【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る
『ユイカ』

Photo:小堺勝巳 Interview&Text:松木美歩

シンガーソングライター『ユイカ』が9月26日(金)に新曲「ローズヒップティー」をリリースする。この曲はドラマ『君がトクベツ』のオープニングテーマとして現在オンエア中の楽曲で、原作漫画を忠実に描いた書き下ろし作品。好きを素直に表現できず、すこしひねくれた主人公の感情をバンドサウンドに乗せて、絶妙なバランスで表現された『ユイカ』の新境地ともいえる楽曲だ。

2021年にTikTokでギターの弾き語りを投稿したところから始まった『ユイカ』。「歌ってみた動画」が瞬く間に広がっていき、日本にとどまらずアジア各国で支持され、昨年ユニバーサル ミュージックからメジャーデビュー。アルバム発売、初のワンマン、フェス出演と活動の幅を広げていき、現在開催中のZeppツアー『Tsukimisou』はソールドアウトが続出している。

今年二十歳を迎えた『ユイカ』。メジャーデビュー後の変化、制作秘話、そして新曲「ローズヒップティー」について語ってもらった。



『漫画詩集のような、曲を聴くだけで情景が思い浮かぶような言葉選び』

── 初めてインタビューさせていただくのでご挨拶がてらお伺いしたいのですが、『ユイカ』という表記の由来はどこからきているか、改めて伺ってもいいですか?



世の中にたくさんのユイカさんがいる中で私であることをわかりやすく区別できればいいなと思って『ユイカ』にしました。単純にそれだけなんですけどね。



── 確かにわかりやすいですよね。



余談ではあるんですけど、ユイカという名前は両親が朝ドラに出ていた本仮屋ユイカさんを観て、かわいい名前だねって付けた名前らしいです。



── メジャーデビューから1年半ほど経って、アルバムを出したり、ワンマンライブがあったりフェスに出演したりと、めまぐるしい時間だったかと思いますが、メジャーデビューしてから変化したことはありましたか?



今までの人生でライブで歌うという経験がなくて、アーティストとしてステージに立つこと自体が初めてだったのでまずはライブを経験できたことが大きかったです。人前で歌うことって緊張するし、初めは不安な気持ちばかりだったんですけど、いざやってみるとすごく楽しくて、「私にはライブが合っているんだ」ということに気づきました。



── 今まではTikTokで画面越しでユーザーに歌を届けて、部屋の中でマイクと向き合う、配信するための画面と向き合う状態から、歌う環境が一気に変わったわけですよね。



そうですね。立ってギターを弾くという経験もなかったですし、イヤモニで鳴っている音を聴きながら歌うことも難しくて、慣れるまではいろいろなことが大変でしたけど、実際にライブをやってみると楽しいんですよね。不安な気持ちはたくさんあるけど、楽しいが勝ってしまう。



── 今年はフェスにも参加されましたが、経験してみていかがでしたか?



すごく緊張しましたし、有名なアーティストのかたが出ているところに「私が出ていいの?」という不安な気持ちもありました。でも、そこに混ざって『ユイカ』というアーティストとして出演できることにありがたい気持ちでいっぱいでしたし、曲は知っているけど、ライブでは観たことなかったっていうかたがフェスでノリノリになって聴いてくれていたり、最後はやっぱり楽しいが勝っていました。



── 緊張しながらも楽しいが勝つということがなによりですね。



元々、人前に立つこととか注目を浴びることは好きなんですけどね。でも、緊張はしちゃいますね。



── 顔出ししていなかったところから一気に開けましたね。



初めは高校生だったので周りに知られないようにしていて、TikTokに 投稿していることは友達にも家族にも言っていなかったので、いろいろ一気に開けていきました。



── ご家族にも言ってなかったんですか?



はい、家族も全然知らなかったです。顔出ししていなかったので、『ユイカ』が誰なのか本当にわからない状態でやっていました。



── TikTokの投稿から始めて、環境も含めてかなり変化したと思いますが、実感することはありましたか?



日常で起こった物事に対して今までは「ああ、そうなんだ」ぐらいにしか思わなかったことが、曲を作るとなると何気ないことでも「これ曲にできそうだな」って考えるようにはなりました。職業病ですかね(笑)。



── 些細なことにも敏感になって物事を捉えているんでしょうね。『ユイカ』さんの歌詞は恋愛の曲が多いですけど、学校生活の中での何気ない恋愛だったり、幽霊になって好きな人の近くに行ったり、同じ恋愛を題材にした曲でも全然景色が違いますよね。読み切りの漫画を読んでいるような感覚というか。



そう言っていただけてうれしいです。まさにそこを目指していて。小さい頃から小説でも短編集が好きで、短編集っていろいろな話が限られたページの中で綴られていて満足感があるじゃないですか。曲も長々語れるものではないし、その時間でどれだけ自分の物語を展開させることができるのか。そこはこだわって作っています。短編の漫画がたくさん詰まっている、漫画詩集みたいな感じというか。曲を聴くだけで情景が思い浮かぶような言葉選びをしています。



【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る

「そんなこと言ってくれるアーティストいるんだ、って思ってもらえるぐらいに、より共感力が高いところを目指したい」

── さらにMVでその情景をグッとこちらに引き寄せてくれるじゃないですか。物語がはっきりと浮かぶし、その世界に入り込んで一曲一曲を聴けるのがとても楽しいです。



うれしい、ありがとうございます。より深いところや曲の意図をMVで回収していけたらと思っていて、サブスクで聴くだけじゃなくて、「MVを観ながら聴くのがいいよね」って言ってくれるかたがたくさんいらっしゃるので、曲に入り込んでいただいているんだなって実感しています。自分がこの曲の主人公なんだと思って聴いてほしいので、曲の説明をしなくてもいいぐらい、MVと曲だけで伝わる世界観を意識しています。



── アニメーションでのMVですが、作るときは綿密に話し合うんですか?



イメージや女の子の服装はこんな感じがいいとか、髪の長さはこのぐらいとか、髪色はこんな感じとか。決めたいところは伝えているんですけど、ずっと一緒に作ってくださっている佳奈さんが本当に素晴らしくて天才で。最近のMVは展開とかも佳奈さんが考えてくれているんですけど、曲を聴くだけで世界観を感じ取ってくれていつもどんぴしゃな作品を作ってくれています。



── YouTubeのコメント欄を見ていても共感するという言葉が並んでいるので『ユイカ』さんの曲の伝わりやすさを感じます。



狙って書いたら共感できないと私は思っています。共感できそうなワードばかりを集めようとすると逆に抽象的になってしまって、共感を目指しすぎるせいでふわっとしちゃうのが嫌なので、自分が経験してきたことをぎゅっと詰め込んでいて。「そんなこと言ってくれるアーティストいるんだ」って思ってもらえるぐらいに、より共感力が高いところを目指したい。だからこそ具体的なところに寄って歌詞を書いています。



── 恋愛がテーマになっていて、さらにそれが具体的になるとちょっと重たくなることもあると思うんですけど、『ユイカ』さんの曲ってメロディやアレンジによってそれが緩和されるんですよね。優しくなって柔らかくなって、ほんわかした雰囲気に仕上がってて、それがすごいなと感じるところでもあるのですが、作曲するにあたってはどんな意識をされていますか?



それこそ私自身がメンヘラってわけではないですけど、ちょっと重いので(笑)。でも、一途に人を好きになるって全然悪いことじゃないし、ただそれをど直球で書きすぎると本当にメンヘラみたいになっちゃうので、かわいいメロディにしたり。その辺りはこだわって作っています。メロがポップにならないとどうしても重たく感じるし、それは私が表現したいことではなくて。メロは明るいのに、歌詞をよく読んでみたら「あれ? なんか重たい?」みたいな。自分のことを自覚しているというよりは、「あー、なんかその気持ちわかる」って、自分にもそういう一面あるかもって思ってもらえたらいいなって。歌詞とメロのギャップはあるんですけど、それがまたいいのかなと思っています。



── 男性ユーザーが多いのもそういう要素があるからなんでしょうね。重たくならないこのポップ感がいいのかなって。



そうですね。男女問わず共感してほしいという気持ちがあるんですけど、女の子には「わかるー!」ってなってほしいし、男の子には「こんな彼女欲しいな」の気持ちを持ってくれたらいいなと思うので、共感だけではなくて、そんな風に曲を聴いてもらうのもいいのかなって思っています。自分が主人公になって曲の中に入ってほしいので。



──「ゆうれいになりたい」のMVのコメント欄を見ていたら、「俺の幽霊になってくれてる子いるのかな」ってコメントがありましたよ(笑)。そういう風に伝わっていますね。



いいコメント(笑)。いかにも女の子が聴くラブソングというより、たとえば失恋ソングだったら「アイツなんて!」みたいなフォーカスの仕方ではなくて、その人を思い出して「そんなこともあったな、これもいい経験だったな」って思える曲を書きたいので、そういう意味でもなんというか‥‥‥どちらかの肩を持ちたくないというか。男女両方の気持ちがわかる曲にしたくて、主人公が女の子でもそっちに寄りすぎないようにしたいなって。



【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る

「この曲の冒頭で言っている嫌いは冷たい嫌いではなくて、なんかちょっと嫌い……みたいな」

── 新曲「ローズヒップティー」についても伺いたいのですが、実写ドラマ化された『君がトクベツ』のオープニングテーマに決まったとのことで、原作を読んでから曲を聴かせていただきましたが、これがまた原作の世界観にどんぴしゃですね。



ありがとうございます。私自身が原作のファンだったので、実写映画化されて、さらに続編がドラマになることをファンとして喜んでいたんですけど、まさか私の曲をオープニングテーマに選んでもらえるとは思わなかったので、携われることがまずはうれしかったです。原作を読んでいたからこそわかる部分や、ファンだからこその愛がこの漫画にあるので、かなり原作に寄せて書かせていただきました。



── ここまで原作に寄せて書くことって今までもありましたか?



ここまで寄せたのは初めてかもしれないですね。原作と似すぎるのも違うのかなって思って、あえて離して書いたこともありましたけど、今回はだいぶ原作に寄せています。



── 原作があるからこその難しさもありましたか?



そうですね。私が曲の中でいつもイメージしている女の子は、どストレートに好きを伝えていくタイプなんですけど、今回はちょっとひねくれているというか。主人公が持つちょっと曲がった感じを描きたくて、それをどう表現するかはすごく悩みました。



【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る

── 「ローズヒップティー」というタイトルにもそのちょっと曲がった感じが伝わってきますね。



そうなんです(笑)。この曲は甘いのが嫌いというところから始まるんですけど、女の子と言えば、甘いものが好きだったりピンクが好きなイメージがあるけど、この主人公は甘いものが嫌いで、さらにはイケメンが嫌い。だからセオリーが通じない子なんだろうなって。で、物語の中で主人公が嫌いだったはずのイケメンを好きになっちゃうんですけど、そんなはずじゃなかったから好きになった理由がほしい……。そういうひねくれた主人公にとっての甘いものってなんだろうって考えたときに、見た目は甘そうだけど、飲んだら酸っぱいローズヒップティーがこの子っぽいなって(笑)。甘くもないし、全然理由になってないけど、それぐらいひねくれた感じを出したくて。



── 原作に嫌いは無関心ではなくて、それだけ意識せずにいられないって名言もありましたけど、この曲はそんな感情をうまく表現されているなと。



その名台詞は私も刺さりました。嫌いだけど気になる。そんな感情もあると思うので、そこを表現したくて。嫌いだったら興味ないはずなんだけど、この曲の冒頭で言っている嫌いは冷たい嫌いではなくて、なんかちょっと嫌い……みたいな。



── この曲をバンドサウンドにしたのは?



今までアコギで曲を書いてたんですけど、「ローズヒップティー」は初めてエレキで書いて、エレキが似合う曲になればいいなと思ってバンドサウンドにしました。ゴリゴリなロックにはなりきらないけど、どちらかというとロックをイメージしている。その感じがこの曲にはちょうどいいのかなって。本気の嫌いを表現するならゴリゴリのロックになるし、好きを表現するんだったらポップでかわいい曲になるけど、その狭間の絶妙な感じが曲になってほしかったので、かわいい音も入りつつ、キメの部分はロック感を出して。こんな感じもいいかなって思っています。



── 歌詞もタイトルもバンドサウンドも、絶妙なバランスの一曲ですね。



主人公がひねくれ者だったので、それに合わせていくとどんどん絶妙になっていきました(笑)。



── いまZeppツアー中ですが、ライブハウスにも映えそうな曲ですね。



そうですね。今回は原作を意識して書いた曲ではあるんですけど、同時にライブでこの曲を歌っているところを想像しながら書いた曲でもあるので、みんなが盛り上がれる曲になればいいなと思っています。



── このツアーで「ローズヒップティー」初披露ですよね? 



フル尺はこのツアーで初披露です。サビの部分はドラマの予告で流れていますけど、みなさんが聴いてるのは頭の「嫌い嫌い」と言ってるところだけなので(笑)。



── このインタビューが公開される頃にはツアーも大詰めですが、どんなライブになりそうですか?



今回で3回目のワンマンなんですけど、1回目は初ライブなので『ユイカ』の入門編を意識したセトリで、2回目はポップで明るくて「『ユイカ』といえばこういう曲だよね」という曲を集めたセトリにしたんですけど、今回はみんなが知らない新しい部分というか、成長を観てもらえるライブになればいいなと思っています。初めて来てくださったかたに、また次のライブも行きたいと思ってもらえる、そんなライブにしたいです。



── ファイナルのZepp Haneda、楽しみにしています。



ありがとうございます。緊張しますけど(笑)。もっともっと音楽をやりたいし、たくさん注目していただきたいので、これからもがんばります。



【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る



<リリース情報>
「ローズヒップティー」

9月26日(金)配信開始
予約はこちら: https://yuika.lnk.to/rosehipteaPR



【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る

「ローズヒップティー」ジャケット

<番組情報>
ドラマ『君がトクベツ』

MBS:毎週火曜 24:59~
TBS:毎週火曜 25:28~
出演: 畑芽育 / 大橋和也 / 木村慧人(FANTASTICS)/ 矢吹奈子 / 山中柔太朗(M!LK)/ 大久保波留(DXTEEN)/ NAOYA(MAZZEL)
公式HP: https://www.mbs.jp/kimibetsu/



【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る

<公演情報>
『ユイカ』TOUR 『Tsukimisou』

9月7日(日) 北海道・Zepp Sapporo
9月12日(金) 福岡・Zepp Fukuoka ※SOLD OUT
9月19日(金) 愛知・Zepp Nagoya ※SOLD OUT
9月20日(土) 大阪・Zepp Osaka Bayside ※SOLD OUT
9月26日(金) 東京・Zepp Haneda ※SOLD OUT


◼︎『ユイカ』サイン入りチェキを抽選で3名様にプレゼント



【インタビュー】『ユイカ』全国Zeppツアーがソールドアウト続出のなか、新曲「ローズヒップティー」リリース ドラマOPテーマとして書き下ろした楽曲の制作秘話を語る

【応募方法】
①ぴあ音楽編集部・Xから応募
・ぴあ音楽編集部( @OngakuPia(https://x.com/OngakuPia) )のXアカウントをフォロー。
・該当ポストを応募締め切りまでにリポストしてください。



【応募締め切り】
2025年10月8日(水) 23:59まで



【注意事項】
※当選者の方には10月14日(火) 以降にXアカウントよりDMにてご連絡いたします。やむを得ない事情によりご連絡や発送が遅れる場合もございますのであらかじめご了承ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。



②ぴあ音楽編集部・Instagramから応募
・ぴあ音楽編集部のInstagram( music__pia(https://www.instagram.com/music__pia) )フォロワー限定。
・該当投稿のコメント欄にお好きな絵文字をお送りください。



この投稿をInstagramで見る
(https://www.instagram.com/p/DO-BvdjgRfC/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading)

ぴあ音楽(@music__pia)がシェアした投稿(https://www.instagram.com/p/DO-BvdjgRfC/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading)





【応募締め切り】
2025年10月8日(水) 23:59まで



【注意事項】
※当選者の方には10月14日(火) 以降、InstagramアカウントよりDMにてご連絡いたします。発送先等の情報を頂くために、問合せメールをご連絡します。ご自身のメールアドレスや住所などの個人情報をDMに記載しないようにご注意ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※既にフォローをいただいている方もご応募の対象となります。
※応募するInstagramアカウントを公開状態にしてください。
※日本国内に在住し、郵便物・宅配物の受け取りが可能であることをご確認ください。
※このキャンペーンにInstagram(META社)の関連はございません。



『ユイカ』オフィシャルサイト
https://www.universal-music.co.jp/yuika/



編集部おすすめ