
「公開して皆さんに届くまで、ソワソワしていて…。予告映像を観るだけで心臓バクバクです(笑)」と取材冒頭、笑顔を覗かせていた佐藤新。
完成した予告映像を観ただけでドキドキしています!

――初めてのW主演映画作品で青春物語に挑むことになった心境から教えて下さい。
歌番組の出番直前にW主演が決まったことを伝えられた時は、歌番組で心を落ち着かせるのが正直、大変でした。宣伝期間が始まって、予告映像が完成したのを観ただけでもう心臓がバクバクしてきちゃって……。予告映像でこれだけ心臓バクバクしてるわけだから、「俺、試写会はどうなっちゃうんだろう」「公開初日になったらどうなるんだろう」って思うくらいドキドキしていますね(笑)。
――今作はケータイ小説サイト「野いちご」の投稿サイトから生まれた丸井とまと先生の話題作が原作です。周囲に合わせすぎた朝葉が、聖と出会って自分自身を見つめ直し、自分を取り戻す過程が描かれていますが、台本を読んでどんな感想を持ちましたか。
台本の頭のページから終わりまで読んでいて、心臓にグサグサ刺さるくらい共感しました。自分が聖役を演じるということを忘れるぐらいのめり込んで読破して、読み終わった後に『これを俺がやるのか。繊細な感情表現がすごく重要になってくるだろうな』と思いましたね。
――どんなところが胸にグサッと来ましたか?
僕が演じる聖は、自分の意見を持っている芯の強い子だけど、人間関係で上手くいかないことがあると、弱気になる繊細な部分もあるんですよね。


――一見クールに見えて、じつは優しい聖役がすごくハマっていました。細かい部分まで聖になるため、こだわったそうですね。
そうですね。スタッフさんや監督にも相談しましたし、こんなに役作りをしたのは、初めてですごくやりがいのある役でした。なりきれる部分はなりきりつつ、佐藤新が聖だったら…っていう考え方でも役を作りました。原作が金髪なので、それに習って金髪のビジュアルにして。泳ぐシーンがあるので、フォームは、水泳をやっている方に教わりながら、選手っぽく見える手の掻き方を練習もしたんですよ。
――高校生役ということで、テンション感を掴むのは難しかったのでは?
エキストラの方がロケ現場として使用させていただいている学校の本当の地元の高校生だったんです。皆さん、本当にキラキラのピッチピチだったんですよね(笑)。だから、「俺、大丈夫かな。制服、馴染めているかな」と一瞬思いましたけど、テンション感は現役高校生のおかげで掴めました。


――聖が【青年期失顔症】になってしまうヒロインの朝葉をサポートして親密になっていくやりとりも自然体に映りました。
朝葉とのシーンは、結構アドリブのところもありますし、こう言いたいと相談して、採用されたところもあります。自転車に乗るシーンも、台本にないアドリブがあって、結構リアルな会話が成立したんじゃないかなって。僕が語尾や言い方のニュアンスを勝手に変えた部分もあったんですけど、渡邉さんが柔軟にお芝居してくださる方なので、助かりました。
――スタッフさんからは聖をどのように演じてほしいというリクエストがあったんでしょうか。
脚本家さんとお話させていただいた時には、「もっと悪ガキっぽくやってみるのもいいんじゃない」って言っていただいて。小説のキャラクターに寄せて、ちょっと悪ガキっぽくやってみました。芝居経験が少ない今の僕がそれをやると、あまりいい方向に行かないかもしれないと自分の芝居力を客観的に見て心配だったんですよ。そんな中で今の俳優・佐藤新が表現できる朝比奈聖を模索して、映画版の聖を見つけていきました。分かりやすく言うと、ツンデレで悪ガキなところが、聖っぽいなと自分で探り探り見つけていった感じです。
「周りが笑顔でいてくれたらそれでいい」という気持ちはよくわかる

――朝葉は、周りに合わせすぎて自分を見失い、自分の顔が見えなくなる【青年期失顔症】になってしまいます。思春期に限らず、自分の言いたいことが言えない気持ちは誰しも共感できるものとして描かれていましたが、朝葉のような人間をどう思いましたか。
めちゃくちゃ共感できました。
――顔色をうかがってしまって、自分らしくいられない経験はありますか?
そうですね。小、中、高の時は、自分の意見を言うだけで、心臓バクバクしすぎて倒れそうになっちゃうぐらい頭が真っ白になるような子だったので。自分の意見を言うのが怖かったり、周りに合わせちゃったり。朝葉と重なる部分は多いんですよね。
――そうだったんですね。朝葉の気持ちが分かるからこそ、自分の思っていることが言えない人たちにアドバイスはありますか。
自分の気持ちを上手く言えない人は、それでいいと思うんです。周りに対する優しさからそうなると思うので、素敵な部分だと思います。強くなれない自分を卑下する必要は全くないんじゃないかな。もちろん芯の強い人も魅力的ですし、周りに合わせられる子もそれが魅力。

――本当にそうですね。佐藤さんは、ちゃんと自分らしく生きられていますか?
「自分らしく生きて」って言われたら……マイペースすぎて、モンスター級わがままになりますよ。いろいろ、上手くいかないと思う。自分の子供っぽい部分、人間として未熟な部分も受け止めてくれる大人の方やメンバーやプロデューサーの滝沢秀明さんがいるから、今こうしてやれています。朝葉のような優しさを持ちつつ、大人として周りに柔軟に対応していく力を身に着けないといけないな、と。今は頑張って大人になろうとしている最中です(笑)。
――どんなことでモンスター級のわがままを発揮するのか気になります(笑)。
やっぱり、ライブやステージへのこだわりは強いですね。曲順や照明の色、振り付けとか、もう細部にわたって、こだわり始めたらキリがない。
――自分たち発信でいろいろできているんですね。
そうですね。デビュー前はそういうことを考えたこともなかったので、アーティストとして成長したからこそ、いろいろやりたいことが増えました。細かいところまでどんどん目が行くようになって、「ここのダンスカットは抜かないでほしい」とか、クリエイティブな意見も言えるようになってきたので。でも、一歩引いて全体を見られるようになりたいです。
褒められることが大好き! 褒めて伸ばしてもらいたい

――なるほど。聖は、青年期失顔症の朝葉に自分を取り戻すためのアドバイスをするシーンがあります。「自分の好きなものと嫌いなものをノートに書き出すと自分のことを見つめ直せていいよ」と勧めますが、ご自身がノートに好きなものと嫌いなものを書き出すとしたら、どんなワードが並ぶのか知りたいです。
1番好きなものは、ファンの前に立つこと。褒められることも大好きだなぁ(笑)。
――好きなものでノート1ページは埋め尽くせそうな勢いでしたね。
基本、褒められたい人間です! 逆に嫌いなものは、褒められないこと。ダメ出しされること、厳しくされること(笑)。なんだろう……、僕、本当に典型的な褒められて伸びるタイプなんですよね。ダメ出しされるより、褒めていいところを伸ばしてもらったほうが、活き活きできます。この活動もファンの方から「カッコいい」とか、「いいね」って褒められたい一心でやってますから(笑)。

――ファンから求められている佐藤新と自分自身が見せたい佐藤新は一致していますか。
そうですね。ファンの方はステージで輝いている僕を求めてくれていると思うんですよ。自分もライブのパフォーマンスを通して、それはできていると思っています。歌って踊るのが大好きですから、アーティストとして素晴らしいパフォーマンスを届けたいということに力を注いでいます。でも、それ以外のところはちょっと力が抜けちゃって、フニャフニャな自分もいるかもしれないんですけどね(笑)。
――確かに、キリッとしているステージ上とこうしてインタビューしている時のふわっと柔らかな表情はまた違う気がします。
パフォーマンスでエネルギーを使い切っちゃうんですよね。ステージを降りると、普段はゆるっとしがちですけど。あんまり頭が回ってない状態の僕も、メンバーはすごく理解してくれて、すごくフォローしてくれるし、本当にありがたい環境にいるなって思います。
これからのビジョン「ファンが求めているものを形にしたい」

――これから俳優としては、どんな姿を見せていきたいですか。
今回も口下手な役ですし、これまでクールな役を演じることが多かったんです。難しいかもしれませんが、もっと明るい役や天真爛漫な役にもチャレンジしてみたいなって。最近、いろんな役を演じてみたいという欲も出てきました。漫画やアニメが大好きなので、実写化にもチャレンジできたら嬉しいですね。自分から出たいっていうのは、おこがましいですけど。
今作のような制服が着られる役も年を重ねたら、ずっと演じられるわけではないから、制服が着られるうちにたくさんできたらいいなと思います。
――では、アーティストとしてのビジョンは?
音楽作りはとことんこだわって、ファンが求めてる音楽を届けたいです。ファンが求めてる音楽イコールヒットする音楽だと思っているので、僕はファンの人が求めているものを形にしたい気持ちが強いです。とはいえ、音楽に関しては、僕の意見が通ることばかりではないですし、僕が関われない部分もありますけど、ファンの方を楽しませるようなコンテンツをどんどん提供していきたいって思っています。今という一瞬を切り取った儚くて尊いお仕事だから、1分1秒余すことなく、キラキラ輝きたいですし。やっぱり褒められたいです(笑)。もう承認欲求モンスターなので、ファンの方に褒められるようにしっかり自分磨きをしていきたいです。もっと美容とかも頑張ろうかな(笑)。

――そのままでもお肌、めちゃくちゃ綺麗じゃないですか。
本当ですか? いやいや、頑張りま~す!
――IMP.としての活動もグループ全員での初主演舞台を控えるなど、絶好調ですね。(※インタビューが行われたのは3月)舞台に向けて体力作りも必要なのでは?
体力、めちゃくちゃ必要ですね。10トンの水を使って、30分間大立ち回りする…みたいな世界を舞台でくり広げられると予想できますから。文字だけじゃ想像できないかもしれませんが、本当に身体を張る舞台になりそう。でもどんな仕事も体力と集中力は大事です。役と精一杯向き合った『青春ゲシュタルト崩壊』での自分もぜひチェックして欲しいです!


<作品情報>
『⻘春ゲシュタルト崩壊』
6⽉13⽇(⾦) 全国公開

配給:NAKACHIKA PICTURES
Ⓒ映画「⻘春ゲシュタルト崩壊」製作委員会
【作品概要】
タイトル:『⻘春ゲシュタルト崩壊』
出演:佐藤新(IMP.) 渡邉美穂
⽥辺桃⼦ 新井美⽻ ⽔橋研⼆ 濱⽥⿓⾂ 藤本洸⼤ 河村ここあ 福室莉⾳ 愛来
⼾⽥菜穂 / 瀬⼾朝⾹
原作:丸井とまと「⻘春ゲシュタルト崩壊」(スターツ出版刊)
主題歌:「⻘空」マルシィ (UNIVERSAL SIGMA)
脚本:三浦希紗 ◎⾳楽:牧⼾太郎 ◎監督:鯨岡弘識
企画・プロデュース:横⼭祐⼦ ◎プロデューサー:伊藤聖
配給:NAKACHIKA PICTURES ◎制作プロダクション:AX-ON
公開表記:2025年6⽉13⽇(⾦) 公開 ◎コピーライト:Ⓒ映画「⻘春ゲシュタルト崩壊」製作委員会
映画公式サイト: https://seishun-gestalt.jp
映画SNS(X&Instagram)アカウント:@seishun_gestalt
撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
ヘアメイク/大森創太(IKEDAYA TOKYO)
スタイリスト/山本隆司(style3)