
2023年12月18日(月)、下北沢Daisy Barにて、年内ラストのGrasshopper vol.19が行われた。amanojac、1-SHINE、エゾシカグルメクラブの3組のバンドが集結した。
amanojac

バスドラムに合わせて手拍子が起こった。ギター、ベース、ドラムそれぞれの見せ場が曲頭から炸裂する『生活』。各々の個性が溢れるツインボーカルの掛け合いとリズムの変化やギターリフなど、工夫が凝らされた1曲だ。『皐月』はアップテンポで駆け抜けるような音楽が、ネガティブな感情を拭い去るようだった。そのままドラムが繋ぐ『カゲロウ』では、ギターの柔らかい音が金物のザワザワしたノイズや重苦しいベースの歪みに対して優しく浮き上がる。桐山郁弥(Ba/Vo)の力強い声が核となって、聞く人の心に訴えかける歌となった。

前半戦が「剛」のセトリだとすると、中盤戦は「柔」といえる、『youth』から始まった。オオタケショウ(Gt/Vo)の歌声は会場を優しく包み込み、桐山のコーラスも雰囲気を変える。続く『夢で逢わせて』もバラードでバンドの持ち味である歌を聴かせる。綺麗なハーモニーで穏やかな気持ちにさせてくれた。広がりを持つ轟音が響き渡る会場で、頷きながら聞く観客の姿があった。

9月のサーキット企画『Jump Higher』に出演したamanojacが、今回ついにGrasshopperに出演することになった。彼らは名古屋の新栄を背負って歌いにきたという。最後の1曲は『海が見えなくても』。想いにあふれたどこまでも真摯なライブに手が上がった。彼らはこの日一番のエモーショナルな音楽を聴かせてくれた。

1-SHINE

登場した瞬間から歓声、悲鳴、叫びが飛び交う。1曲目『BAD BOY』で会場を一気に1-SHINEのテリトリーにした。ロックバンドという冠をつけながら、その中身はロックだけではなくHIPHOPやミクスチャー系の雰囲気も入り混じる。ど真ん中ギターロックバンドとは一線を画す、音楽の表現、音楽の楽しみ方に興奮が掻き立てられた。『Say It To My Face』でも常に歓声は止まらない。メロディとラップ、日本語詞と英語詞が入り混じるスタイルはGrasshopper企画に強烈な新鮮さをもたらしていた。


少しクールダウンして、『A Thousand Tears』。

終盤戦は『TOKYO』から始まる。イントロから手拍子が起こりボルテージはさらに上がる。溢れ出す感情を惜しみなく表現するための時間が音楽の中に設けられ、人々のジャンプはどんどんと高くなっていく。最後の曲は、ざわつくギターのノイズとラップ、ロックとHIPHOPが気持ちよく融合した『2020』。そこには彼らの世界観が広がっていた。1-SHINEの音楽は観客の心を解放し、それぞれの楽しみ方を許容してくれた。


エゾシカグルメクラブ

夜の街に密かに流れるシティポップのような『エスパー』から、エゾシカグルメクラブのライブはスタートする。朦朧としたシンセサイザーの音がバンドの裏で流れ、メロウな音楽を編み出していた。続く『最強のおふたり』では、柔らかい雰囲気はそのままに、明るく跳ねるようなリズムでハッピーな気分を催す。サポートメンバーの結婚に際して制作したウエディング・ソングだという。池沢英(Vo/Gt/Key)の楽しそうな歌声が幸せな空気を作り出していた。

『スカート』は滑らかに流れていく音楽が、タイトルにもある「スカート」を靡かせる柔らかい風を連想させる。気持ちの良い音楽が観客の心を安らげた。エゾシカグルメクラブの作るサウンドが会場に徐々に広がり会場全体を包んでいく。聴く人を誘惑しようとするその音に感覚を持っていかれそうになりながら『紫煙』を聴く。軽やかなベースのスラップ音が輪郭を持って、グルーブ感を作り上げた。観客の体は揺れ始め、手も上がっていた。


歓声を浴びたステージが次に見せるのは『おいッ!』。


Text by らいれいな
★ 『Grasshopper vol.20』(https://fan.pia.jp/grasshopper/ticket/detail/22/) は1月29日(月) 下北沢CLUB Queにて開催!
イベント公式サイト
https://fan.pia.jp/grasshopper/