、撮影用じゃなく実際に食べられるものを作ったんですよ! 型がクッキー用の大きなものだったので、ちょっと不格好な仕上がりになったのですが(笑)、スタッフみんなで美味しくいただきました。楽しかったです!

――カップリングの「Still Go!」は加藤さんご自身が作詞も手掛けた楽曲です。こちらもノリの良いサウンドが印象的ですが、どんな思いで詞を書かれたのでしょう。
先にツアータイトルが『STILL GO !』に決まって、そこから着想を得ました。来年がデビュー20周年ですが、そこに向けてまだまだこれからも突っ走っていくぜという思いに、20年歩んできた中で良くも悪くも時代が変化してきた、そこで自分が感じたことを織り交ぜて作りました。自分自身を鼓舞させる気持ちで書いたものですが、まだまだこれから仕事を頑張らなきゃいけない僕の同世代の方や、もうひと頑張りしなければいけない方々に刺さってもらえたらいいなと思っています。
――ライブで盛り上がれそうな曲ですよね。
はい。レコーディングでも、掛け声、追っかけも楽しく入れたので、一緒に声を出してもらえるとうれしいです。
――この曲たちをひっさげ、6月19日(木)からはツアーが始まります。
ようやく待ちに待ったライブです! 去年、約5年ぶりに声出し解禁のライブをやったのが本当に楽しかったので、今回も大暴れできる内容にしています。来年の20周年に向けた助走というか、そこに繋がるようなツアーにしたいと思っているので、楽曲も今までのライブでやらなかったもの、昔の楽曲も多く選曲しています。新旧の“盛り上がる楽曲”を詰め込んでいるので楽しみにしていてください!

2025年上半期の仕事を振り返って
――少し、最近のご活躍を振り返らせてください。近々ではつい先日まで『Nostalgic Cabaret』にご出演されていました。昭和・平成期の名曲たちを歌う加藤さん、カッコ良かったです。
ありがとうございます。僕も楽しかったし、日本人で良かったと思えるいい時間が自分の中にも流れました。『Nostalgic Cabaret』は70年代と80・90年代の曲がメインでしたが、この年代の歌はイントロが始まったとたん、物語の絵が見えるし、日本語の美しさがピタッとはまる楽曲ばかり。それでいてお客さまも自然と口ずさめる。素晴らしいことだなと感じます。技巧が必要となる最近の楽曲は、それはそれで素敵だし挑戦しがいもありますが、僕が好きなのは、本当に心に染みる歌なんだなと感じました。作る側としても、情景が見えるような、心に残る楽曲を作っていかなくてはと改めて思いました。
――1曲の中に厚み、説得力がありますよね。
霧矢大夢さんが、私たち俳優は普段は演じながら歌うから、(演じながらではない)歌謡曲やポップスはどうアプローチしていいかなかなか掴めなかったけれど、ひとつの芸術作品の中で物語を追っていくと自然と入り込める......とおっしゃっていて、その通りだよなと共感したんです。歌は歌うのではなく、伝えることが大事なんだって。だから役者だろうが歌手だろうが関係ない、大事なのはここ(心)なんだと改めて僕も感じました。

――ご自身も『星空リサイタル』や『Kazuki Kato Concert Tour 2024 ~Respection~』でカバー曲にチャレンジされていますが、こういう歌い継がれた名曲たちに触れて、ご自身のパフォーマンスにも影響がありました?
めちゃくちゃあります。『Respection』でも歌い繋いでいきたい楽曲がまた増えましたし、より「曲を伝えたい」という思いが強くなりました。昔はもっと上手く歌わなきゃ、ちゃんと歌わなきゃと、「音を届ける」ことばかり考えていたように思います。でも「ちゃんと歌う」って、音をはめることではないんですよね。もちろんピッチを外さないというのは大前提ですが、言葉が届かなければ伝わらない。それは役者をやっている自分が一番よく分かっている。ミュージカルやほかのお仕事をやらせていただく中でも、やっぱりそこを大事にしなければと思うところです。
――それはまさに今おっしゃった大前提の部分、基本が揺るがなくなったからこその目標のように思います。
そうなのでしょうね。音楽を始めたばかりの頃は、そのベースもまともになかったから、まずそこを積み上げる作業があった。だから時間がかかってしまいましたが、今なら歌の意味、どうやったら伝わるかに注力できるし、昔よりは届けられているかな、と思っています。
――韓国にボイトレに通っていらっしゃるとか。
やはりテクニカルなことで言うと、単純に音域が広がってきたので、より声の表現の幅が広がっているという自覚はあります。音の圧も変わりましたから、ミュージカルだけでなく自分の楽曲もまた、色々な表現の仕方ができるようになった。同じ楽曲を昔と今と歌い比べると、如実に分かります。

――今年の出演作ではほかに『フランケンシュタイン』『ラブ・ネバー・ダイ』も印象的でした。今年の『フランケンシュタイン』は、初演・再演にまして盛り上がっていましたね。
僕もそれは感じていました(笑)。観てくださったお客さまが自分なりの考察をしてくださり、「ここはこういうことじゃないですか!?」「私はこう思うんです!」というような長めのお手紙をいただくことも多くて。そういう見え方もあるのか、と逆にこちらが教えられることもあるんですよ。この作品はあえて明確な提示をしていないところもあり、どれも正解でどれも間違いではないのですが、こういう風に盛り上がってもらえる作品も珍しいなと思いました。
――加藤さんご自身は三演目ですが、新キャストで加わった小林亮太さん、島太星さんの影響も大きかったのでは。
大きいですね。小林くんと島くんが僕や中川晃教さんとはまったくタイプの違う造形を持ち込んでくれて、こちらとしても解釈の幅が広がりました。僕自身も、新キャストが加わることで奮起しました。前回までのダブルキャストだった小西遼生さんにももちろんたくさん刺激を受けましたが、島くんは年齢差もありますし、役作りが独特なんです。自分とは違う目線でアンリ/怪物という役を捕えていたし、スイッチが入ったときの爆発力がすごく、歌の力もある。しかも僕にもすごくアドバイスを求めてくる子だったので、「太星が思ったようにやればいいんだよ」「ただ僕の考えでは......」と話すうちに自然と僕の中の役の捉え方も深まったように思います。小林くんも、タイプとしては初演の柿澤勇人さんに似ているのですが、そことも違う儚さや弱さ、脆さがある。だからこそ中川さんとの違いが面白く、対峙しているとこちらの接し方も変わってくるので、とても面白かったです。
――一方で中川さんとの日本オリジナルキャストコンビの深み、迫力にも感動しました。
プライベートの関係性が芝居に影響することはないという方もいらっしゃいますが、僕は俳優同士の仲の良さや空気感は芝居に出るものだと思っていますので、この『フランケンシュタイン』初演で中川さんと出会い、そこから様々な作品やコンサートを共に作ってきた経験と時間が今年の『フランケンシュタイン』に全部出たなと思っています。信頼、安心感は間違いなくある。ただ、僕は毎回ドキドキでしたが。アッキーさんは毎回、どう出てくるか分からないから(笑)。

――『ラブ・ネバー・ダイ』ではロイド=ウェバー作品に初挑戦されました。
音楽と物語が一体化するというのはこういうことだなと思う楽曲ばかりでした。ラウルの歌は派手な楽曲ではないのですが、感情の流れが音楽で分かる。あの旋律はどうやって生み出すんだろうと思いますよね......。
――個人的には、この作品の中のラウルは嫌なヤツという印象だったのが、今回は結構感情移入して観れたのが新鮮でした。
僕も実は、出演する以前はあまり良い印象がなかったんですが、「そんなに嫌なヤツなのだろうか」というところから入っていきました。稽古序盤のディスカッションの中で、演出のサイモン(・フィリップス)に「ラウルってどういう人物なの」と単純な質問を投げかけたら、彼が「本当に家族のことを思っていて、作品の中で一番報われない男なんだ」と言ったんです。だったらアプローチの仕方で変わってくるなと、ダブルキャストの田代万里生さんと一緒に「このセリフは強すぎるよね」と話してセリフを変えていただいたりもしました。愛していても、辛く当たっちゃうことはある。彼の気持ちがどこにあるか......ちゃんとクリスティーヌのことも、息子のグスタフのことも愛しているということを大事にして演じていったら、自然とああなりました。とてもやりがいのある役でした。

心を届けられる表現者でありたい
――改めまして、まもなく始まるツアーへの意気込みをお願いします。ずっと俳優業が続いていたので、ライブをやりたい熱も高まっているのではないでしょうか?
そうなんです(笑)。近年ではありがたいことにミュージカルコンサートというものにも出演する機会が多くなってはいますが、やっぱり自分の思いをぶつけられる場所は、自分のライブです。待ってくれている皆さんと心と心の会話ができる場所であり、通じ合える場所でもある。だから僕自身、とても心待ちにしています!
――ちなみにライブが始まる直前と、舞台作品の開演直前の心境って違いますか?
全然違います。両方とも「楽しみ」という気持ちはもちろんあるのですが、ライブ前はいつもすごく緊張します。ミュージカルのときは一切緊張しません(笑)。お芝居は役として舞台に立つもので、自分自身として立つものじゃないので、そこにプレッシャーがないんです。ライブはいくら準備をしても、始まってみないとどういうストーリーが展開していくのか分からないので、出る直前までものすごく緊張します。始まってしまえばめちゃくちゃ楽しいんですけれどね。これは20年経ってもまったく変わりません。

――逆かと思いました、意外です......。そして来年がデビュー20周年。表現者としての今後の展望は?
やっぱり大事な思い、心、というものを届けられる表現者でありたいですね。歌もお芝居も表面的なものではなく、物語の中にあるちゃんとした思いを、声に乗せて届けるということを大切にしていきたいです。
――来年も色々と計画があると思っていいですか?
はい。20年って、人が生まれて大人になるまでの時間。それだけの長い年月をアーティストとして過ごさせていただいたのは、観てくださる、聴いてくださる人がいてこそです。今まで僕に寄り添い支えてくれた人たちのもとに、こちらから歌を届けに行くということはこれまでもやってきましたが、より多くの方に、自分の足で届けにいきたいと思っています。期待していてください!
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<リリース情報>
16thシングル「Chocolate」
発売中
■Chocolate TYPE-A
2,800円(税込)
【収録内容】
[CD]
1.Chocolate
2.Still Go!
3.Flaming Ice (CDKK2 Live ver.)
4.青空 (Respection Live ver.) ※THE BLUE HEARTSカバー
[DVD]
1.「Chocolate」MV+メイキングDVD
■Chocolate TYPE-B
1,700円(税込)
【収録内容】
[CD]
1.Chocolate
2.Still Go!
3.Flaming Ice (CDKK2 Live ver.)
4.青空 (Respection Live ver.) ※THE BLUE HEARTSカバー
■Chocolate TYPE-C
1,700円(税込)
【収録内容】
[CD]
1.Chocolate
2.Still Go!
3.歌うたいのバラッド (Respection Live ver.) ※斉藤和義カバー
4.接吻 (Respection Live ver.) ※Original Loveカバー
配信リンク:
https://kato-kazuki.lnk.to/Chocolate
<公演情報>
『Kazuki Kato Live "GIG" Tour 2025 ~STILL GO !~』
6月19日(木) 宮城・仙台 darwin
6月30日(月) 東京・渋谷 O-EAST
7月2日(水) 愛知・名古屋 DIAMOND HALL
7月3日(木) 大阪・大阪 GORILLA HALL
7月5日(土) 広島・広島 CLUB QUATTRO
7月6日(日) 福岡・福岡 DRUM LOGOS
7月9日(水) 神奈川・KT Zepp Yokohama
【チケット情報】
指定席:7,700円(税込)
U-22:3,850円(税込)
※ドリンク代別途必要
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=56070023(https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=56070023&afid=P66)
公式サイト:
https://www.katokazuki.com/