2025年6月7日(土)、ロンドンで「グランツーリスモ ワールドシリーズ 2025(以下、GTWS2025)」開幕戦が華々しく開催されました。
eモータースポーツ会を代表する世界中のトップドライバーたちが一堂に会し、世界最高峰のバトルを繰り広げた本大会。
さらにサプライズな発表として新たなスポーツカーの追加も発表されました。
「グランツーリスモ ワールドシリーズ 2025」ロンドンで初の開催

GTWSはソニー・インタラクティブエンタテインメントとポリフォニー・デジタルが主催する公式の世界大会で、2025年シーズンは・・・
- ロンドン: 2025年6月7日(土)
- ベルリン: 2025年9月20日(土)
- ロサンゼルス: 2025年11月8日(土)
- 福岡: 2025年12月20日(土)、21日(日)
・・・と、世界4都市を巡回して行われます。
なおGTWSのロンドン開催は今回が初めてです。


シリーズ初となるロンドン開催となった本大会では、自動車メーカーが対抗する「マニュファクチャラーズカップ」と、国・地域代表が競いあう「ネイションズカップ」の2部門のレースが行われました。
オンライン予選を勝ち抜いた精鋭たちと前年度上位選手のシード枠により、世界中から選ばれたドライバーが集結。
シャオミのスポーツカー「SU7 Ultra」とコラボを発表

大会の冒頭ではスマートデバイスメーカーで現在はEVも手掛けるXiaomi(シャオミ)とのパートナーシップが発表されました。
現在、XiaomiのEVは3モデルが販売されており、その中でもスポーツカータイプである「Xiaomi SU7 Ultra」が今後グランツーリスモ7に登場するとのこと。
今後のアップデートで追加される予定ですが、時期はまだ不明。
登場後は手持ちのクレジットを使って「SU7 Ultra」の購入が可能になります。

ポリフォニー・デジタルの創業者であり代表の山内一典氏は「シャオミと我々の開発に対しての姿勢は共感するものがある」と話し「SU7 Ultra」の投入だけではなくVision Gran Turismoでのシャオミとの協業、さらにはシャオミの他の車、高級SUVの「YU7」などの投入にも意欲を見せました。
シャオミは最初のEVを2024年3月に中国で発売しましたが、2027年にもグローバル市場への展開を視野に入れています。

「SU7 Ultra」を簡単に紹介すると、3基のモーターによる出力は最大1,548馬力で、0-100km/h加速はわずか1.97秒、最高速度は350km/hに達します。
CATL製の93.7kWhバッテリーを搭載し、CLTC航続距離は約391マイル(約630km)。
カーボンセラミックブレーキやアクティブエアロ、先進運転支援システムなど最新技術を多数採用しています。
つい先日にはドイツ・ニュルブルクリンクで7分4.957秒という世界最速ラップタイム(EV)を残しました。
実際の記録達成の瞬間はYouTubeでも確認できます。
GTWS2025ロンドン、とレースフォーマット

マニュファクチャラーズカップはアジアとオセアニア地域の代表が各メーカーを背負い、トヨタ、マツダ、BMW、レクサスなど12ブランドが激突。
各チームは3名体制で、グランツーリスモならではの地域色豊かな戦略とドライビングが光るレースが予想されました。
なお今回の出場選手は全12名が日本人でした。

ネイションズカップには昨年王者の宮園拓真選手を筆頭に、キリアン・ドルモン選手、ホセ・セラーノ選手など歴代チャンピオンが顔を揃えました。
挑戦者として欧州の強豪トーマス・ラブテリー選手や南米のエンジェル・イノストロサ選手、カナダの新星サミュエル・カーディナル選手らも参戦。
世代・地域を超えたハイレベルなバトルが繰り広げられます。
世界中にライブ配信

会場となったテレヴィジョン・センターは、ロンドン西部のランドマークであり、ロンドンメトロの駅前というアクセスのしやすい場所。
現地での観戦チケットは即日完売し、会場には熱心なファンとメディアが集結しました。
イベントはYouTubeをはじめ多言語でライブ配信され、もちろん日本語でも熱いバトルの様子が実況中継。
世界中のファンがリアルタイムで熱戦を見守りました。
マニュファクチャラーズカップ:スバル宮園選手が2024年Nations Cup王者の実力を発揮

マニュファクチャラーズカップは日本人同士の戦いということもあり大きな盛り上がりを見せました。
レースは序盤からBMW(鈴木聖弥選手)がポールポジションを取りリードする展開。
スバル(宮園拓真選手)が2番手スタートでそれを追う形となりました。
中盤以降は宮園選手が巧みなタイヤマネジメントと安定したラップを重ね、ピット戦略でもBMWとの差を詰めていきます。


終盤には両者が激しいバトルを展開、最終スティントで宮園拓真選手がBMWをオーバーテイクし、トップに浮上。
ゴール直前まで僅差の攻防が続きましたが、宮園拓真選手がリードを守りきり優勝。
BMWは僅差の0.3秒差で2位、マツダ(國分諒汰選手)が3位でフィニッシュしました。
ネイションズカップ:スペイン勢の連携と戦略が際立ち、他国勢は追い上げに苦戦

ネイションズカップは今大会から「シードエントリー制度」が導入され、例年以上にハイレベルな顔ぶれとなりました。
予選からスペイン勢のホセ・セラーノ選手とポル・ウラ選手がレースを支配し、決勝戦でも序盤からレースをリード。
両者は2023年のネイションズカップ優勝メンバーでもあり、絶妙な連携で他車を引き離しました。
序盤の混乱では複数台の接触も起こり、ブラジルのアドリアーノ・カラッツァ選手などが大きく順位を落とす波乱も発生。


スペイン勢の両選手はスリップストリームやバッテリーを駆使し、後続との差を拡大。
中盤以降も安定した走りでトップ争いを繰り広げました。
終盤はポル・ウラ選手が一時トップに立つも、最終ラップでホセ・セラーノ選手が再逆転。
最後のシケインで僅差の攻防となりましたが、ホセ・セラーノ選手ががリードを守りきり優勝しました。
そして3位にはイタリアのヴァレリオ・ガロ選手が入りました。
eモータースポーツの未来を示す一戦

グランツーリスモ ワールドシリーズは、単なるゲーム大会の枠を超え、eモータースポーツの未来像を提示し続けています。
ロンドン大会はその象徴とも言える存在であり、今後のベルリン、ロサンゼルス、福岡での戦いにも大きな期待が寄せられます。
eスポーツとリアルモータースポーツの垣根を越えたグランツーリスモの進化は、2025年も世界中のファンを熱狂させ続けるでしょう。
▼Photo & Written by Yasuhiro Yamane/山根康宏
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