
デジタルシネマにフォーカスし、映像表現の可能性とエンタテインメント性を備えた作品を世界中から厳選し上映する国際コンペティション映画祭「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022」のラインナップ発表会見が6月15日、都内で行われた。第19回を迎える今年、俳優の寺島しのぶが国際コンペティション審査委員長を務めることになり「歴史を積み重ねた映画祭から、大きな才能が見つかり、花が開く過程で、審査委員長というのは、少しおこがましいですが、世界中から集まった若手監督の素敵な作品に出合えること、とても楽しみにしております」と期待を寄せた。
99の国と地域から775本の応募があり、厳正なる一次審査を経て10作品がノミネートされた国際コンペティションでは、寺島をはじめ、映画監督の松永大司、釜山国際映画祭プログラム・ディレクターのナム・ドンチョルが審査にあたる。コロナ禍の困難な状況においても、世界の新鋭監督たちが必死に表現を模索し、制作を続けた個性あふれるラインナップが揃った。
また、国内コンペティション審査委員長は、黒沢清監督、深田晃司監督らとのタッグで知られる撮影監督の第一人者、芦沢明子氏が務めることになり、「にぎやかに交流し、盛り上がりのある映画祭になれば。熱量のある映画に出合えることを期待しています。(出品者は)言い方は悪いかもしれないですが、この映画祭を利用し尽くして、どんどん伸びてほしい」と意気込みを語った。
国内コンペティションには長編6作品、短編8作品がノミネート。荒削りだが、監督たちがやりたいことを詰め込んだ、趣もジャンルも異なる意欲作が集まった。若手映像クリエイターの登竜門として、過去には『死刑にいたる病』の白石和彌監督、『浅田家!』の中野量太監督、『さがす』の片山慎三監督など、日本映画界をけん引する監督を多く輩出しており、次世代を担う新たな才能誕生に期待が集まる。
一昨年、昨年はコロナ禍の影響でオンライン開催となったが、今年は3年ぶりの現地開催が実現。オンライン配信も継続し、スクリーン上映とのハイブリッド形式で、世界中の若手監督による意欲作を発信する。オープニング上映は、本映画祭に縁が深い磯部鉄平監督の『世界の始まりはいつも君と』。また、ウクライナ支援を目的に、過去の国際コンペティションに選出されたウクライナ作品『この雨は止まない』『ラブ・ミー』の2本をリバイバル上映し、本企画で得た収入は人道支援に役立てられる。
会見には寺島、芦沢氏をはじめ、大野元裕(SKIPシティ国際映画祭実行委員会会長/埼玉県知事)、八木信忠(映画祭総合プロデューサー)、土川勉(映画祭ディレクター)が同席。現地開催の復活に加えて、応募数の水準もコロナ禍以前に戻りつつあるといい、大野知事は「本映画祭に寄せられる期待の大きさをしております。(オンライン開催を通じて)30代以下の視聴者が増加するなど、良いこともございました。ぜひ、新しい才能を発見していただければ」とアピールした。
取材・文・写真=内田涼
『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022(第19回)』開催概要
■会期:2022年7月16日(土)~7月24日(日)<9日間>
■会場:SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ映像ホール(埼玉県川口市)ほか
■内容:国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)ほか
■主催:埼玉県、川口市、SKIPシティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会
■公式サイト: https://www.skipcity-dcf.jp/