ボートレース大村(長崎県大村市)

PGⅠ「第14回クイーンズクライマックス」

12月28日(日)~31日(水)開催

(シリーズ戦は26日~)





 女子のトップレーサーによる今年のボートレース界最後の特別戦、プレミアムGⅠ「第14回クイーンズクライマックス」が12月28~31日の4日間、ボートレース大村(長崎県大村市)で争われる。

 出場するのは女子の年間賞金額上位の12人(26日からは、それ以外の賞金額上位によるGⅢ「クイーンズクライマックスシリーズ」を先行して開催)。大みそかの夜に行われる優勝戦への進出を懸けて、まず3日間のトライアルで火花を散らす。


 そのトライアルの初戦を1号艇で迎えるのが、女子屈指の実力者の守屋美穂(36)=岡山・101期・A1=だ。GⅠで10優出を誇りながら、いまだに無冠なのはボート界の七不思議。悲願のGⅠ初Vへの思いを聞いた。

<目次>

・技術を上げたい

・GⅠVの鍵は「メンタル」

・「勝つとどうなるかを自分が知りたい」

■技術を上げたい



 ――今年は昨年末からの10連続優出でスタートしましたが、振り返っていかがですか?

 「もう最近は記憶喪失なんじゃないかと思うぐらい思い出せなくて(笑)。確かに最初は良かったと思うけど、頭にあるのは全く仕上げきれない最近の方ですね」



 ――確かに今年の優勝5回のうち4回は、7月までのものです。

 「調整が全く分かっていないですね。仕上げきれないまま一節が終わってばかり。そんな状態でも成績はまとめなければいけないのに、まとめきれない。技術の足りなさを痛感しています」

 ――その技術とは旋回力のことですか?

 「そうです。それに、ターンはもちろんですけど、道中の走る位置とか位置取りとかレース全般の技術ですね。急にはうまくならないので、少しずつですけど、ターンのやり方も変えようといろいろやってみています」



 ――今年は8月の若松メモリアルからSG戦線に復帰(昨年5月の多摩川オールスター準優で切ったFの罰則期間が終了)しましたが、いかかでしたか?

 「エンジンは出ているのに成績を取れない。やっぱりそれも全ては旋回力のなさだと思います。今のSGの男子は行き足や伸びを重視して乗り心地は二の次。
乗り心地は旋回技術で補うという感じなので、今の自分ではSGの男子には通用しない。やっぱり上の舞台で活躍するには旋回力を上げないとどうしようもないというのを思い知らされました」

■GⅠVの鍵は「メンタル」



 ――ただやはりSGの舞台の経験は大きいです。そんな守屋さんが女子のGⅠタイトルをまだ持たないのはボート界の七不思議でもあります。

 「そこはもう本当にメンタルの部分が大きいと思います。GⅡは勝てているんですけど、GⅠになると『ここで勝たないといけない』『今、絶対に取らないといけない』ってなってしまって、視野が狭くなって周りが見えなくなってしまう。それでレースミスをしてばっかり。もっと大きく先を考えればいいのに、目の前のことばっかり見てしまうんですよね」



 ――それは〝焦り〟があるということですか?

 「早く取りたいという気持ちはずっとあります。でも、焦りとは違うかな。一つ取れば変わるのかなと。取った人に聞くと何も変わらないよって言われるんですけどね(笑)。自分では変わりそうだし、変われそうだと思っています」

 ――守屋さんにとってボートレーサーは子どもの頃から憧れていた職業。それだけタイトルへの思いも強いということですね。

 「ボートレーサーになるためにウエートリフティングをやっていたし、本当にやりがいのある仕事だと思います。
でも、今は楽しめているかと言えばどうかなという感じですね。苦しい部分もあります。正直言って、自分は応援してくださる数の多さに対して実力と結果が伴っていない。オールスターやレディースオールスターでのファン投票数の多さには本当に感謝していますし、うれしいんですけど、結果が伴っていなくて申し訳ない気持ちも大きい。だからこそ、私を応援していて良かったと思ってもらいたいので、どうしてもGⅠのタイトルを取って恩返しをしたいです」



■「勝つとどうなるかを自分が知りたい」



 ――今回の舞台の大村は通算4Vで地元の児島に次ぐ多さ。ドル箱水面なのでまたとないチャンスですね。

 「大村は昔から調整も合うし、成績も良くて大好きな水面です。今年も5月に優勝できました。でもこの前(9月)走った時は燃料がバイオ燃料に変わっていて、全く調整が合わなかったんですよね。水面自体は本当に相性がいいので、そこが自分の中ではポイントだとは思っています」



 ――最後に意気込みを。

 「GⅠを取れたら、どうなるか自分が一番知りたい。今年最後の取るチャンスなので、精いっぱい頑張ります。
応援よろしくお願いします」









◆守屋美穂(もりや・みほ)

 1989年1月20日生まれの36歳。岡山県倉敷市出身。倉敷商高卒。2007年11月に尼崎でデビューの101期。登録番号4482。養成所では勝率6.76と女子では有数の高勝率を残して卒業した。師匠は小畑実成で、ペラグループの名門イーグル会の下で鍛錬を積み順調に女子のトップレーサーに成長。キュートなルックスも相まって屈指の人気を誇る。GⅡはレディースチャレンジカップで2V、レディースオールスターで2V、MB大賞で1Vの戦歴を誇るが、GⅠは優出10回で優勝はまだない。デビュー通算148優出40V。同期はSGウイナーの片岡雅裕、篠崎仁志ら。3歳上の兄・大地(109期)とのきょうだいレーサー。
154センチ、46キロ、B型。
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