別府競輪(大分県別府市)
GⅢ開設75周年記念「オランダ王国友好杯」
6月5日(木)~8日(日)開催
2024年6月、岸和田での高松宮記念杯最終日、自身初のGⅠでの節間2勝を挙げた小岩大介
別府競輪のGⅢ開設75周年記念「オランダ王国友好杯」が6月5日から4日間、ナイターで開催される。新山響平、岩本俊介、犬伏湧也の自力型SS3人が参加予定。ほかにも深谷知広、松浦悠士、菅田壱道、坂井洋ら好メンバーが全国から集う。
地元大分からは昨年覇者の阿部将大をはじめ、小岩大介、大塚健一郎、一丸尚伍らが出場。強力な遠征勢を、山崎賢人、林慶次郎ら九州勢と連係し撃破する。アラフォーになって成績を上げてきた小岩に、大会への意気込みをインタビューした。
■ここまで大きなけがは初めて
――5月3日、GⅠ日本選手権での4走目で落車してしまいました。
「左の肩鎖関節脱臼と、その周囲の靱帯(じんたい)を痛めました。しばらく練習もできなかったんですが、5月19日から自転車に乗り始めています」
――かなりの大けがでしたね。
「そうですね。今まで骨折もしたことがないですし、ここまで大きなけがは初めてです」
――大事な地元記念も迫ってきています。
「そこに向けて、しっかり走れるように目指しています。でもまだ左肩はかなり痛いんですよ。乗り始めは痛くて何もできませんでした。それが日ごとに、少しずつですが良くなっている感じはあります」
昨年の別府開設記念に出場した小岩大介。この大会は準決勝7着で決勝には進めなかった
――回復具合はいかがでしょうか。
「スタンディングや低速からのダッシュがまだまだ。でもレースまで10日ほどあるし、何とかなると自分に期待しています。レースになれば、痛みはアドレナリンで感じなくなるはず。それよりむしろ、半月ほど練習していなかったことで脚が落ちてしまっていることの方が気になります。とにかく少しでも脚力を戻したいですね。戦うメンバーが強豪ぞろいなので」
――練習量も落ちていますか。
「いいえ、そこはけがする前と同じ量をこなしています。そうしないと脚が戻らないと思う。質的には落ちているとは思いますけどね」
――肩のけがだと乗車のフォームなどにも影響しそうです。
「今まで左の腕でハンドルを押すように乗っていました。それがまだ体重を支えられない。それでも練習を再開した日から考えればずいぶんフォームをつくれるようになってきました」
――けがの前は4月の函館FⅠで優勝するなど、かなり好調だったんじゃないでしょうか。
「難しいことに、最近は開催ごとに体の調子が違うんですよ。函館は練習で追い込んで、レースでも最初は走れないと思うほどきつかったんだけど、徐々に軽くなった。そのやり方が良かったのかもしれない。ダービー(日本選手権)のときは少し緩めにやったせいか、体に張りがなかった感じでした」
今年の4月30日、名古屋での日本選手権の2戦目、外を追い込むも6着の小岩大介(左端)
■若手の頑張りがいい刺激に
――しかしハードにやり続けるのは大変です。
「若い頃は体がエネルギッシュで、練習さえしておけば良かったんです。でも今は、やる気がないわけじゃないのにエネルギーが出てこない感じですね」
――それでも近年はGⅠなどでも1着数が増えるなど、むしろ成績は上がっています。
「成績が上がったのは、アマチュアの面倒を見ていたからかもしれません。ほかには特に変わったことをしていないので。兄弟子(中村大和・87期=引退)の弟子で吉田航(わたる)君という選手が今年デビューなんですが、航が養成所に入る3年ほど前から一緒に練習していました。それが良かったんじゃないですかね」
2023年10月、弥彦での寬仁親王牌2日目に7年半ぶりにGⅠで勝利を挙げた小岩大介(左)。右は2着の同県同期・安東宏高
――吉田選手はルーキーシリーズ3節目で確定板に載りました。楽しみな選手です。
「航はダッシュ系の選手なので、自分にもいい刺激が入ったと思います。でも自分の脚力自体は大きくは変わっていないとも思うんですよ。点数は上がってきたけど、むしろ余裕がなくてしがみついている状態です。追走技術だったりコースの見極めだったり、レース経験を積んだ分が成績につながっているんですかね」
――練習での刺激とレース経験がうまくかみ合ってきたのかもしれませんね。
「そうですね。それ以外にももちろん、九州の若手のおかげでもあります。昨年の別府記念を制した大分の阿部将大君もですし、熊本にも強い自力型がたくさん出てきました。4月の函館の優勝も熊本の伊藤旭君が頑張ってくれたおかげでした」
――大分も、阿部選手以外にも若手が増えました。
「この5年ほどで若手の人数もずいぶん増えました。それと、長男の虎ノ介が今年高校3年。別府翔青高で自転車競技部に入っていて、競輪選手を目指したいと言っています。それで、息子に下手なレースを見せられないという思いもありますね」
2021年11月、武雄競輪場での九州地区プロ4キロ団体追い抜きで15連覇を達成した大分チーム。
左から小岩大介、高橋綜一郎、阿部将大、安東宏高
――養成所を今年受験するんですね。
「はい。春の全日本選抜では1000メートルタイムトライアルで優勝したんですよ。タイム的には合格ラインのはずですが、あとは鉄のフレームでどこまでやれるかですね」
――別府記念でも息子さんにいいレースを見せたいですね。
「毎年すごく気持ちは入っているんですよ。でも変な気持ちの入り方で緊張して、空回りをしていた感じです。地元勢がずっと勝っていなかったのもあって」
――昨年は阿部将大選手が地元勢としては23年ぶりの優勝。
「我々が長い間できなかったことをさらりとやってくれましたね。それで今年は少し肩の荷が下りたというわけじゃないけど、ひとつリセットできた感じはあります。さらに大西貴晃君も別府のGⅢを取ったし」
――今年も地元選手で盛り上げたいですね。
「そうですね。若手も増えましたし、みんな頑張ってくれると思います。
自分もけがに負けずに頑張ります」
2024年11月、熊本で行われた九州地区プロのエリミネーションで優勝しガッツポーズの小岩大介
◆プロフィル
◆小岩大介(こいわ・だいすけ)
1984年4月11日生まれの41歳。大分県姫島村出身。地元の姫島トライアスロンで自転車に出会い、自転車競技の名門大分県立日出暘谷高(現在の日出総合高の前身)に進学。ロードレースを中心に活躍した。卒業の1年後に日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)に進み、2005年7月、大分支部90期でデビュー(別府1、1、決勝2着)。07年後期にS級に初昇級し、18年間S級継続中。通算成績は1584走で200勝、優勝13回。通算取得賞金は3億6477万6600円。S級初優勝は09年10月の大津びわこFⅠ。直近優勝は今年4月の函館FⅠで、10回目のS級優勝が通算200勝のゴールだった。師匠は西野文生(48期=引退)、ホームバンクは別府。170センチ、75キロ、A型。
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