2025年9月27日(土)に東京ゲームショウ2025(以下、TGS2025)で開催された「Top Game Creators Academy(以下、TGCA)」のトークイベント。
2025年4月から始まったTGCAについて熱く語られた会場の様子をお届けします!
「TGCA」のトークイベント開催!1時間のトークから一部をご紹介
「TGCA」とは、次世代の若手ゲームクリエイターが、アイディアや技術力を活かしてゲーム制作ができるよう、ゲーム業界を牽引するメンターをはじめ、クリエイティブアドバイザーやビジネスアドバイザーによる指導を受けることができる育成プログラム。

今回のトークイベントには、株式会社レベルファイブ・代表取締役社長、CEO Principal of TGCAの日野晃博(@AkihiroHino)さんとTGCAでメンターを務める、株式会社スタジオサザンカ・代表取締役社長の小澤健司(@KenjitheEMO)さんが登壇。

MCとしてKADOKAWA Game Linkage、ファミ通グループ代表の林克彦(@Famitsu_Hayashi)さんが出演し、2025年4月から始まったTGCAについて深堀りしました。

― 小澤さんが4月からTGCAのメンターを行うなかで感じたことや良かったこと、課題をお聞かせください
小澤さん: TGCAに参加されている皆さま、様々な場所でゲームを作っている皆さまも、人によっては学生の頃からとか早いうちにエンジンを触って、実際に動くものを作ってみるっていうことが出来てて、すごい尊敬します。
一方で、ゲームの企画のコンセプトとかシナリオとか、ゲーム全体を完成させるまでの間に、粘り強く考え続けないといけないことがいくつもあると思うんですけれども、それに向き合う時間がもっと増えたらいいのかなと思う時もありますね。
企画書を書いたり、こういうものを作ろう!と思った時って、頭の中に結構すごいものがあると思うんですけど、でも現実で目の前に動いているものはまだその状況ではないっていうときに、今と辿り着きたい未来の間にプロセスの線を引くためには長い間向き合うしかないと思うので。
日野さん: 僕も、後輩クリエイターにいつも「こういうのを作りたいんだ!」ってちゃんと想像して、書類を作ってしっかりと人に伝える努力をするっていう風によく言っています。
元々、想像が足りない状況で書類だけを作ろうとする人たちもいるので、それはやめてほしいって伝えてて。
小澤さん: そうですよね。
動くものが作りやすい世の中になりましたけど、だからこそこれからは思い描く時間とかエネルギーが必要になるんだろうなと思います。

― メンターとして何組くらいを見ているんですか?
小澤さん: 採択されたクリエイターが10組。
それを4チームに分けていて、自分はそのうちの2~3チームを見ています。
(マンツーマンではなく)複数のメンターが複数のチームを見ているので、専任メンターの間でも意見が割れる時は割れますね。
日野さん: 僕も一番最初にこのプログラムを立ち上げたときに、1対1ってちょっと気まずいよねって思って。
プレッシャーがすごいと思うんですよ。
だから、メンター側も教えられる側もリラックスできた状態が、良いモノづくりができるんじゃないのかなぁって。
なのでそういう風な提案をさせてもらいました。
優しくやってますか?
小澤さん: 優しくやってます!(笑)
「そんなものはダメだ!」みたいなことは全然言わないで、元々の企画の方針とかを伺ってから、メンターそれぞれに僕の考え方と感想を共有したうえで選び取ってもらうし、食い違ったとしても、その先でもう一度向き合うって感じですね。
日野さん: 今選ばれてる皆さんは自分である程度ゲームが作れるプロと言ってもいいような人たちなので、逆に自分にプラスになる情報とそうでない情報を選んでいくっていうのも良いかもしれないですね。
小澤さん: メンターは僕以外もみんな超現役の方々なので。
間違った方向に進んでるかもなという時のアンテナはすごい高い。
別に意見が異なることは大した問題ではなくて、より良い方向に行けてるんじゃないかなという感覚はあります。

― (ゲーム作りではインプットが重要という話から)若手の皆さんのインプットの姿勢についてどういう風に見ていますか?
小澤さん: 一番思うことは、もっともっと見て欲しいし、触れて欲しいと思います。
今はゲーム実況とかもあって実際に遊ばなくてもどういう挙動でどういう仕様でとか、知識だけを摂取しやすくなりましたが、やっぱりゲームってなんだかんだ触って、ダメージを受けてみて味わえる感情の変化がすごく大事だと思ってるんで。
どんどん直接やってほしいなと思います!
アニメでも映画でも小説でも自分で触れてインプットしていってほしいですね。
日野さん: 自分が作ろうとしているものに関する情報っていうのは、いっぱい必要ですよね。
うちの会社(レベルファイブ)の話をさせてもらうと、作品の知識を持っているということがすごく大事で。
社内で社員向けのテストをするんですよ。
それは自社制作のゲームの情報だったり、それに関係した業界の情報だったり。
たとえば「イナズマイレブン」の過去の作品に関する知識とか、そういうものをすごく知ってる半分ファンみたいな子がいると、その子の知識によってファンが喜ぶシチュエーションが考えられたり出来るんですよ。
なので、そのテストの結果によって個人の能力に関係なく、かなり大きく給料が変わるっていうね(笑)
それくらい作品や業界のことにしっかり知識を持っているのは重要だと思っています。
― TGCAのプログラムの内容だったり教えている意義について、どう見てますか?
小澤さん: 専任メンターとして自分のチームとクリエイターに向き合うだけじゃなくて、どういった講義がされたというのを(受講生と)同じように見ることができるんですけれども、結構内容はすごくて。
若手の時にこれくらいの広い知識を持っておきたかったというものが、いっぱい入ってます。
ゲーム開発だけでなくて、売り方、伝え方、届け方まで。
ユーザー視点、というけれど、どういうものの見方ができたらより近いところにいれるのかっていう必要な知識が詰まっていたので。
これから時代が変わって、また売り場所や作り方が変わると思うんですけれども、その時も元にある知識を発展的に考えていけるんじゃないかなと思うくらいにはすごいものでしたね。
― プログラム内容は誰が作っているんですか?
小澤さん: ビジネスアドバイザーさんがそれぞれ講義形式でレクチャーしています。
今も(TGS2025の)ブースをプロデュースしている方とか。
マーケティングはマーケターの専門の方がしっかりやっています。
最近資料を見て感動したのが、ブースを出したり配布物を配ったりする小規模の方々に東京都や国が補助金を出してたりするっていう。
明日すぐ使える情報と得たい知識が両方詰まってる内容でした。
― 開講から半年が経過したTGCAの歩みはどうですか?
日野さん: 僕は後方支援で、どのように講義をするかということなどをお話させてもらいました。
メンターの皆さんが決まって進行し始めて、本当に楽しそうだなというのは感じていましたね。
第一線で活躍している人と、“今”の声を聞きながら作品を作っていけるということは、めちゃくちゃ貴重なことなので、この意義深いプログラムを最大限に生かして、我々が望んでいる世界に羽ばたいていくクリエイターに育っていただきたいなと思います。
小澤さん: 世界の中でも「やっぱり日本ってすごいじゃん」って思ってもらえるようなクリエイターがいっぱい生まれていく、そんな場所になればいいなと思います。
― 最後に若手のクリエイターさんにメッセージをお願いします
小澤さん: まずは、ステージを聴いていただきありがとうございました。
お話の中で「インプットしろー!」とか強く聞こえてしまったかもしれないんですけど、逆に安心してほしいことは、みんなやってるし悪く言うと近道はないと思う。
僕も一緒に走ってるし、これから走り始める若い皆さんも増えているので、目には見えないかもしれないけどひとりじゃないと思って、ぜひ一緒にゲーム作りの大海原に走り出していけたらと思います。
今日はありがとうございました!
日野さん: 今回のプログラムに選ばれているクリエイターの皆さんには、本当に頑張っていただきたいと応援していますし、どうなっていくのか楽しみにしています。
ゲームやエンターテインメントの業界って結局、人に選ばれて、お客さんに選ばれて、上司に選ばれて、会社に選ばれて、自分にチャンスをもらうっていう世界なので、どう自己プロデュースをするのかを今後は考えていかないといけないと思ってます。
なので、プレゼンテーションをする時、作品を誰かに見せる時、一つひとつに勝負どころがありますので、人に選ばれるチャンスをしっかりものにしてやっていってほしいです。
今日はありがとうございました。
拍手の中、現役でゲーム業界を走り続けるメンバーの熱いトークが終了しました。
アーカイブは東京ゲームショウ公式YouTubeチャンネルで配信されているほか、小澤さんが自身のステージを振り返る映像も公開されているので要チェック!
TGCAに参加する若手クリエイターたちのこれからが楽しみです!
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