グローバルのスマートフォン市場では存在感が薄くなったHuawei(以下、ファーウェイ)ですが、世界初の3つ折りモデルを出すなど技術力は衰えるどころが進化を続けています。
そのファーウェイのフラッグシップスマートフォン「Pura 80 Ultra」は世界初のカメラ機能も搭載しており、業界でも注目される存在です。


ファーウェイのフラッグシップスマホ「Pura 80 Ultra」レビュー

ファーウェイのフラッグシップスマホ「Pura 80 Ultra」をレビュー!トップクラスのカメラ搭載で市場席巻狙う
特徴的なカメラデザイン

Pura 80 Ultraは何と言ってもその背面デザインが特徴的です。
3つのカメラを搭載していますが、トライアングルデザインのカメラバンプに加え、真ん中のレンズがかなり大きく、スマートフォンとは思えないデザイン。
カメラのトライアングルデザインはiPhoneのProシリーズでおなじみですが、Pura 80 Ulraの背面はそんなiPhoneとは全く異なる外観です。


ファーウェイのフラッグシップスマホ「Pura 80 Ultra」をレビュー!トップクラスのカメラ搭載で市場席巻狙う
7月にはバンコクでグローバルローンチが行われた

Pura 80 Ultraはグーグルサービス(GMS)を搭載していないものの、グローバル市場でも販売されています。
2025年6月にまずは中国で発売。OSはファーウェイ開発のHarmonyOSを搭載します。
続けて7月にグローバルローンチイベントが行われ、東南アジアを皮切りに各国で販売が始まりました。
なお、グローバルモデルはOSにAndroidベースのEMUIを搭載。
非公式ながら一部GMSも利用でき、ある程度はメジャーアプリのダウンロードも可能です。


ファーウェイのフラッグシップスマホ「Pura 80 Ultra」をレビュー!トップクラスのカメラ搭載で市場席巻狙う
チップセットは7nmプロセスを採用

Pura 80 Ultraのスペックは・・・


  • ディスプレイ: 6.8インチ(2,848×1,276ピクセル)
  • バッテリー: 5,700mAh(中国向け)、5,170mAh(グローバル向け)、急速充電80W対応
  • チップセット: HiSilicon Kirin 9020

・・・という感じ。
アメリカの制裁の関係から最新プロセスルールのチップセットは製造できず、Kirin 9020は7nm。数世代前の設計プロセスです。


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OSの最適化で動作は悪くない

全体の操作感は悪くはなく、これはOSの最適化が進んでいるからだと考えられます。
ただしグラフィックを多用するハイエンドゲームでは若干動きが緩慢になることも。
一般的なスマートフォンとしての使用やカメラフォンとしては十分高性能ですが、ゲーム用途としての購入は向いていないかもしれません。


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中国では実はこの背面をよく見かける

本体のカラーバリエーションはゴールドブラック
ブラックモデルもカメラレンズの縁はゴールドで飾られています。
このトライアングルデザインは1年前のモデル「Pura 70 Ultra」でも採用されたもので、中国に行くとユーザーをよく見かけます。
Pura 80 UltraもシリーズにはPro、Pro+、無印と4モデルがあり、いずれも中国では高い人気を誇っています。


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本体サイズは重量級だ

カメラに関しては他社のハイエンドモデルと遜色ない性能ですが、その分カメラモジュール部分はかなり大型化しています。
本体サイズは163.0×76.1×8.3mmで重量は233.5g
ちなみにアップルのiPhone 17 Pro Maxは233gです。


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世界初のスライド式ペリスコープカメラ2つの望遠をカバー

カメラは広角が5000万画素、f/1.6-4.0、超広角が4000万画素、f/2.2、そして望遠が特徴的で、ペリスコープ式のデュアル焦点距離対応となっています。
3.7倍の5000万画素、f/2.4の望遠レンズが、プリズムをスライドさせることで9.4倍、f/3.6の高倍率望遠に。


なお、この時のF値はf/3.6となります。
一番大きいレンズをよく見てみると中に2つのレンズが。
それぞれ3.7倍、9.4倍の位置に相当するレンズで、内部をプリズムモジュールがスライドして焦点距離を変えるという仕組みです。


ファーウェイのフラッグシップスマホ「Pura 80 Ultra」をレビュー!トップクラスのカメラ搭載で市場席巻狙う
自然な表現

カメラはファーウェイ独自開発のイメージング技術「XMAGE」を採用。
派手さではなく自然な色合いを再現する方向にAIが調整してくれます。
カメラのAI処理に関しては夜景や高倍率望遠で若干モタつくことがあるものの、画質そのものは業界でもトップクラスです。


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3.7倍で撮影

同じシーンを3.7倍で撮影。
細かい部分までうまく表現しています。
緑の色合いなどもいい感じ。


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10倍も十分な画質

こちらは10倍。
ペリスコープカメラが9.4倍に切り替わり、デジタル補正で10倍として撮影されます。
画素数は1200万画素に落ちるものの、日中であれば気になることもなさそう。


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30倍程度まで十分使える

こちらはデジタル30倍撮影。
スマートフォンの画面で見るなら十分でしょう。
なお、30倍以上ではカメラのプレビュー画面が「全体+拡大」表示になるため、目的とする被写体を追いかけやすくなります。
最大倍率は100倍で、AI補正をかなりかけるので結構“見れる”絵が撮れました。


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グローバル版が採用するEMUI

今回はバンコクで行われた発表会で端末を試したので、OSは前述の通りEMUIが搭載されていました。
UI構造やアイコンなどは中国向けのHarmonyOSとかなり統合されており、パッと見の区別はつきません。



GMSに関しては「非公式」と書きましたが、実際はmicro G(オープンソースのGoogle Play開発者サービス代替アプリ)経由で主要アプリ(Play StoreやGmail、YouTubeなど)はプリインストールされています。
機能制限があるかもしれませんが、ざっくり使うことはできそう。


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AppGalleryの対応アプリも増えてはいる

なお、ファーウェイが提供するアプリストア、AppGalleryで提供されるアプリの数は約300万本あるそうです。
グーグルが約400万、アップルが約200万あることを考えると互角ですが、実際は主要アプリの対応が少なく、SNS系はグローバルでサービスを提供しているアプリはわずか。
数年前にはLINEの対応も無くなってしまいました。
ファーウェイスマートフォンを“今”使うのであれば、micro Gなどを使いグーグルのPlay Storeからアプリを入れることが現実的です。


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HarmonyOS NEXTはゼロから開発された新OS

中国向けモデルにはHarmonyOSが搭載されていますが、最新のHarmonyOS NEXTはAndroidやLinuxカーネルから完全に脱却し、ファーウェイが独自開発したカーネルを採用しました。
そのためGMSやPlay Store経由でのアプリはインストールできません。
とはいえエミュレーターで入れる方法があるなど抜け道はあるようです。
HarmonyOS NEXT対応のアプリがまだ数万本程度と数は少なく、ファーウェイのスマートフォンはハードウェア性能の高さに対し、OSの動向に若干の不安要素が感じられます。


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ワインレッドに輝く

Pura 80 Ultraの一つ下のモデルである「Pura 80 Pro」も本体デザインは同等で、特に赤いボディーのモデルが目を引きます。
Pura 80 ProはPura 80 Ultraの望遠カメラを4,800万画素の4倍に変更したモデルであり、その他のスペックは同等。
ボディーカラーからこちらを選ぶのもいいでしょう。



いずれのモデルも日本での発売予定はありませんが、ファーウェイのカメラ技術は今でもグローバルで互角に多抱えるだけの実力があることはぜひ知っておきたいものです。


▼Photo & Written by Yasuhiro Yamane/山根康宏
Blog: http://www.hkyamane.com/
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Note: https://note.com/hkyamane/


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