自由報道の尊さを考えさせられる『プラハの春 不屈のラジオ報道』
イラストレーション:高松啓二

映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。



【水先案内人 高松啓二のおススメ】



1968年チェコスロバキアのプラハ。

両親を亡くしたトマーシュは弟パーヤと暮らしていた。彼は偶然受かってしまった革新的なラジオ局国際報道部で働くが、真の目的はチェコ秘密警察STBのスパイとして活動することだった。



当時は普通に生活していても突如STBが部屋の中に入ってチェックするような厳しい国家体制で密告が頻繁に行われていた。それでもザ・ロネッツの「Be my baby」などの欧米のポップスなどで徐々に民主化の波が伝わる。ラジオ局のヴァイナー部長は人格者で高い志を持っており、それはスタッフにも浸透している。



特にクールで有能な女性記者ヴェラは、トマーシュと組んで国のフェイクニュースを暴く。これがきっかけにふたりは親しくなりトマーシュも民主化の思想に同調していく。



そしてついに民主化デモであるプラハの春が始まるとソ連・ワルシャワ条約機構軍はチェコ市民を守る名目で戦車とともに侵攻してくる。軍はラジオ局を占拠し破壊しまくる。局員たちは手分けして非常時の放送網を使って真実の報道を伝え続ける。このシーンはウクライナを想起させ恐怖を感じる。自由報道の尊さを考えさせられ、同時にトマーシュの青春映画の側面もあり甘酸っぱさが残る。



<作品情報>
『プラハの春 不屈のラジオ報道』



公開中



監督・脚本:イジー・マードル
出演:ヴォイチェフ・ヴォドホツキー、スタニスラフ・マイエル、タチアナ・パウホーフォヴァー、オンドレイ・ストゥプカ



公式サイト:
https://pragueradiomovie.com/



(C)Dawson films, Wandal production, Český rozhlas, Česká televize, RTVS - Rozhlas a televizia Slovenska, Barrandov Studio, innogy

編集部おすすめ