そこはかとなく優しいオーラを放つ作風で、熱狂的なファンも多い横浜聡子監督の新作『海辺へ行く道』が、8月29日(金)に全国公開される。おだやかな海辺の風景のなかで展開する、少年たちと、ちょっぴりヘンなおとなたちの、ある夏の物語。
『海辺へ行く道』
舞台は、ある海辺の街。「アーティストの移住を積極的に歓迎します」という看板が立っていて、アトリエを持ったり、創作活動で訪れる芸術家がいるという土地柄。その街に住む中学2年生、美術部の奏介(原田琥之佑)クンが主人公だ。
この街に移住してくる自称アーティストたちに部屋を紹介する、不動産屋の理紗子(剛力彩芽)が、いわばガイド役になって、オムニバスのように展開していく人間群像劇。詐欺師まがいの怪しげなカップルや、うさんくさい美術商風の人物もからんで、いくつかの事件というか、出来事が起こる、モダンアートのような、ちょいポップで、ちょい謎めいた海辺の街の日常が、きょうもまた、つづいていく……。
美術部といっても奏介は、純粋な絵画だけでなく、立体造形が得意。彼と、先輩の高校生テルオ(蒼井旬)、後輩の良一(中須翔真)たちが手掛けるアート作品や創作活動が、思いもよらないドラマを引き起こすのだ。
しかし、何なんだろう、この気持ちのいい空気感は。
子どもたちは、ファンタジーの世界を生きているようだし、おとなたちはどこかヘン。なのに現実味がある、不思議な世界だ。
撮影は瀬戸内の小豆島で行われた。
奏介を演じる原田琥之佑は、2022年に制作された、これもまた“少年の夏”を描いた傑作『サバカン SABAKAN』で、自立した個性的な小学生を演じて印象的だった。本作でも、好奇心とクリエイティビティにあふれた中学生を好演している。
子役たちのまわりには、名前を聞くだけで、何かやらかしてくれそうな役者が並ぶ。まず、奏介と一緒に住んでいる母親代わりの女性は麻生久美子。東京で仕事をしている奏介の叔母は菅原小春。学校の先生が宇野祥平。街にやってくる詐欺師まがいのカップルに高良健吾と唐田えりか。奏介の才能に興味を持つ美術関係者は、映画監督の諏訪敦彦が特別出演。謎のアーティスト、村上淳。
皆さんそれぞれにサイドストーリーを持っていそうで、ひとくせもふたくせもあるのだが、なかで最高の登場の仕方をするのが宮藤官九郎。
原作は、“孤高のマイナー・ポエット”と呼ばれる三好銀のコミック。2016年に没した三好が晩年に描いた、同名のシリーズだ。彼がとりわけ愛していたのは、小説家では太宰治、マンガ家ではつげ義春だそうで、ユーモアがただよう作風はその影響もあったのか、と感じる。
横浜聡子監督は、そんな三好のファン。デビュー前に彼の作品をモチーフにした短編映画を撮ったこともあるし、遺作の『私の好きな週末』(2016年刊)に追悼文も寄稿している。和田大輔プロデューサーから本作のオファーが来たときは、満を持してという思いだっただろう。
ほどよいユーモアが魅力の横浜監督、この映画でも、ところどころでクスリと笑わせてくれる。特にやられたのは、この街の風変わりな祭りのシーン。原作にもでてくるのだが、実写で描かれると笑えます。あと、これも言っておきたい。
文=坂口英明(ぴあ編集部)
(C)2025 映画「海辺へ行く道」製作委員会

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